Another8 逃走
俺はひたすら逃げていた。
あの時、霧が晴れてからずっと…。
追手の追撃は止むことはない。
色々な国を渡り、隠れては逃げ、隠れては逃げを繰り返し父が言っていた協力者に会
うために必死になっていた。
しかし、いつになっても会えない…いつしか諦めが頭の中をよぎっていた。
各地を転々とし思い当たるような所は廻ったが一向に何かを知る人物に出会えない。
日本皇国という国に来る頃には追手は巻けていた。
日本皇国に入国できたが、俺の疲労はピークに達していた。
たまたま、通りすがりの人少女が居たために今の年を聞いてみた。
2005年という回答に俺は混乱する。
俺は夢でも見ているのだろうか…。
確か俺がいたのは西暦980年あたりだったはずだそれなのに1000年以上経っている。
顔色を変えたことで少女から心配されたが、俺の中には絶望という文字が溢れていた
のだろか、たまらずその場に崩れ落ちた。
少女が声をかける、その顔を見ながら俺は意識を手放してしまった。
夢の中で父が自分に対して呼びかけていた。
『よく、頑張った。もう大丈夫』だと…。
俺はこの後、身体検査を受けた際に人間と違うとのことで、この日本皇国の上に立つ
者の指示で極秘裏にある施設へ移送後に拘束され監禁に似た生活を送る事となった。
待遇は奴隷のようなものではなく悪くなかった。そこで俺は暫く糸の切れた人形のようにボーっと過ごしていた。
時折倒れた時に声をかけてくれた少女が大人の女1人と彼女と同じ年位のもう1人の少女と一緒に見舞いに来てくれた。
不思議と彼女とは普通に会話を交わす事ができた。
逃走する最中で優しく接してくれたからなのだろうか?
自分でもわからなかった。
そして、施設に監禁されてから半年後…俺はある人物と出会う事となる。
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