双子はなぜ一緒の行動を取ろうとするのか・この時代おむつはないけどおむつなしでも問題はなかったりする
さて、一時はどうなることかとも思ったが、無事、雪の降り積もる冬を乗り切れた。
そして下の双子の娘もそろそろ、喋ったり、よちよちながら歩けるようになってきた。
この双子の子供だがどうやら一卵性双生児だったらしい。
眠っていた双子がぱちくり目を覚まして同時に言った。
「しっこー」
「しっこー」
「お、おう、ちょっと待て。
イアンパヌ、娘がしっこだとー」
「はいはい、ちょっと待って下さいね」
俺とイアンパヌの間に生まれた下の双子の娘をそれぞれ一人ずつ抱えて、貝塚まで急ぐ。
基本この時代では便所はなく川にそのまま流すか、貝塚でしてその後、土をほって埋めるかのどちらかだ。
夏は川で、冬は貝塚ですることが多いが、夏は貝塚が臭いから、冬は川に落ちると危ないからだな。
春秋の場合は状況による、今日はまだ寒いから貝塚に向っているわけだ。
雨の日などは土器の中にして、あとで外に捨てに行く場合もあるが。
この時代にはおむつやおしめはないからその分大変は大変だが、本当はそういうものはしないほうがいいんだ。
娘のズボンをおろして、膝を抱える。
「ほれ、しーしーしー」
「あい」
娘がおしっこをしてる間はだまってまって、終わったらかぶれない草でふき取る。
「シーシー出たな」
「あい、でまちた」
こんな感じで「しーしーと言われるとおしっこをする」と娘達は学んでるのだな。
うんちをさせる場合は場合は”うんうん”だ。
どうやらイアンパヌが抱えてるもう一人も無事にできたようだ。
まあ、こういったしつけを娘にやったのは俺じゃなくて、イアンパヌや乳母をしてくれた女性だが。
こういった排泄行動にもだいたいタイミングがあって、寝起きやおんぶやだっこから降ろされたとき、授乳後、寝る前などが多く、ある程度は決まった仕草も在るらしい。
もじもじしたり、おしりをさわったり、泣いたり、授乳中に乳首をくわえたり離したり、体にぐっと力を入れたり、体をふるわたりなどという話だが、こういう細かい観察をするのは女性は得意だ。
そしてしばらくすれば子どもたちが、自分でサインを出してくれるようになったらしい。
女性は赤い色のちょっとした違いを見分ける能力も高いのだが、それは子供の体調を感じ取るために必要なことだから。
男は色の些細な違いには気がつけないのだが、その代わり対象との距離感や位置を感じ取る能力に優れているらしい。
まあ、獲物との距離や位置の飛び道具を使って狩りをするのには絶対必要だからな。
それにしても一人で二人の面倒を見るのは大変だったろう。
ホント乳母をしてくれた女性には感謝しか無いよ。
おしめやおむつをしなければ、お尻が汚れたりかぶれたりすることも少い。
だから、その分すっきりするってことだな。
現代では保育園に預けたりすると、保育士一人に何人もの赤ん坊もいたりするから、そういう面倒を見るのは難しいだろう。
専業主婦ならなんとかなるかもしれないが、やっぱり赤ん坊だからと意思疎通が取れないと考えてる人も多いんじゃないだろうか。
けど子供の理解力というのは大人が考えてるよりもずっとすごいんだぜ。
「んじゃ家に帰るか」
「あい」
「あい」
「そうね」
それにしても不思議なのは、双子の行動パターンがほぼ一緒なことだ。
寝てる時の寝てる格好も一緒、寝返りのタイミングも一緒、おしっこやうんちも一緒。
その分わかりやすくていいけどな。
ふたりともいちおう歩けるけどフラフラして危なっかしい。
だから、みんなで手を繋いで帰る。
下手すると子供が同時に転ぶけど、まあ、俺とイアンパヌで手を取ってやれば大丈夫。
上の子供達と同じように元気に育ってほしいものだ。
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