第46話 いざ初陣へ!
反董卓連合の
群雄の一人、
すぐに董卓のところへ持参した。
『ここに書かれている董卓という男は、犬畜生にも劣るケダモノじゃないか』
なぜか悦に入っており腹心たちを当惑させた。
参戦を決めた諸侯の数は全部で十七。
私財をばらまいて兵士を集めていた。
筆頭は袁紹軍の五万である。
曹操の推薦により連合軍のリーダーも袁紹に決まった。
総勢三十五万。
東と南から洛陽を落とす狙いらしい。
呂布軍には待機の命令が下された。
『緒戦で出すのは惜しい』という判断らしい。
もうすぐ呂青の初陣である。
高順や張遼に協力してもらい馬上槍の完成度を高めておいた。
「何を作っているのですか、母上」
ある夜、呂白が母の英姫に尋ねた。
「お父さんのお守りを作っているの」
「お守り、ですか」
呂布が出陣するたび英姫は木を彫った剣をこしらえていた。
ストラップの紐が付いており首にかけられるのだ。
お守りは毎回新しいものを用意する。
英姫の衣装箱には過去に呂布が身につけた木剣が何十と入っていた。
「私も作りたいです! 兄上のお守りを彫ります!」
その話を聞いていた呂琳と呂蓮も興味を示した。
「小刀の扱いには気をつけてね」
英姫が見守る中、三姉妹のお守り作りが始まった。
戦況は毎日のように入ってくる。
勢いがあるのは南から攻めてくる袁術と孫堅だった。
応戦しているのは
防衛陣地を築いて足止めしようとしていた。
すぐに救援の要請があった。
火計により少なくない被害が出た、と。
増援として白羽の矢が立ったのは呂布である。
「いよいよ戦だ。青は生きて帰ることだけを考えておけ」
「はい、父上!」
出陣の前日、三姉妹のお守りが完成した。
「誰がどのお守りを作ったと思いますか?」
呂青の前に似たような木剣が三つ置かれる。
「う〜む……」
分からない。
クオリティ的にはどんぐりの背比べだ。
もっとも不器用なのは呂琳である。
普通に考えるとデコボコの激しいのが呂琳作なのだが……。
「これが琳のやつか」
肌触りの一番良いやつを呂青は手に取った。
「どうして分かったの⁉︎」
「琳は毎日遅くまで頑張っていただろう。この木剣が一番時間がかかっている気がする」
正解だった。
呂琳の目尻が潤んだ。
「兄上のご武運を祈っています」
「琳……」
急にしおらしい表情を見せてくるから、呂青は照れのあまり首の後ろを
「姉上は本当に兄上のことが好きだからね」
呂蓮が冷やかすと「うるさい!」と呂琳は吠えた。
「しかし困ったな。お守りが三つになってしまった。父上は一つなのに……」
呂青はポンと手を鳴らす。
「俺は琳のお守りをもらう。蓮と白のお守りは高順と張遼に与えてもいいだろうか。どちらも呂布軍を支えてくれる猛将なのだ」
呂蓮と呂白はOKしてくれた。
そして出陣の朝。
屋敷の前まで高順と張遼に足を運んでもらった。
「高順、張遼、頼りにしています」
英姫が見守る中、二人の首にお守りがかけられた。
「呂布軍の強さを天下に知らしめてきます」
高順が言う。
「そうです。殿に不運があるとすれば、今まで好敵手に恵まれなかったことです」
張遼が力強く頷く。
母と妹たちに見送られ呂青は屋敷を後にした。
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