謙譲の「お(ご)～する」+「できる」の話

　今回は「ご利用できます」について、取り上げようと思います。

　　　　　☆

　――会員の方は、ご利用できます。

　最近、この言い回しを見かけることがありますが、これは敬語の表現としては不適切です。

　上記の中で敬語に該当するのは「ご利用できます」なのですが、「ご(お)～できます」の形は「謙譲語」の可能表現です。

「謙譲語」とは、「自分の行為についてへりくだるとき」に使う表現です。つまり上記の文では、会員の「利用する」という行為を下げてしまっている(もしくは「サービスを提供する側の行為を高めている」)ことになるので、これは敬語のルールに当てはめると誤った書き方(言い方)になってしまうのです。

　では、どのような書き方がいいのかというと、尊敬語を用いたものが次の例がベストです。

　――会員の方は、ご利用になれます。

「ご(お)～になれます」は、尊敬語の可能表現です。これを使えば、「利用する会員の方」の行為を高めることができます。

　ちなみに、否定で使うときは下記のようになります。

　――会員以外の方は、ご利用になれません。

　ちなみに「ご利用できます」のほかにも、「ご乗車できます」という言い方も、よく不適切なものとして取り上げられます。こちらも「ご乗車になれます」とするのが適切です。

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