大家族になったし新しく大きな家を皆で建てるぜ
さて、俺の奥さんが二人、子供が6人になったことで正直家が手狭になってしまった。
「いまの人数だとちょっと狭くて危ないんで、もうちょっとでかい家を立て直したいんだけどいいかな?」
俺は村長のウカエチウに相談しに行った。
ウカエチウはちょっとだけ考えた後、俺の意見に頷いてくれた。
「そうですね、人数的に狭くて炉に子供が触れて、怪我などしても困りますし、建ててからそれなりに年月も経っていますので
立て直しをしてください」
俺はほっと息をついた。
この時代には土地や家の私有という概念はないが、だからこそ勝手に土地を使うわけにもいかないのだ。
「ありがとう、助かるよ」
「いえ、こちらこそチニタと子供の養育をしていただけて助かります」
「まあ、見知った顔だしな」
実際上の子供達を育てる時にどれだけ世話になったかを考えれば、もはや家族の一員にちかかったしな。
というわけで久しぶりに家造りだ。
まあ、集落のみんなの家を建て直す手伝いなんかはいままでも何度かしていたけどな。
だいたい竪穴式住居は10年位で建て替えるのだ。
まずは石鍬や木を削って先に銅の葉をつけた木鍬を使って地面をみんなで直径10m位の円形に穴を掘る。
前回より少し深く掘り下げ約1メートルほど掘り下げて、掘った土は周りに積み上げて穴に雨が流れ込まないようにしつつ壁の役割も持たせる。
前回より深く掘ったのはそれにより一年における温度変化が少なくなるなどの理由だ。
更に内部の高さをより高く確保する事で端の方の空間も有効に使うことができるしな。
銅の刃の付いた鍬があるだけでも土を掘るのがだいぶ楽になったもんだ。
で掘った円の中央部に炉をおいて、穴をほって6本柱をたてその頂部を梁でつないで、放射状に垂木を架け、屋根を被せれば完成だ。
早速、前の家から移動するために数少ない私物である寝具、土器や釣り竿、弓矢などを持って新しい家に移動する。
「おお、やっぱ広いし、端の高さが十分だと、端までちゃんと仕えてたすかるな」
俺の感想に二人の妻が同意する。
「そうですね」
「これで屋根に頭をぶつけたりしなくて済むわね」
前の家は端の高さは1メートルちょっとだったので、大人は屋根に頭をぶつけたりした。
今回はほった深さ1メートルに、盛り上げた土も1メートルぐらいあるので、端に来ても頭をぶつけない。
これは結構広さの感覚が違ってくる。
「すごーい、ひろーい」
「すごーい、ひろーい」
「すごーい、ひろーい」
ちいちゃい子供たちが中に入って目を丸くしてから喜んでいる。
上の娘も喜んでいるようだ。
「これだけ大きくて屋根もたかいと全部つかえるから助かるねお母さん」
「そうね」
各自がいままでの家から持ってきたものを、床においたり穴をほって埋めたりしていく。
で、中央の炉に他の場所で焚いている火を移してもらって引っ越しは完了だ。
「さて、引っ越しも終わったし心機一転頑張るか」
俺の言葉に二人の妻が頷いた。
「そうね」
「はい」
可愛い子どもたちをこれからも飢えさせないためにも頑張らないとな。
まあ、家が広くなってもみんなでくっついて寝るのは変わらないんだが。
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