第2話


札幌からニセコに行くだけなら案外簡単で、ざっくり言うと…石山通と言う道に辿りさえ着けば2~3回くらい曲がるだけで着くことができる。

勿論、距離はかなりあるが…。


予定としては。

札幌→札幌南区→定山渓→中山峠→ニセコ。

その順で休憩を挟みながら向かう予定だ。



「私は車よりも止まるのが遅いので、休憩したいときは想定している3倍の速さでお知らせください。」


「アンポンタンが乗る軽自動車は…化け物か!?」



そんなアホな事を言いながらミナトは車を走らせる。


道中、よさげな喫茶店とか見かけて今度いこうね等と言ってはいるが他に行きたい予定が溜まっている為に恐らく忘れ去られるだろう。



「そういえば、この旅で予約してるのってホテルだけだっけ?

それだったらボクはルスツの遊園地に行ってみたい。」


「えぇで。

ツッチーは、行った事がないん?」



ニセコと言えばと…とツチヤは1つ提案する。

今回の目的は運転の練習が主な目的の為に特に行きたい場所を定めてはいなかった。

美味しいご飯、温泉、あとは…有名どころで名水さえ行ければいーなーくらいしか考えていない。



「うん、行ったことないんよ。

秋の遊園地もいいじゃない。」


「宿のチェックインも六時の予定だしええよ。」



ニセコとルスツは距離は離れているが、車であれば問題ないだろう。

ミナトは軽い返事でそう答えた。


札幌からルスツまでは一般道でおおよそ2時間。

レンタカー会社も7時から営業を開始している所もあり、8時や9時に出発にすれば午前中には辿り着ける。


道中に結構見るところがある為、行ってみると体感時間もそんなに長くは感じないだろう。



とはいえ、ペーパードライバーのミナトに楽しむ余裕があるのか不明ではあるが…。



「まてよ、初めて行く遊園地なら私より気になる男と行った時にとっといていた方がええんでね?

初めて行く場所なら話題も困らないから。」



「えーっと、現在の時刻が8時ちょい過ぎだから…到着が10時くらい。

お土産屋さんを少し見てご飯食べて、周りをみればいい感じかな?」



この女…さてはこの手の話は苦手だな?

まぁ、自分もそんな異性がいないからいいのだが…。



「朝早く出発するとスーパーがやっていないのが致命的だなぁ。」


「別にコンピニでもいいじゃない。」



ミナトがくそぅ…とボヤキながらそういうとツチヤはキョトンとした様子でそう言葉を返す。


チッチッチ。


ミナトの言葉が車内に響く。



「おん、舌打ちか?」




ツチヤは、何処かのオオダのような事を言う。


…会った事ないよな、この2人。

そんな事を考えながらミナトは口を開く。




「ちゃうわ。

おやつを買うにしても飲み物を買うにしてもスーパーの方が安いし、種類があるし確実に欲しいものはある。


コンビニに行くのは買い忘れとか買い足したいものがあった時に行くくらいがちょうど良いのよ。」


「あら、けっこうちゃんとした理由だったのね。」




それもその筈、計画性の鬼のアキの言葉をそのまま使っているのだから。

ミナトはここにいない友人に心の中で感謝しつつアクセルを踏む。




そして忘れてはならない事があり、南区にある藤野と言う所が札幌最後にあるスーパーと言っていいだろう。


休憩にしても、ここを逃すと定山渓に付くまでコンビニもない山道になる。

最近、開発が進み結構店があるが…定山渓のほうに進んでいくと急に店や家がなくなるので油断してはいけない。


南区の地理に多少詳しいミナトは、そう気をつけながら店を探す。













  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る