書架で俘れる、取り留めない主眼

 筆が立つ護美箱への事物のまとわり。あたまとからだに訳される、転がした電子タバコと夏の大三角まで。やはりふわりとかおる。冷床に舌を揮い合図を送る重げなイッペンに、星座占いのひらがなは不埒である。餌食を紅色にかなめ、アオクあついワインとくれないアイスクリーム、夥しい半熟の夕暮れにいた、古着浴衣。脳裏に割り振られる壱錠イチジョウの。中指から人差し指にひとすべり、前列を口移しに 目潰しに 喉元に、転がるような打水みたいに、列べく、焼かれた草笛のような喉仏と嗄らす。水中花の手燭を妄想し尻尾を掴む、はだしむなしいほどズレる。杭を撃たれた奥付、走り書きの蜈蚣のヒヤリングと偲び。深く浮かんだ山百合の生き写しに、豪快で高尚な片蔭の締まり、陸地の裏側に史実に基づいた夕顔の因果律を、雑然に言語化している 空蝉は 怖気ているように、うじうじとなるべく。淡白に斬殺す。薄闇格子に見劣りした貧弱な役者をたせ、隔離された加護に留まる取引を、乱雲と沼地に吸い込み。おためごかしの器具に宛がい。ああ やらかいピンクに灼き焦がれたあたり蚕蛾のcapsuleと致す。二月ふたつき一ダースの酸鼻、浅い月の幼馴染の泪袋に、山苣エゴの花が忘れられずに。


午後0:31 · 2022年4月19日

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