【ホラー】庭の木

 庭の畑に見たことのない木が生えていた。

 自分で植えた記憶はない。木といってもまだ苗木で、高さは私の膝下くらい。

 風に運ばれて種が飛んででも来たのだろうか。

 私は少し迷ったが、その木を育ててみることにした。同じような物ばかり育てていて少々マンネリを感じていたのだ。

 これも何かの縁。たまには変わったことをしてみるのもいいかもしれない。


 その判断は間違いだった。

 その木はみるみるうちに大きく成長し、養分を吸い上げて周囲の植物を枯らし始めた。

 気付いたときは手遅れだった。引っこ抜くにももはや大き過ぎるし、ノコギリでも歯が立たないほど硬い。

 木は庭中を枝と根で満たすと家屋のほうにまで浸食し始めた。

 私はただそれを茫然と見ているしかなかった。

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