城壁の材料
「うー頭痛い・・・」
僕は二日酔いでグロッキーになっていた。
「昨日調子に乗ってあんなに飲み過ぎるからよ」
偉そうに言うセフィ姉さんも、死にそうな顔をしている。
「日本酒、あれはヤバいわね。飲みやすいからつい飲んじゃう割に酒精が強いもんだから・・・村のみんなも今日は仕事にならないんじゃないかしら?」
そう言えばみんなも結構な勢いで飲んでたからなぁ・・・
少し心配しながら、僕は怠い体と頭痛に耐え軽い朝食を作る。
そして朝食を食べながら今日の予定を確認する。
「今日から城壁を作る作業を始めようと思うんだけどセフィ姉さん、なにか思い当たる物があるんだっけ?」
正直言うとそれ頼りな所もある。
「それなんだけど、確か近くの海に昔の城が沈んでるはずなのよ。
エルくんだったら城ごと回収出来るだろうから貰っちゃいましょう♪」
城を貰っちゃうとか軽くすごい事言ってるなぁ。
「城だったら城壁もあるから後は材料だけで複製出来るね」
相変わらず何で知ってるんだか謎なんだけど・・・。
「材料は北の方の草原を抜けた所が、古代の採石場になってたはずよ」
「海って深いのかなぁ。あまり泳ぐのは得意じゃないんだけど。ハクは?」
潜れる深さなんだろうか?一応ハクにも聞いてみる。
「泳いだ事ない」
そりゃそうか。
「あまり深くないはずよ。城のてっぺんは水面に出てるんじゃないかしら。今から行けば干潮の時間だし丁度良いわね。私はホームでモニターしてるから宜しくね♪」
何とかなりそうだな。
僕達は朝食を済ませて村を出る。
途中二日酔いでしんどそうな村人達から感謝の言葉を貰う。
なんだか少し申し訳ないな。
村を出ると僕は竜化したハクに乗せてもらい海へ向かった。
セフィ姉さんにはホームからナビをしてもらう。
『もうちょい北かなぁ。あ、見えたかも』
「海から塔の先みたいなのが見えてるね。降りれるかなぁ」
「行けると思う」
ハクは無事、塔の先っぽい場所に着地した。
「今更だけどこれ貰っちゃって良いのかな?」
『持ち主はもういないし海に沈めとくより良いんじゃない?
ちなみに持ち主のいる物は収納出来ないようになってるわよ』
なるほど。覚えておこう。
「じゃあハクは空で待機しといてね。範囲指定はここを中心に
ついでに城壁も欲しいから1kmくらい囲っちゃおうかな」
『えっとエルくんのマナだと素材庫は18km×18kmだから・・・広いわね・・・。
10km四方くらい囲っちゃって城下町ごと取り込んじゃいましょう♪』
「オッケー。じゃあ行くね。収納!」
唱えた途端に足場が消えて海水が流れ込み渦になり僕はその中に飲み込まれた。
どちらが上かもわからない状態で暫く掻き回された。
不思議と息は苦しくなかったので波が落ち着くのを待った。
ようやく落ち着いた後、僕は光がさす上方向に向かって泳いだ。
水面からやっと顔を上げられたと思ったら・・・僕はハクに鷲掴みにされて陸まで連れて行かれた。
『エルくん大丈夫だった?』
セフィ姉さんは心配そうに言う。
「大丈夫、びっくりけど。そりゃそうなるよね」
良く考えれば予測出来た気もするので、僕は少し照れ臭くて笑ってしまった。
『エルくんはマナが高いから、水中でも少しずつマナが減って行くだけで
暫く平気で行動出来るし大丈夫だとは思ったけど心配したわ』
「心配した」
ハクが随分心配してくれてた様で、慌てて陸まで連れてきてくれたらしい。
「二人ともありがとう」
二人に感謝しながら、ふとステータスを確認する。
「ん?HPがごっそり減ってる!?」
僕のHPは何と100万も減っていた。
あ、そうか。あれだけの容量を収納すればこうなるのか・・・。
「後は採石場に行ったら今日は終了だけどハクは疲れてない?」
「全然平気♪」
ハクはまだまだ元気そうだ。
『エルくんは休憩しなくて大丈夫?』
「大丈夫だよ。午前中に終わらせて村でお昼にしよう」
僕達はそのまま採石場に行き石を収集する。
「石どれくらい収納しようか?」
『えっと村と森の間を囲うとして高さは10m位いるかしら。
長さで言うと8kmくらいになるからすごい量ね・・・。
1日じゃ無理そうだから今日は50m×50mくらいの範囲にしときましょう。
それならHP消費も10万くらいだろうし』
こうして僕達は石を回収して、村に戻ってきた。
そしてお昼ご飯を食べる。ちなみにメニューは普通の唐揚げ弁当。
食べ終わった僕達は午後の予定を考える。
「午後からどうしようかな?」
思ったより随分と早く素材回収を終えてしまった。
「それなんだけど、城と言うか城下町ごと取ってきた訳だけど
確認の為に素材庫の中を探索しない?」
セフィ姉さんが提案して来た。それは確かに楽しそうだ。収納した物はウィンドウのリストで確認出来るけど素材庫の中ではどうなっているのか気になる。
「少し休憩したらみんなで行ってみよう」
僕達は素材庫の城へ行く事に決めた。
ちょっとワクワクするな。
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