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 本当はここで走るのをやめたくない。でも体力はとっくの昔に限界を超えているし、気力だっていつまで続くか分からない。


 悔しいけど今回はミューリエの言うことに従って休むことにしよう。


 僕は足を止め、その場で両膝に両手を付いて激しく呼吸をした。ただ、うまく肺に空気が入っていかない。膝はガクガクと震える。目の前も霞んで、今にも意識を失ってしまいそうだ。立っていられるのが不思議な気がする。


「あ……」


 不意に全身から力が抜け、勝手に体のバランスが崩れて倒れ込みそうになった。当然、それに抗う力なんか残されていない。とてもじゃないけど踏ん張れそうにない。


 僕はそのまま地面へうつ伏せに倒れ込み、程なく意識を失った。


 どうやら無理をしすぎたらしい。もう少し自分の体のことを気遣っていれば……。



 BAD END 5-3

 

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