弱ってる女子は格別可愛い(ただし可愛い人に限る)
そうか、今日綾瀬さん休みか〜…まあ一応でも友達だし、「大丈夫?」くらいの連絡は送るか。いや、疲れてる時に返事するの大変だろうし、ん〜…。
「ちょっと湊君、今空いてるかな?」
「え?まあ…」
急に俺らの担任こと、高崎香織先生に呼ばれた。
「どうかしましたか?」
「あ、いや、今日綾瀬さん休みだから課題とか届けてほしいな〜って」
「それなら女子に任せた方が…」
「先生もそう思ったんだけど、君が一番綾瀬さんの家に近いからさ、いいかな?」
「まあ、そう言うことなら…」
という感じで今俺は綾瀬さんの家の前に立っている。先生から住所を教えてもらい(それはプライバシー的に大丈夫なのか…)、課題を持ってきた。
取り敢えずインターホンを押す。
「あ、綾瀬さん…今起きてますか〜…」
『……』
まだ寝てるのかな、ポストに課題入れてささっと帰りますk—
『あ、みなっちだー…どしたの?』
「えっと…課題プリント持ってきただけだから……じゃ、俺は—」
『待って…ちょっとだけでいいから家寄ってってよ、寂しかったからさ…』
くぅぅ…!!そんなこと言われて断る奴なんてこの世に1人も居ないだろ!もし居たら目の前に連れてこい、崇めるから。
「わ、わかった…」
初めて女子の家に入る…なんか変に緊張してきた…。
「お邪魔します…」
「はーい、ようこそ…」
こうやって顔を合わせると、綾瀬さんが明らかに疲れているのが分かる、かろうじて笑顔ではあるものの、バレバレである。空元気という奴だ。
「本当に大丈夫?疲れてそうだし、ふらふらだよ?」
「大丈夫大丈夫、心配しなさんな」
「それは大丈夫じゃない人がいうセリフだ、まずは一回ベットに横になってて」
「う〜ん…」
俺が綾瀬さんに肩を貸し、やっとのことで部屋まで来た。
「あ、聞いておくんだけど、入って大丈夫?」
「うん、それは安心して、信用できる人しか入れないから」
ああぁぁぁあ!!嬉しいけど…恥ずかしい!てか今日の綾瀬さん可愛すぎるだろっ…
「ん、どうしたの?急に立ち止まって」
「い、いやなんでもない。ところで今日ご飯とか食べた?今お腹空いてたりしない?」
「ん〜朝は食べたけど…それからは食べてない…」
「じゃあ、なんか作ろうか。キッチン使っても良いかな?」
「それは全然良いんだけど…申し訳ないよ……」
「いいよ、元々は雨の中走るのを止めなかったのもあるし……」
「いやいや!!それは完っっっ全に私が悪いだけで—」
「いいからいいから。じゃ、なんか作ってくるけど食べたいものとか、ある?」
「んーん、特に食べたいものはないよ…というか今日のみなっち、優しい……」
いつもは優しくないんかい、なんていうツッコミはやめておく。
「わかった、じゃあ作ってくるね」
(あ〜、女子の部屋にいる事実+部屋着は流石に目に毒だったな…足早に出てきてしまった)
結構時間かかってしまった…というのも、買い物は家が近いが故に土地勘があってそんなに時間は掛からなかったが、慣れないキッチンでの料理は正直キツかったな…まあ、これも綾瀬さんのためと思えば。ちなみに作ったのは、定番中の定番であるおかゆ。風邪にはネギと梅干し、一応綾瀬さんに食べれるか聞いておいて大丈夫だったので入れてみた。
「綾瀬さん、入るよ—」
「待って…今着替えてる…」
「っ…!!」
危なかった、念のため聞いておいて正解だった。あと一歩踏み出していたら犯罪だったぜ…。それから2分くらいして、
「終わったから入って良いよ」
「わ、わかった」
「おぉー!おかゆだ!!ていうかみなっちって料理できるんだね」
「いや、普段は全く作らないんだ。綾瀬さんの為にレシピとか見て作ったやつだから。」
「あ、そうなの………ありがとっ…」
「う、うん…」
いやだから!!いちいち可愛いのやめて!—
「あっつ〜い!!!」
「ごめんごめん、出来立てだからね」
「あ、じゃあ—」
「俺にそれを冷まして食べさせて欲しいと?」
「うん、ダメ?」
「いいよ」
ここまでくると、庇ひ護ご欲が出てきて食べさせたくなってきた。あと、普通に上目遣いは反則です、断れません。
「ふー、ふー、はい」
「うん、あ〜ん」
「うぇ!?!?」
「え?どうしたの?早く早く〜」
こう間近で見ると急激に羞しゅう恥ち心が襲ってきた、今の俺にはヘタレと言われても何の文句も言えない…。
「はい、どーぞ」
「あーん、ん〜!美味しい!!」
「それはよかった」
今んとこ、家にいるより100倍充実した時間を過ごしているな。
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