第36話裕子さんにご報告
【裕子さんにご報告】
「裕子さん、もう1つ大事な話があるんです」
「ん? 何?」
「正月明けに宝くじが当たった話しましたよね」
「うん、臨時収入がはいった、って話ね」
「はい、で、いくら当たったか言ってませんでしたよね」
「うん」
「それなんですけど、すっごく大事な話なんで聞いてください」
「はい、で?」
「年末ジャンボ、1等前後賞10億円当たったんです」
「えっ?」
「はい、10億円です」
「何それ?」
「自分でも信じられなかったんですけど、本当に10億円が通帳に記帳されて びっくりしました」
「あの時は冗談じゃなくて本当に10億円だったの?
なんか夢みたいな話ね」
「はい、でも本当なんです」
「そう、すごいわね」
「はい、あの~、他人ごとみたいな感想じゃなくて、いずれ夫婦の問題なんですけど」
「もう、気が早いわね」
「でもそうじゃないですか」
「そう・・・でもそんなにお金あるんだったら、もっと若くて綺麗な・・・」
またそんな話になりそうになったので
「ちょっと、待ってください、まだそんな事言ってるんですか、昨日のは何だったんですか!怒りますよ!」
「・・・ごめんなさい」
「もう今度そういう事を言ったらお仕置きです、いいですね」
「はい・・・でもお仕置きって・・・」
「お仕置きは・・・・・・婚姻届けです、すぐに出しますから、いいですね」
「・・・はい?」
「だから、強制的に俺と裕子さんの婚姻届けを出します」
「それってお仕置きになるの?」
「はい、裕子さんは、まだ俺と結婚する事に躊躇してますよね」
「・・・・・・うん」
「だから、裕子さんにとっては罰です」
「でも、本当にそれで良いの?」
「はい」
「わかったわ」
「あの、さっきの続きなんですけど、本当は裕子さんに相談してからじゃなきゃいけないと思うんですけど、勝手に使ってしまって・・・」
「ごめんなさい、でも何に使ったの?大丈夫なの?」
「ええ、将来の安定した収入を考え、株の運用とかの投資じゃなくて家賃収入を、と思いまして賃貸マンションを買いました」
「そう、よかった、安心したわ、そうよね、車も持ってないものね」
「すみません」
「ううん、違うの、そんなに大金持ってたら、車もベントレーとかフェラーリとか買っちゃうじゃない?
それと別荘とか、美術品とか、あと投資も、でもそういう買い物はしてないのよね」
「はい、賃貸マンションだけです。小心者ですみません」
「ううん、そういう堅実的なところがいいのよ」
「そうですか?」
「うん、前の旦那の話したでしょ、港区のタワーマンションのペントハウスに、フェラーリ、運転手付きのマイバッハ、骨とう品に絵画、別荘…とにかく派手好きって言うか、私から見れば滅茶苦茶なお金の使い方してて、そういうのが好きな人(女)もいるんだろうけど、殺伐として中身がないっていうか落ち着かなかったのよ、だから克己君がそういう人じゃなくて良かった」
「そう言ってくれるとうれしいです、やっぱり裕子さんの相手は俺しかいないって事ですよね」
「フフフ、そうね、克己君しかいないわね」
「ハイ」
GWの旅行でようやくもの心も恋人になれたと思う。
そして、
『何かあったら婚姻届けを出す』の約束。
やった!
それから、婚姻届けを区役所に行ってもらってきて俺と裕子さんのところに署名押印をした。
保証人の所はまだ空欄だけれど、そこはその気になればなんとでもなる。
それからは・・・裕子さんのところに泊まる度に・・・・ 朝チュン
どんどん恋人、いや婚約者・・・の1歩手前
裕子さんに、購入した賃貸マンションの上に住んでいる事を話して、どうしても見てもらいたいとお願いして、休みの前日
2人でお泊り・・・でも部屋が全然片付けていなくて、結局片付けと掃除で1日を費やしてしまった
「っもう、男の1人暮らし、ってこんなものなの?」
「・・・すみません」
「時々掃除に来るわ」
「・・・はい、お願いします」
「ところで隣?には誰か住んでるの?」
「いえ誰も」
「どうして?」
「裕子さんが俺と結婚したらこっちに住もう思って」
「・・・そっか・・・」
「はい」
「じゃあこっちの家も見たほうが良いわね」
「はい」
ずーっと無人・・・埃が・・・・
「こっちも掃除しなきゃ・・・今度の休みはこっち」
「・・・はい・・・ すみません」
結婚してから一緒に住むという言葉に、何の抵抗もなかった・・・やった!
それから、こっちの家を掃除してから
「克己君、これからこっちに住んだら?誰も住まないとどんどん劣化するし、埃だらけで掃除が大変よ」
「はい、そうします」
それから俺は少しづつ荷物を移しながら、大きい方に住むようになった。
それからも時々裕子さんがこっちに来て泊るようになり・・・当然朝チュン
足りない家具や家電製品を2人で買いに行ったり・・・気分は新婚さん、
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