イベント後の新(神)イベント
ふう…昨日は大変な間に合ったぜ、いろんな意味で……と学校の隅で心の中で1人でにボヤく。
てか綾瀬さん、昨日の「あれ」、覚えてるのかな…覚えてたら気まずいなんてレベルじゃねぇ。でも寝てたし。うん、多分大丈夫だ、多分…。
「あ…み、みなっち、おっはー……」
「あ、綾瀬さんおはよう…」
これ、やったな。この空気絶対あかんやつや。流石に鈍感系ラブコメ主人公でも気づく。顔逸らされてるもん。終わった…。
ただ、気づいたところでどうしろと?素直に謝るか?それとも気付かないふりして誤魔化すのか??はたまた一旦保留で綾瀬さんから言うのを待つ?………どれも勇気ある行動すぎん?それができたら陰キャになってないんだよな〜…。
「うぃ〜す翔太。今日も元気ねぇ顔してんな!」
なんてタイミングで来てんだお前!!…いや、この空気で2人でいるより軽く一億倍はマシだ。こいつが救世主に見えてきた。
「あぁ…神様仏様祐也様…」
「やべ、こいつ頭バグってやがる。キモ」
「朝から酷くね?!」
やっぱいつも通りだわ。いつも通り棘のあるセリフを淡々と吐いてくる悪友だわ。
「今お前俺のこと悪く言ってそうな顔してた」
「いやいや、んなわけ無い無い」
あといつも通りエスパーだわ。
……………ん?今、綾瀬さんが頬を膨らませてこっち見てたぞ。目があった瞬間逸らされたけど…朝から可愛いっすね、綾瀬さん。
「綾瀬さん今日も可愛いって顔してんな」
「お前エスパーなん!?」
こいつ将来超能力者と謳っても差し支えねぇな。あ、可愛いって言われて顔赤くしてる綾瀬さん、最高ですね!(キモくね?キモいね、俺。知ってた)
こっから授業か…学校だから当たり前だけど……キツイな〜…。
うぅ〜…やっと4限終わった…。公民とか地理とかなんか意味わからん単語ポンポン出て眠くなるわ。朝、昼飯買い忘れたし購買でも行ってくるか—
ピロリン♪
ん?珍しいな、俺が学校にいる間に連絡が来るのは。ちなみに俺の学校は校則が緩いため、スマホは授業中じゃなければ触っても良いし、頭髪検査もない。それもあってこの高校を選んだのもある。と、連絡してきた人は…………は?え??え???送り間違いですか?綾瀬さん…。
『弁当作ったから一緒に食べよ』
えーと、うん。誤送信だな間違いない。よし、購買行くか—
「なんで!?スルーしないで!!」
「ちょっ!ここ学校だから!!綾瀬さんの部屋じゃないから!手を引っ張らないでお願い!!!」
あと普通に周りの人の視線が俺に突き刺さってんのよ。やめて、こんなに注目されるの恥ずすぎるわ。
「なに?あの2人そういう関係?」
「綾瀬さんの家どころか部屋まで知ってんのか?あいつあとで締めよう」
「なら締める前に家だけでも聞いとこうぜ」
やばい。ちょっと聞こえたけど誤解されてるし、挙げ句の果てにろくな奴が1人もいねぇ…。取り敢えず、この場面だけでも切り抜け!でなければ○ぬ!!俺の本能がそう叫んでいる…気がする。
「わかった!じゃあ、場所移そ!」
「なんで?」
「いや…周り……」
「あ…」
綾瀬さんの顔が、ニュートンの投げたりんごくらい赤くなってる、見たことないけど。
ということで今俺たちはは屋上にいる。意外と生徒が立ち入らないランキング1位。小中でもあったけど一回も行ったこと無かった。これ共感してくれる人多いでしょ?…誰に言ってんねん。
「おーい、みなっち?起きてる?ご飯食べよ??」
っと、そうだった本題を忘れてた。っていうかあれ誤送信じゃ無かったんだ。
「うん、でもなんで急に弁当なんて作ってくれたの?特に何もしてない気が…」
「まあ、ね。そ、その…寝ぼけてる私の我儘聞いてくれたし…」
やめて!それ掘り返さないで!!こっちも恥ずかしいから!!でも「なんだコイツ」と思われてなくて良かった…。
「折角だしちょっと話さない?」
「あ、うん。全然良いよ」
「もうあと3週間だね」
「3週間?」
ん?唐突に3週間というワードが出てきて、咄嗟にオウム返ししてしまった。なにそれ、なんの期間?
「え?みなっち知らないの?」
「何が?」
「本当に知らないんかい!体育祭だよ体育祭!」
「…え?もう??早すぎん?」
そうなのか。今まで俺の学校は運動会とか全部秋にやってたから違和感しかない。でもこの5月下旬にやってくれのはありがたい。秋って天気不安定だし晴れたらバカ暑いしな。
「ってか3週間って短すぎじゃね!?そういうイベントって『クラスの仲がより良くなって欲しい!』とかいう奴じゃないの?」
「確かに、私たちみたいな新入生からしたら、『そんなに知らない人もいっぱいいるのにそんなので仲深まらないでしょ』って思うよね」
「わかる。まあ俺の場合、どの時期でも仲は深まらなかったんですけどね」
「そのエピソード、奥が深すぎて闇が見えた気がする。でも闇を持つ人ほど外見が良いってどっかの誰かが言ってたよ?」
「信憑性薄すぎるやろ」
「あっはは、言えてる」
久しぶりに学校で喋ったからか、綾瀬さんがいつもより笑ってるように思う。…まあ気のせいか。言っても3日くらいやし。
「で、種目はなに選ぶの?」
「あー、選べるなら個人種目かな」
「へー、意外。個人の方が団体より目立つからやらないと思ってた」
「うーん…個人の方が責任感そんな無いし気負わなくて良いから。楽な方を選んでるだけ」
「ふーん。じゃあ、体育祭は楽しみ?」
「まあ、高校入って初の体育祭だから楽しみっちゃ楽しみ」
「じゃあさじゃあさ—」
「こんな事してたらご飯食べる時間なくなるって」
「うわ!本当だ!!」
綾瀬さん手作りの弁当を食べれるという神イベントにも関わらず時間がねぇとか許さん。今日だけ休み時間50分延長しろ。今だけでも時が止まって欲しい(切実)。もっとゆっくり味わって食べたかったよ…。でもそうか、体育祭か…さっき何か言いかけてたけど、まあそれは追い追い考えることにしよう。今は弁当に集中だな。
「綾瀬さん、自炊するんだね」
「いや、今日の弁当が初めて」
「え?そうなの??にしてはめっちゃ綺麗だし、美味しいよ」
「本当!?嬉しい!やっぱいっぱい込めたからね!」
「ん?なにを??」
そういうと、唇を尖らせて俺の方に接近してくる。そして耳元で—
「みなっちへの愛情…」
「…っ!!」
「…じゃなくて、丹精込めて作ったよ!」
「そのワンクッションは心臓に悪いです!!」
「あはは!!」
今のは流石によろしくないです、綾瀬さん……。まあ、ね…ありがとうございます!(キモいって言うなよ?いや、いいや。綾瀬さんにこのセリフ言ってもらえるなら、キモいって言われるくらい屁でも無い。……このセリフが一番キモくね?)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます