満中戦争
元々、中華人民共和国は傀儡国家として満州国を認めず全領土の領有を主張しており併合を考えていた。
そして大躍進政策で失敗し足りない食料購入のため満州国から輸入をしていた。
だが代金の支払いも滞っていた。
極東戦争で借りた戦費の回収にも困り、返済要求を突き付けてくる満州国に怒りを募らせていた。
さらに、北中国の人民が食糧を求めて満州国へ移る事例が続発。
出稼ぎに出た人民が、そのまま永住する事も増えた。
人口の低下を受け入れられない毛沢東はこれを満州国の国家的誘拐として宣戦布告。
人民救出の為に万里の長城を越えて満州国へ侵攻した。
当初は、順調に進撃していた人民解放軍だったが、これは満州側の罠だった。
満州国皇帝溥儀の弟にして満州国軍総司令官の溥傑と参謀総長の瀬島は、毛沢東の日頃の言動から人民中国が近いうちに侵攻してくると判断。
防衛計画を立てていた。
そのため満州国軍は侵攻当日より迅速に作戦行動に移った。
侵攻直後より予め配備されていた満州国軍は激しく抵抗し、人民解放軍を抑えた。
だが、配備されていたのは少数の部隊のみで、百万を超える侵攻部隊を止め続ける事は出来ず後退を行う。
しかし、下がると次の陣地で再び戦闘を行う遅滞戦闘を続けた。
思いがけない、反撃に戸惑うが作戦全体は人民解放軍が兵力差のため優位だった。
だがs撤退は満州国軍の作戦の内だった。
当初の計画に従い、満州国軍は国境から一五〇キロ圏内から遅滞戦闘部隊と空軍の阻止部隊を除き、撤退。
満州国民を避難させ施設は破壊。焦土作戦を展開した。
ただし、六〇キロ前後にある施設は意図的に残した。
結果。 人民解放軍は国境を突破して一週間で一二〇キロ進撃できたが、そこで食糧が尽きた。
機械化されていない人民解放軍は、食糧は兵士が携行できる分、三日分だけ。
トラックで輸送しようにも大躍進政策の失敗で大量生産できず、出来たものも故障が頻発し使い物にならない。
僅かに輸入されたトラックも酷使され経済封鎖による部品不足、代替国産品の劣悪な品質による故障で止まっていた。
人民軍は一日二〇キロ歩き、六〇キロの場所、丁度食糧が尽きたところで満州国軍が残した食料庫を見つけそこで一日掛けて食糧を調達。
更に進撃したが、三日後にはその食糧も尽きた。
そして食糧が尽きて人民軍が止まった瞬間、満州国各地から集結した満州国軍機甲軍が準備万端――開戦から一週間という時間的余裕を使い準備を全て整え反撃を開始した。
最新鋭のT55――満州国内の北山重工でライセンス生産されオリジナルのソ連製より高品質――を主力とする機甲軍は電撃戦で弱った人民軍の戦線を簡単に突破。
後方へ進撃していった。
空軍の空襲も行われ、迎撃機のない人民解放軍は次々撃破される。
ソ連と国交を断絶したため予備部品が入らず稼働率が低下していたのと、人民解放空軍の戦闘機の殆どが首都空襲を恐れ、北京周辺に配備されたため、前線で活動する航空機は僅かだった。
満州国軍の反撃は迅速に進み、後方に回り込まれた人民軍は各所で寸断され包囲され降伏していった。
最後の一兵まで戦うよう毛沢東が指導――事実上の命令であり違反者は即時銃殺、しても前線の瓦解は止まらなかった。
前線が独断で撤退し、ようやく毛沢東が追認した時には全てが終わっていた。
人民解放軍には人民中国まで戻るだけの食糧が無かった。
残った食料庫で食糧を得ても三日かかる。
しかも兵士たちが大量の食糧――解放軍全体から見れば数日分だが、千トン単位で積み上げられた食糧を見て後先考えず食べたり、酒を造ってしまい浪費していた。
そして、その食糧を持って苦難の撤退戦を行おうと考える部隊はいなかった。
食糧のある拠点で防御しようと考える部隊が続出し、撤退命令さえ従わなかった。
先の見える一部の部隊は、現状、危険を理解して撤退したが、満州国機甲軍に捕捉され全滅した。
残った部隊も人民中国から切り離され、手持ちの食糧が尽きた段階で降伏した。
人民解放軍の敗北は明らかだった。
流石に毛沢東も責任は免れず、国家主席を罷免された。
こうして、毛沢東の政治生命は終わると思われた。
だが、もう一幕あった。
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