子供は風の子というがなぜ幼児は冬でも走り回りたがるのだろうか・フグは縄文時代から食べられてきた魚だ
さて木の実や木の葉も落ちて冬がやってきた。
これからは秋のうちに収穫した穀物や堅果をちびちび食べたり、塩漬けにして干した鮭や、やはり干した茸などを水で戻して食ったりしつつ、狩猟で猪や鹿を狩らないといけない。
魚だとブリとかサバ、キンキ、コハダ、サワラ、ヒラメ、フグなんかは旬だけどな。
今日は家族総出で釣りをしている。
しかし双子は釣りはまだできないので一緒に連れてきた子犬と戯れている。
「さむーい、わんわー」
「さむーい、わんわー」
双子はそう言いながらそれぞれ別の子犬のワンコを追いかけて走り回っている。
追いかけられている子犬も嬉しそうに尻尾をふりしながら、ちょこちょこ走ってるのでちゃんと幼児に合わせて加減はしてるようだ、やがてワンコは双子に捕まってしまった。
「わんわ、あったかー」
「わんわ、あったかー」
双子が犬を抱きかかえてニコニコしている。
「おーあったかそうだな」
双子はニコニコしながら頷く。
「あったかー」
「あったかー」
抱きかかえられてるワンコもやっぱり嬉しそうだ。
双子は寒くなっても元気一派に走り回るのが好きだ。
お互いに追いかけ合ったり、犬を追いかけたりして四六時中走り回っている。
上の二人も勿論そういう傾向は有ったが、下の双子よりは家でおとなしくしていることも多かった。
「お前ら元気だな」
双子は勢い良くうなずく。
「げんきー」
「げんきー」
昔作った蒸気浴風呂に入らせたり、手洗いをちゃんとさせたり、箸や石匙をちゃんと使うことで本来よりは感染症になる機会は減っていると思う。
それでもたまに熱は出すが幼児の場合はそれは仕方のないことだ。
さて双子を除く家族は釣りをしている。
そしてこの季節はフグがたくさん釣れるのだ。
そしてフグが毒を持っているのはこの時代でも変わらない。
まあ、海の栄養分が少ない分だけふぐの毒も少し薄いかもしれないが。
ふぐの毒のテトロドキシンは猛毒であり、しかも自分が身を守るために自ら作り出しているわけではなく、海中の細菌が作り出したものをプランクトンが摂取し、そのプランクトンが貝に食べられ、その貝をヒトデが食べ、そのヒトデをフグが食べるなどで濃縮されると考えられている。
ただしフグは自ら腸内に細菌を寄生させ意図的に取り込んでいる可能性もあるらしいが。
テトロドキシンはとんでもない猛毒で、しかも加熱しても無毒化出来ないのだが、石川県名産の河豚の卵巣の糠漬けは本来猛毒が含まれている卵巣を何故か食べられる。
卵巣を一年間塩水につけ、その後2年間ぬか漬けにする。
そうするとなぜか卵巣の毒が抜けるのだ。
しかし、この毒素分解の仕組みは科学的には21世紀でも不明だったりする。
猛毒を含む卵巣をそこまでしてくおうとするのは日本人だけだろうな。
世界的に見てもふぐを好んで食べるのは日本とエジプトぐらいで、中国人ですら食べない。
「お、また釣れたぞ」
大きなトラフグが釣れた様子を双子が喜んでいる。
「とーしゃすごーい」
「とーしゃすごーい」
うん実は全然すごくないんだ。
夏のハゼ、冬のフグ、そしてボラはむしろ狙わなくてもいくらでも釣れるのだよな。
狙ってるのは寿司ネタのコハダとして取れる、出世魚のコノシロでそちらも釣れた。
まあ、たくさん釣れたので持って帰る。
「大漁ね」
イアンパヌたちもたくさん釣れたようだ。
「ああ、うまく調理を頼むぜ」
イアンパヌは微笑んでいった。
「任せておいて」
縄文人も全国でフグをくっていてその貝塚に捨てられている量はかなり多い。
特に湾の中にはでかいトラフグがいっぱいいるが、トラフグの毒は血液と内臓と目玉に含まれ特に肝臓と卵巣が毒性が強い。
逆に言えば血液をきれいに洗い流し内臓を傷つけないようにさばいて肝臓や卵巣、目玉などを食べず肉だけであれば大丈夫だということだ。
ただし似たようなフグでも身の部分にも毒があるやつも居るから注意は必要だがな。
フグの肉を食べる場合は徹底的に血抜きをする。
内臓をさばく時に肝臓を傷つけたらアウトだから特に注意する。
目玉、くちばしも食えないので貝塚に捨てる。
皮は処理すれば食えるが毒抜きが面倒なので食わない。
「はい、今日はフグとコノシロの鍋よ」
双木が飛び上がって喜んでいる。
「わーい」
「わーい」
この時代でもフグが美味で良い出汁が取れるのは変わらない。
グツグツ似て最後には脱穀した穀物を混ぜ込んで雑炊にすればとてもうまいぞ。
「ん、ふぐ雑炊は最高だな」
「そうね、本当に美味しいわ」
子どもたちもうまそうに食べている。
まあ、21世紀現代で食べようとしたらフグは馬鹿高いからな。
縄文人はフグの毒を経験的にどこに在るか知っていてちゃんと調理ができるようになっていてよかったぜ。
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