4章:ハーレムと思惑と運命
4章前半:変態メイドとのじゃロリ精霊と我慢
第82話 エッチなのはいけなくないと思います
俺は、ベッドの上からロゼッタとリーゼの2人の旅立ちを見送った。思い立ったら行動が早い2人だから、こちらが、予定とか、計画とか、何も聞く前にさっさと行ってしまった。気の早いことだ。
ふと、二人の言葉を思い返していた。
「アンとルカに不誠実になるな…かぁ」
ロゼッタにそう念を押された件だが、ルカについては、何とか連絡を取れないか、探してみるのもいいな。アンは…いる場所わかっているんだし、近々手紙でも出すかな。
「とはいえ、先にやるべきことがあるよな」
膝の下から、
まずはハンター協会に行くことにする。
「治療の依頼と、休業届けだな」
脚を失った俺だが、このことについて、リーゼに話した通り、そこまで悲観はしていない。まずは脚の再生治療は、金銭の支払いで可能な話だからだ。
その間の金銭についても、ハンター協会に頼めば、治療の仕事で稼ぐことも出来るだろうという目論見もある。
「え?シダンくん??えええ!?」
ハンター協会に顔を出したら、キースさんたちがいた。まぁ、俺は脚を失ってるわけで、その人が歩いてきたら…そりゃあ驚くだろう。
「これは驚いた…シダン、お前…ほんとうに器用だな」
「シダンくんのギフトってなんでもありよね…」
脚から
「みなさんも、無事そうでよかったです」
「お、おう…シダンくん、明るいなぁ…。それはともかく…ルーリが、シダンくんが起きたら話があるって言ってたよ」
「ルーリさんが?」
「おう」
キースさんに促されて協会の受付に行くと、ルーリさんが相変わらずの無表情で対応してくれた。
「お疲れ様です。シダンさん、まずはハンター証をお願いします」
「あ、はい、どうぞ」
「まず、シダンさんは、本日より、
わー。やっぱり上がってたー。13歳で階級7って、普通の人が聞いたら冗談にしか思われないよねぇ。リトルリーグ始めたら1年で、メジャーリーグからスカウト来たってくらいぶっ飛んでる。
いつの間にか、ルーリさんの後ろには事務員っぽい人が3人ほどいる。事務員、また増員したんだ…。後ろにいる事務員さんに俺から受け取ったハンター証を渡すと、ルーリさんはこちらをまた見た。
「それで、脚を失われたことに関してですが、シマットハンター協会ロクフケイ本部からの通達は以下になります」
「はい」
ルーリさんが、どこからか紙を出してきて、それを読み上げる。
「治療の手配をすでに依頼しており、治癒系統の魔法使いにわたりを付けてもらっています。おおよそ5年程度で順番が回ってくる予定です」
「なるほど…ありがたいです」
「そして連絡が取りやすいように、ロクフケイ本部に拠点を移してほしく、移動は、そちらにいるパーティーメンバーの
「また、治療を終えるまでは、休業とさせて頂きますが、特例措置として、脚が治るまでロクフケイの治療院でハンターの治療を仕事とすることで、階級7のハンターとしての給料を保証させて頂きます」
破格の待遇と言えばそうかもしれない。階級7のハンターは、世界で100人程度しかいない、エリート揃いのハンターの中でのトップランカーだ。
給料は何と、月に
特別報酬は、一定程度の格を持つモンスターを狩らないとほとんど得られないから治療院で働いている間はないだろうけど。
確かにすごい給料ではあるが、このクラスのハンターだと装備品やそのほかの諸経費にも、ひどく金がかかるので、これだけ多くても、余るということもない給料なんだよねぇ。
例えば、
しかし、総
適正階級8のモンスターとの戦いで、普通の店で売っている量産品の、鋼鉄製の武器を使っていたことが、そもそも正気でないのだ。
『
階級5くらいまでのハンターは、コスパのいい武器で戦うが、6、7あたりからは、このレベルの報酬になるので、コスパよりも武器の性能を取る。鎧もいいものを揃えるようになるので、金もかかるのだ。
「以上になります。何か質問はございますか?」
「1つ…ハンターイワはどうなりましたか?」
「
「はい」
ルーリさんが、珍しく表情を変えて、申し訳無さそうな顔になった。
「
「は?」
「最後の拠点登録は、ロクフケイで、リザ村での狩り任務を受けていたはずなのですが、どこにも姿を現していません。重要参考人なので、協会でも探しているのですが…その
要するに、手掛かりなしか。参ったな。まぁ、ハンター協会でも追っているのなら、任せるしかないだろう。
「ええと、あと、ロクフケイには、いつまでに行けばいいですか?」
「出来る限り早いのが望ましく思います。
ルーリさんがそう言ってキースさんを見ると、うんうん、と頷いた。ちなみにリーゼは、ロゼッタと旅に出るため、
どうやら、リーゼが、俺のために何か美味しいものを取りに行くことは、突発的に思いついた訳ではなく、ここ2週間、何となくは考えていたことのようだ。ロゼッタも準備万端だったみたいだしなぁ。
「わかりました。キースさん、この話が終わったらすぐにでも行けますが、どうしますか?」
「うん。そうだね。この時間なら、夕方までには、ロクフケイに着くと思うから、行っちゃおうか?」
「それではよろしくお願いします」
ルーリさんから、
村を出るときには、ザインさんや門番2人組やカーニャもミーミもみんな見送ってくれた。何だかんだ半年居たからな。顔なじみばかりだ。
別れを惜しみながらも、村を出て、ロクフケイ2向かう。ロクフケイまでは、山道を下り続けるルートだ。もともとは、チャドさんが、俺を背負いながら、ロクフケイまで移動する予定だったらしい。
だが
「ちょっと絵面が怖いけど、早く移動できるから…ま、いいのか…なぁ??」
20本の地下茎が、うねうねと俺を運んでいる姿は、知らない人が見たら、植物のモンスターと間違えるかもしれない。
2時間ほど山を降りて、気持ち気温が上がってきたあたりで、キースさんがみんなに声をかけた。
「お、ちょっと待ってみんな」
「どうしたんですか、キースさん?」
「この山菜、美味しいんだよ。取ってって、ロケフケイで料理してもらおうぜ!」
キースさんが指さした先には、葉の先がクルクルとなっている小さな葉があった。見た目だけなら、地球のワラビにそっくりだ。
「何て名前の山菜なんですか?」
「ニカグチだったかな?」
「ニカグチですか…どんな風に食べるんですか?」
「ちょっと酸っぱい酒がすすむやつにする」
「その説明…いくらなんでもざっくり過ぎません?」
マリーさんが、キースさんの雑な説明に呆れた顔をした。
「酸っぱいっていうのも、決まった手順でやらなくちゃいけないんだよ。手順間違うと、苦くて食べられなくなっちゃうんだよね」
そして、キースさんの説明をそんな風に、簡単に補足してくれた。要するに、アク抜きが必要ってことなのかな?ワラビならアク抜きしないで食べると、お腹下しちゃうしね。
「ニームルって料理なの。シマットではよく食べられる家庭の味だねぇ」
「ニームルですか〜」
「そ。確かに、ニカグチをニームルにしてもらうと美味しいし、お酒に合うんだよねー。よし、いくつか摘んでいこう?」
マリーさんは、お酒が大大大好きだ。マリーさんの恋人であるキースさんもお酒が好きだが、マリーさんは底なしなので、キースさんの3倍は飲む。だから、いっつもキースさんが先に潰れている。
「じゃあ、俺がやっときますよ…
移動に使っていた半分の
「…何をやらせても便利だな…
チャドさんが感心するようにポロっと言ったが…なにそれ?
「チャドさん…そのなんですか、2つ名って…」
「階級7以上になると稀に協会側から勝手に付けられる名前とは別の呼び方のことだ。階級8なら絶対に付けられるがな。市場価値を高めて、国に対してこんな有能なハンター抱えている、とアピールするためだな」
「…で、その
「ああ、もう
チャドさんは、俺が10本の
うーん。20本手があるのと一緒だからなぁ…。複数の
「その恥ずかしい名前は受け入れるしかないのか…」
※※※※※※
特に大きなトラブルもなく、夕方になる前には山を降りることができた。ロクフケイ本部について、
「じゃあシダンくん、俺らはここらで失礼するよ」
「山菜わけてもらっちゃってありがとねー」
「また、用事があればいつでも言ってくれ」
そう言って、
だから3人と話してそうしたのだ。そのうちまた、一緒になることもあるかもしれないけどね。
3人と別れたあとは、ハンター協会に呼ばれて、個室でこれからの治療院での仕事について説明を、再度、受けていた。
雇用条件については、リザ村で聞いていたものと変わらないどころか、さらに好条件を提示してきた。
「シダン様は、隣の治療院に宿泊施設も用意しました。ここは家賃不要です。また、あと脚が不自由なシダン様に、身の回りの世話をするようにメイドを手配してあります」
「そ…そこまで至れりつくせりなのか…」
「当然です。
確かに高度な
「では、世話をするメイドをすぐに呼んできますので、そこでそのまま、お待ち下さい」
受付の人が後ろに引っ込んで1分ほど待った。すると、カチャカチャ、と部屋の扉を開けて、誰かが入ってきた。
「シダン様〜♪」
入ってきたメイドさんは、開口1番そう言った。この甘ったるく、間延びするような喋り方をするメイドさんなんて、この星に1人しかいない。
「アン…なんでここに?」
「本日よりぃ〜貴方様のぉ専属メイドとなったアンですぅ〜。1年前よりぃ、成長したぁこのボディでぇ〜ついに、ついにシダン様…いえ、ご主人様のぉ〜性的な欲望を余すところなくぅ〜受け止める日がぁ来たのですねぇ〜。メイドとしてぇ〜たっぷりご奉仕させていただきますぅ〜」
相変わらずのぶっ飛んだ表現で、アンがそう挨拶してきた。
確かに前に会ったときから1年弱ではあるが、アンは、こう、身体の凹凸が、フワっとしているハズのメイド服の上からでも、その存在感を以前よりも強く主張している。
「どうですぅ〜?ご主人様ぁ〜♪私をいますぐ押し倒してぇ〜青い衝動にぃ〜任せるがままにぃ〜貪りたいぃ食べたいでしょう〜♪」
全身柔らかそうな、いわゆるマシュマロボディというやつだな、これは。グラビアアイドルとかでも、男性諸氏からの熱狂的な人気があるタイプ。
思わず、青い衝動に任せるがままに…
「じゃない!…ちょ…ちょっと、そ、それは待ってくれる?」
「冗談ですよぉ〜。それにリーゼからぁ連絡はぁ貰っていますぅ〜のでー」
危なかった。今よく止まったな、俺。最近、こう身体の方から、実に若い男らしい反応がビキビキきていて、精神をあっさり凌駕しそうで怖い。
それはともかく、アンが「リーゼ」と呼び捨てにしていた?前はリーゼ様と呼んでいたような気がするけど…え?連絡貰ってる?
「リーゼから?なんて?」
「ご主人様♪のぉハーレム入りとぉ、ロゼッタさんとぉ2人が帰るまでのぉ〜監視役ですぅ〜」
「監視役。何それ…」
「これ以上〜ハーレム要員を〜増やさないためのぉ〜監視役ですぅ〜」
信用ないな俺。
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