【SF&コメディ】かざぐるま

 ある店の前を通った時、看板に複数の風車が飾られていた。

 どうやら手作りのものらしい。

 風のない日だというのに風車はどれも回っていた。

 私は立ち止まり、じっとそれを見上げていた。

 風もないのに回る風車。つまりこれらの風車は、風以外の何かに反応して回っているのだ。

 ひょっとして世紀の大発見の場に立ち会っているのではないか、と私は思った。

 風車たちを回しているのは、これまで誰も発見したことのない未知のエネルギーなのかもしれない。


 私がそんなことを考えていると、店主らしい男が店から出てきて私に声を掛けた。

「お客さん、どうしましたか」

「いや、この風車が気になってね」

 すると店主は得意げに言った。

「ああ、これですか。こうして回っていると涼しく見えていいでしょう? 自信作なんですよ。外からわからないように電気で回しているんです」

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