大乱闘のクラスマッチ 編
第17話 身長は190センチ、髪は茶。
クラスマッチ。それは毎学期末に行われるスポーツ大会みたいなものである。
サッカー、バドミントン、そして何故かオセロ。学年、クラスごとにその3つに別れて、1位を競うのだ。
「3学年3クラス。系9つのチームで戦うトーナメントバトル!高校にこんな行事があったなんて知らなかったよ!」
勝負事になると燃えてくる性分の
「私も参加していいのかしら……ロボットに参加資格はあるの?」
「大丈夫だと思いますよ。先生も認めてましたし」
一愛はラケットを握って調子を確かめた後、笑顔で言った。そう言われては全力でやるしかない、と真季那も気合いを入れる。
「2人ともー!トーナメント出てるよー!」
体育館のステージ上の黒板に貼られたトーナメント表の前で、人美は2人に手を振る。そのトーナメント表には、1、2、3年生の各3クラスから3人ずつ、合わせて27名の名前が書かれていた。今回は
「あら、人美とは結構離れてるわね。戦えるとしたら決勝かしら」
「それまで残れる自信は無いね。中には2、3年生も混じってるわけだし」
「あ、私は人美さんの近くですよ」
「ホントだ。一回勝てばイノリんと試合か」
3人はトーナメント表を見ながらわいわい話していると、ふと周囲がざわついている事に気付いた。
「ん、何だ何だ?」
人美はおしゃべりを止めて周囲に聞き耳を立てていると、皆は体育館の入口に目を向けている事が分かる。人美たちもそちらを向くと、今まさに一人の男子生徒が入って来た所だった。
2メートルあるのではないかと思うくらい大きな体躯。着ている体操服も筋肉でぴちぴちになっていた。電話ボックスすら持ち上げられそうなそのいかつい筋肉に、人美は思わず呆然とする。
「なにあの人……めちゃ凄い筋肉」
「あれは一昨年から毎学期優勝していて、恐らく今回の優勝候補でもある。
人美の呟きに返したのは、偶然隣にいた名も知らぬ女子生徒だった。一昨年のクラスマッチを知っている口ぶりからするに、3年生の先輩なのだろう。
「その平凡な名前に反し、神がかった速度のスマッシュが得意技の筋肉モリモリマッチョマン。ついた二つ名は《ゴッドスマッシュ佐藤》」
「ゴッド、スマッシュ……」
親切に解説してくれた先輩の言葉を復唱する人美。それを聞いた一愛は、佐藤さんとは当たりたくないですね、なんて思いながらもう一度トーナメント表を見上げる。
「……!?人美さん、真季那さん!これ見てください!」
「え……?」
突然声を上げる一愛に、何事かと振り向く人美と真季那。一愛の指さす先は、トーナメント表の左端。ゴッドスマッシュ佐藤の名前の所だ。
そしてその隣には、真季那の名前が。
「マキの一回戦の相手……ゴッドスマッシュ佐藤さん!?」
いきなりの展開に驚愕する人美。対して真季那はさして動揺もせず、むしろ好戦的な笑みを浮かべていた。
「マキ、大丈夫なの……?一回戦目からすごい強敵そうだけど……」
「あら、むしろ相手にとって不足はないわ。
「おお……マキがやる気だ……!」
真季那が本気を出せば、普通の人間ならばまず勝ち目はない。なので普段は本気を出す事はないのだが、今日の真季那は久々に
やがて全員が集まったという事で、先生の指示のもと、バドミントン班のクラスマッチが始まった。
体育館には4つのコートがあり、4試合を同時進行で進めていくようだ。そしてステージに一番近いコートで、真季那と佐藤さんはネットを挟んで向かい合っている。
【ゴッドスマッシュ】佐藤
「おん?初戦から俺に当たるとは、おまえの今日の運勢は最悪のようだな」
「ええそうね。せっかく張り切って来たのに初戦で潰れてしまうなんて、貴方の運勢は最悪ね」
「ほお……言うじゃねぇか」
ムキムキの佐藤さんの威嚇に、ほくそ笑んだまま挑発で返す真季那。余裕を見せつけるような彼女の態度に、佐藤さんは筋肉に青筋を立ててサーブの構えを取った。いよいよ試合が始まるのだ。
「泣いても知らねぇぞォォォ!!」
悪役みたいな凶悪な笑みを浮かべて、佐藤さんのサーブが高く上がる。
待機している選手のほとんどが注目する中、今大会最初の決戦の幕が上がった。
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