第17話 統合幕僚監部➁
「………………どうだ。こういう作戦にしようと思うのだが」
浜崎の説明が終わる。すると、すぐに佐藤が反応を示す。
「なるほど。その作戦なら文句はないな」
「それは良かったよ。何しろ、こういう作戦はシュミレーションの一環として計画したことはあっても、実際に行う作戦となると立案するのは初めてだからね」
「だが、一つ疑問がある」
「疑問?」
「ああ、インベルド王国とやらの軍はは実際、どれくらいの規模で、どんな兵器を運用しているんだ?」
佐藤の疑問はもっともなものであった。いかに作戦が優れていても、敵の戦力次第では、その効果や意味も変わってくる。それに、もし今回の戦争が格上相手なら、最悪日本が滅ぼされてしまう可能性すらあるのだ。非常に重要な要素と言ってもいいだろう。だが、重大な質問内容に反して、浜崎は笑いながらその疑問へと答える。
「どうも、大砲すら作れていないレベルだそうだ。基本的には中世の軍隊のようなものだと思えば良いだろう」
「中世レベルだと!?」
「だが、注意すべき点がいくつかある。一つ目は【キングバード】という大きな鳥の航空戦力を持っていること。二つ目は【魔法】を連中は使えることだ」
「な、何だそれは?巨大な鳥を航空戦力としてどうやって使うんだ?魔法に至っては訳が分からん」
「それに関しては、私から」
口をはさんだのは、白石だ。
「クラートによれば、キングバードというのは、全長10mほどの巨大な鳥で、口から火炎弾を吐くそうです。訓練されたキングバードは人を乗せれば操縦できるとか。最高速に関しては、速い馬と同程度とか鳥にしては速いくらいだとか色々言われているそうですが、詳細な値は不明だそうです」
「う、うーん。よく分からん………では、後者の魔法に関しては何なのだ?」
「そちらに関しては、この世界の住人は全員使えて当然だそうで………なんでも火や風などが起こせるらしいのですが、そちらも政府の調査中だそうです。ただ、あまり射程は長くないらしく、威力もせいぜい小銃クラスとの見立てが防衛省から出されています」
「そちらも分からんが、とりあえずは強くないのだな?」
「まあ、恐らくですが」
「二人とも、話は終わったかね?」
浜崎が佐藤と白石に問いかける。
「ま、まあだいたいは分かった?気がするが」
「ええ、私の知っている情報はもうありませんね」
二人の返答を聞いた、浜崎は、
「よし、これで本会議を終わりとする。では、各自作戦の準備をせよ!」
「「「「「了解!」」」」」
自衛隊史上初の大規模戦闘が、行われようとしていた。
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