トキソプラズマ

 みんなはトキソプラズマという、単細胞寄生虫の名前を聞いたことがあるだろうか。

 これは、人間を含むすべての動物に感染してしまうのだが、トキソプラズマの大本命は猫で、やつらは最終的に猫にたどり着くために長い旅をするそうだ。


 例えば、ネズミなんかにも寄生するのだが、トキソプラズマに感染したネズミは行動が大胆になり、猫につかまりやすくなってしまうそうだ。これは、トキソプラズマ原虫が、ネズミを猫にとらえさせるために、脳を操って無謀な行動を取らせるらしい・・・。


 トキソプラズマはほとんどの場合、症状が出ないのだが、結構問題になるのが妊婦さんへの感染だ。


 妊婦に感染すると、流産や生まれてくる子供に障害が出てしまうことがある。


 妊婦さんでトキソプラズマ抗体がある人は10%くらいで、妊娠中に初感染する人は0.13%くらいいるらしい。運悪く妊婦さんが感染した場合は、胎児に先天性疾患を起こす場合がある。


 猫も人と同様、ほとんど症状がでないが、トキソプラズマに感染した時は、数日間、糞便から排出される。

 しかし、排せつした直後の糞便には感染力がなく、感染するまでに1~2日かかるそうだ。さらに、免疫を獲得している猫の糞からはトキソプラズマは排出されない。だから、猫からトキソプラズマに感染するリスクはそれほど高くない。


 こういうことがあった。ある妊婦さんが、庭に迷い込んだ野良の子猫を保護し、家にあげて飼い始めた。すると、いつの間にかトキソプラズマに感染していたそうだ。優しさが仇になってしまったのだ。

 

 それから、猫の便からうつるより多いのが、生肉を食べることから感染するケースだ。


 これはかなり昔に聞いた、噂レベルの話だ。

  

 妊婦さん(Aさん)がいた。Aさんは友達Bさんの家に招かれて遊びに行った。


 そこでBさんお手製のローストビーフが出て来た。Aさんは、妊娠中にも関わらず、つわりがほとんどなく、Bさんのもてなしを喜んだ。ローストビーフは、お店のものよりも、生っぽくジューシーだったそうだ。Bさんは一人暮らしなので、家にあっても食べきれないからと、Aさんにしきりに勧めた。さらに、食べきれない分はお土産として持たせたらしい。Aさんは家に帰ってからも夕飯に食べたそうだ。


 その後、Aさんは残念ながら流産してしまった。

 そして、後から妊婦は生肉を食べてはいけないことを知ったのだった。AさんはBさんを恨んだ。そして、2人は絶交してしまったそうだ。


 実はBさんとAさんの旦那はできていて、Aさんを苦しめるためにわざとやったのではないかということだった。ここまで来ると犯罪だが、未婚のBさんが、トキソプラズマ症を知らなかったと言えばそれまでだ。


 俺はBさんが故意にやったのではないかという気がしてならない。その後もBさんはAさんの旦那と交際していて、それがバレた時、奥さんは2人が仕組んだのではないかと思ったそうだ。


その後、奥さんはどうしたかわからない。


 妊婦さんに、野良の子猫と生肉は禁忌だというのは、知っておいた方がいいと思う。

 









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