ぬたうつまはる
霞のさきに、沢山の影を見たのだと思う。丘陵に列をなし遠くまで行進する大小さまざまな影 だったと。顔はよくみえずただなぜだかそちらに誘われている気がしてならないと 震えていた。雅楽のようで鐘の音のような、易しい声がしたのだと
春の世の夢だと知らされるほどに仄かな闇が容易く強請るもの。かと言えは散り 際に襲い混まれ濁濁とした思ひの具現化でしかないとそれでは、例えば泥に崩れた 種のひとつの芽吹きと風の悪戯に過ぎないのだからと、せいぜい嘆いているぐらい 陳腐で雑なものに引っ掛る。
時々おかしくなる季節に寄せて箍が外れるときがある、今日はまあるい龍月夜 だ。これはきっと桃源郷なのだろうとカマ掛けると、そういったもので。
散々恋焦がれていた空蝉が擬態した紅葉がじくじくと熱を膿み剥がれ落ちる。そ の命の焔が焦げ付いてかげかたちを催しい何れとも季節は春と擬態してみせ、それ が記憶に残る唯一のイタミだからだと、墨で
全く強引な展開ですが、そんなものです、世の中ってやつは意味も理屈もいりません。
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