最終話:やはり初孫の顔が見れるのは嬉しいものだ、そしてその後の生活は幸福なものだった
さて、娘が結婚して割とすぐに子供は出来た。
段々とお腹も大きくなってきて産屋の準備も整えてある。
あと俺たちにできることは
イアンパヌは熱心に祈っている。
「どうか娘にたくさん子供ができますように」
俺もその隣で祈っていた。
「どうか娘達夫婦の子供が無事で元気な子供が生まれますように」
下の子供達や婿もみんなで一生懸命祈っている。
そして、イアンパヌのときと同じように、アシリレラにもなるべく重たいものを持たせたりはしないようにした。
「ああ、アシリレラ。
水汲みとかは危ないから、全部俺や母さんに任せとけ」
大きくなってきた双子もいう。
「そうだよお姉ちゃん」
「私達に任せておいてよ」
ちょっとホッとしたようにアシリレラはいう。
「そうですか?
じゃあお願いします」
まあ、なんだかんだで水汲みもソリがあるから昔よりは楽だが、水をくもうとして川に落ちたりしたら大変だ。
ちびっこだった双子たちももう手伝いをちゃんとできるようになってるしな。
ほんと時間が建つのは早いもんだ。
安産祈願のための胞衣壺 (えなつぼ)を作って、生まれてきた子供の足形や手形を粘土に直接押し付けて残すための土版も作ったし、母の身代わりの土偶を作って、其れを意図的に壊して地面へ埋める作業も済ませた。
「神様どうかアシリレラの子供をまだ土に戻さないようにしてくれ」
あいかわらず出産のための産屋は俺がここに来た時に何故か一緒に転移してしまったアパートの一階を使っている。
そして無事出産は終わった。
「おぎゃあぁぁ! おぎゃああぁぁ!!」
アシリレラのお腹から出てきた血まみれでシワシワで小さい女の子。
初孫の顔を見れるというのはなんとも感慨深い。
「アシリレラも大丈夫か?」
「う、うん、大丈夫だと思うよ、お父さん」
いつものように赤ん坊は血などを拭き取った後、生活な麻布でくるんでしばらく床に置き産湯と産水につける。
産湯につけると喜び、産水につけるとちょっと嫌がる様子を見るとアシリレラが生まれたときを思い出すな。
生まれた赤ちゃんはアシリレラともに睡眠に入っていった。
「アシリレラよく頑張ったな」
俺はアシリレラの髪をなでながら母子ともに無事に出産が終わったことを
そして俺は後産で排出された胎盤を胞衣壺に入れて、今住んで居る竪穴式住居の入り口近くの地面を掘って埋めた。
孫が起きたら粘土板に手形と足形も押しておこう。
・・・
その後、イアンパヌとの息子は成人すると秩父の集落へ向かいそこで結婚することになった。
「ここなら銅とかの加工をもっと進められるからね」
「ああ、お前さんならうまく出来るさ」
息子は銅を使った金属器を広めるのに少し貢献したんじゃないかな。
絶対的な量や硬さでは石器に劣るところもあったのでそれがすごく広まったという訳じゃないけどな。
チニタの息子の方は成人すると同じ集落の別の家族の娘のところへ婿に入った。
「近いほうが母さんになにか有った時に面倒を見れるからね」
「あらら、ありがとうね」
さらに月日が立ち双子とチニタの娘にも婿が婿入りした。
そうして俺は孫に色々教えたりしながらその後ものんびりと幸福に暮らした。
まあ、いい人生だったんじゃないかな。
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