第14話 須賀総理の決断、三人の芝居

「なるほど。二人の意見はよく分かったよ。その上で、決めさせてもらうが………」


 須賀の発言に、室内の全員が注目する。


「大まかな方針として、葉名外務大臣の意見を参考にさせてもらおう」


 須賀は、葉名の案を採用することにしたのだ。


「今の経済が混乱している状況を見るに、国民も大きく反対はしないだろう。石油を手に入れるためとなれば、彼ら彼女らだってきっと納得してくれるとも。そうに違いない」


「し、しかし憲法九条に違反を「くどい!川野君。もう私は決めたのだよ。それに、良いを見れたからねえ」


「芝居?」


「とにかくもうこの話は終わりだ。今日の閣議はこれにて解散!」


 川野が反対を続けるも、須賀がピシャリ。反対は多くとも、須賀の決断で一応の結論は出たのであった。


 ――――――――――

 閣議終了後 閣議室


 閣議が終わり、大臣がそれぞれ退室する中、三人がまだ残っていた。そのうちの一人、葉名が話し出す。


「先ほどはご協力いただき有難うございました。亜草副総理、金星経済産業大臣」


「いやあ、いいもん見せてもらったよ。完全に君の計画通りだったじゃないか。それに金星君の大根役者っぷりも笑えたよ」


「や、やめてくださいよ副総理。にしても、ここ最近は僕に貿易関連は責任を押し付けようと言う連中が多かったですから。食料と石油の二つが解決すれば、僕への当たりも多少は柔らかくなるはずです。感謝するべきなのは僕ですよ」


「そう言っていただけると助かります。しかし、総理は気づいていましたね」


「どうも、そのようだねえ。だが、あっさり見逃したということは君の案に近いことを彼もすでに考えていたのだろう」


「え?そんなことありますか?」


 亜草の発言に訝しむ葉名。しかし亜草は


「そうでなきゃ、あんな一瞬で決めないさ。どうも彼は失敗したときに出来る限り責任を我々に押し付けるつもりらしい。逆に成功すれば………」


「総理が敏腕を発揮した、ということにするわけですか。ふーむ。私はミスをしてしまったのでしょうか」


「そんなことはないさ。彼は考えが甘いよ、考えが」


「甘い、と言いますと?」


「君の案通りにことが終わればすぐに分かるさ」







「お、お二人とも僕のこと忘れてませんか?」


 二人の会話に置いてけぼりにされる金星であった。

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