「させていただく」が使える場面とは?
Column1 「~させていただく」とは何か
今回は「~させていただく」について考えてみようと思います。
☆
「させていただく」という敬語は、動詞「する」の使役形「させる」に、連結の「て」で、「もらう」の謙譲語「~ていただく」を繋げた言葉です。
「させていただく」=「(さ)せる」+「て」+「いただく」
「いただく」が付いていることからも分かるように、これは謙譲語に部類されますが、単純な「謙譲語」として扱うことができない敬語なのです。
「させていただく」には大きく二つの用法があります。
一つは「厚かましくて申し訳ないと思いつつも、あなたが許してくれたので私は〇〇します」というもの。
例えば、パーティで参加者がスピーチをすることになっているけれど、中々勇気が出なくているときに「ぜひ、スピーチをお願いします」と言われたときに、「それでは、ご挨拶をさせていただきます」という風に使います。(野口恵子『失礼な敬語 ~誤用例から学ぶ、正しい使い方~』参照)
もう一つは「相手の意向などを全く考慮せずに、一方的に私がすることを宣言します」というもの。
多くの方がどこかで聞いたことがあると思いますが、妻が夫に腹を立てて「実家に帰らせていただきます!」というのがこの使い方です。
二つの用法を眺めてみると、「させていただく」には両極端の意味が備えられていることが分かります。
そのため使いどきを誤ると、人によって「慇懃無礼だな」と感じてしまうので、使い方に注意しなければいけない敬語なのです。
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