第40回(実質36回)目を背けても、向こうから顔を覗き込まれる。

 既にここまでお付き合いいただいた方々の中にはなんとなく察してらっしゃる方も居ることとは思いますが、現在新作を書いてます。

 いつも通り完パケで順次高回転でアップロードというやり方になります。

(※たとえ死んでもエタりたくない病保菌者)


 通常時なら、なんらかの社会課題(社会問題)をインプットに、あるいはエンタメ方面から創作意欲を接種して、原稿画面に向かってひたすらキーボードに打つべし打つべししているところなのですが……。


 ちょっとここ2週ほど具合がよろしくないです。


 というのもエンタメ方面と社会課題方面が交雑する事態に陥っていまして、しかも作品のモチーフとして選んでいない内容なので、ただのストレスでしかないという。

 それが2週にわたって、2件発生しました。

 

 まずは比較的軽症な方から。


 ごく最近、大手SNS3種(X、スレッズ、ブルースカイ)のどれ見ても話題になってる非常に目立つところで林原めぐみさんのブログ炎上問題です。

 ……実を言うと彼女のラジオは彼女が結婚する前後くらい(私がまだ子供だった頃)はよく聞いていました。それが「明日学校早いから……」となってリアルタイムで聞けなくなり、いつしか聞かなくなりました。


 それからかなり時間が経って、だいたいカクヨムに原稿投稿しだしたくらいの頃。

 TBSラジオの日曜、月1で翌日の朝の放送が始まるまで地上波で、そこから先はツイキャスで朝まで配信する深夜の「文化系トークラジオLIFE」という番組がありまして、それを聞いていた時期がありました。

 犬が2匹とも亡くなって執筆作業に時間を割くようになってから、この番組も聞いておりません。(何しろ宵っ張りは時間も体力も吸われるので)


 そのLIFEを聴取していた頃、1度だけ「ついでだし、久々にTBN(林原さんのラジオ番組)聞いてみるか」と思って12時からTBSラジオを聞いてみたことがありました。

 その聞いた回が、たまたまゲスト不在回でして、しかもそこで展開された話題がその頃テレビの地上波でかなり食傷気味だったいわゆる「日本スゴイ」系の話題に終止した内容展開だったのです。

 そういう思想のお偉いさんに忖度したのか、台本に書いた構成作家が悪いのか、フリートークでそういう話題をしてしまうほどに当時からして彼女は「そういう人」の傾向があったのか、そのあたりはわかりかねますが、

「そうかー、めぐさんもいい歳だしそういうメディアに毒されちゃう感じの人になっちゃったかー」

 と思春期の思い出がしぼむようにしてその1回を聞いたきり、聞くことを辞めました。


 それから早数年。今回の事態が発生しました。

 問題のブログ記事(修正済みの内容でどういった発言が原本だったのかは私は把握していません)を読みました。


 民族的エスニシティ少数者マイノリティの問題や難民認定を受けることができない外国人などを、外来生物と地域の生態系に置き換えて語るのは、『非人道的であり原則的にタブーである』とか、「そういう認識がまず無い」のだなと思いました。


 個人事業主として活動し、実力主義競争社会の極みみたいなオーディションシステムで文字通り「飯が食えるかどうか」が決まる声優業界という環境で社会人として育ち、しかも稼ぎまくれるから納税比率も高いという税制度へのコンプレックスを抱え、

 そこに外国人へのイメージをむやみに悪化させる排外主義的な愛国主義(=いわゆる右派)的な情報を浴びすぎた結果『ああいう認識』が生じてしまったんだろうな……と思わせるものがそこには書かれていました。

 

 誰も『偉大で強気な先輩』である彼女を止める人はいなかったのだ、という哀しみを感じつつ、彼女にその認識を改めさせるメンターや国内での文化交流等との出会いも得られなかったのだな、という同情に似た嘆きを感じました。


 実際、国内のアニメ事情というのは金髪碧眼の高校生が出てきても何も言わないのに、褐色肌のキャラクターを出しただけで配信のリアルタイムコメント欄に「ポリコレ」と書き込まれてしまうほどある種の偏見に満ちた消費者に支えられている産業です。

 もちろんすべての消費者がそうだとは言いませんし、すべてのクリエイターがこれに迎合しているとも思いません。


 それを裏付けるように、特に今季は『ラザロ』のような環境問題を直接盛り込む作品や、『前橋ウィッチーズ』のような若い女性の生きづらさの問題を描いた作品があります。


 実際、『呪術廻戦』の1期の監督や、今期であれば『TO BE HERO X』のように東アジアルーツのクリエイターや制作者は日本のアニメに多く関与していますし、近年であればより広範囲の文化圏から日本の制作会社に入り、制作に関わっています。


 ファン層にしてもそうです。

 有名な話としては、香港の独立運動で政治犯として中国当局に拘束され、現在はカナダに亡命しているアグネス・チョウ(周庭)さんなんかは、日本のアニメを見て日常会話レベルの言語であれば全く問題ないレベルの日本語をマスターしたと言います。

(実際、母国語・英語・アニメ経由で日本語というトライリンガルは世界規模で結構居ます)


 声優だってそうです。

 例えば劉セイラさんのように、ハガレンで朴璐美さん(※朴さんの場合は在日朝鮮人系のルーツであって生まれも育ちも日本)の名前を知り「外国人でも日本のアニメの声優になれるんだ」と思って日本にやってきて声優養成所に入って正規の声優事務所に所属している方もいます。(彼女の場合、最近は自国の言語のスペシャリストとしてクレジットされる機会の方で目立っているような感じはあります)


 そういう状況を林原さん自身が知らないはずはないと思うのです。


 それを踏まえたうえで、なぜあんなことを彼女はブログに綴ったのか。それを考えると、はじめに書いたような思考の狭窄について思いを馳せずにはいられませんでした。


 ……長くなったので、もう一つのダイレクトにダメージを受けた方については短く書きます。


 女子プロレスラーのシン・広田さくら(元旧姓広田さくら)選手が、今年の夏の参院選に日本維新の会から愛知選挙区で出馬します。


 ……これには心が折れた。もうばっきりいきました。

 正直言って、私の中で「この人は死んだものと思うことにしよう」と心に決めたレベルです。


 私にとって彼女はアントーニオ本多と並んで、プロレスの懐の深さを教えてくれたファーストインプレッションの人です。

 ある意味ジャイアント馬場や力道山より評価高い人です。


 それがなぜ維新から……となってます。

 維新といえば国会答弁で自民党におべっかを使い、他の野党が連携して阻止してる法案(最近だと独立機関であった日本学術会議を政府介入可能にする法案)に敢えて自民党に同調する政党です。

 維新は『小さな政府(=福祉政策などを縮小する路線)派』、下手したらプロレスラーがいざという時に庇護を受ける「高額療養費制度(これはガンや大怪我などの高額な費用を必要とする医療に対して、年収が低い世帯ほど多く公的保険金が発生し患者の経済的負担を軽減する制度。インディー系レスラーのように大怪我をするリスクがありつつも収入がそのリスクに見合わない人にはかなり重要なもの)」の縮小をしかねない政党です。


 その上、去年の選挙の結果も維新は大阪選挙区以外では当選者を出せていません。

 勝ち目が薄い上になぜ『大きな政府(=福祉はより大きく拡充すべきという路線)』ではない維新?

 と思ってうろたえています。


 国内政治というのは、私にとって精神的負担になりつつも国民として軽視してはならないものとして注視している対象です。

 それはあらゆるマイノリティの権利擁護、出自や生い立ちや生き様を問わない基本的人権の尊重……すなわち、あらゆる差別への反対としての「包摂性の尊重」につながります。(この辺は私の過去の長編作品の傾向を見てもなんとなく汲み取ってもらえるかと思います)

 

 いわば、私は政治や戦争や人権の毀損(例えばトランプ政権のアメリカやパレスチナの虐殺)に関するニュースやSNS世論に傷つきながら、その傷を女子プロレスとアニメと特撮で癒やしながら生きてる人間なのです。

 

 その自分を癒やしているファクターが、いわば政治や人権を毀損するネット世論に汚されている状態にあるのです。



 実際、私のSNSから広田さくら選手のアカウントはフォロー解除してミュート設定にしています。

 正直、今週の『ラザロ』は、正視できる気がしません。

 『らんま1/2』もおそらく見ないでしょう。

 なんなら現行でやってるソシャゲのNIKKEも以前行われていたエヴァンゲリオンコラボも、「綾波シリーズ引かなくて正解だった」とすら思っています。(※アスカの後期版は引いた)

 

 そういう感じです。

 ……正直、原稿も上手く書けてません。


 いつものアニメ感想系はごく一部の作品だけに留め、最後に、プロレス周りの話を少しだけして閉めたいと思います。


・ジークアクス

 非常に面白いです。ターンエーの黒歴史という概念があらゆるユニバースのガンダム作品を歴史として受け止める、という点をパラレルワールドとして展開させ、またパラレルワールドとの往来にあの名場面を持ち込んできたのはよく練られていると思いました。


・アポカリプスホテル

 ジークアクスとセットでリアタイしたら寝付けなくなるアニメです。

 タイトルの侘しさに反して、あらゆる過去の名作のパロディを散りばめた先が全く読めない愉快なSFです。頭空っぽにして見ることのできる貴重な時間です。(そして吹き替え声優好きとしては本田貴子さんが母タヌキ役、田村睦心さんが息子タヌキ役という耳が幸せな状態がやばいです)


・前橋ウィッチーズ

 3話のプラスサイズモデルと主人公たちの1人の抱えるコンプレックスの発露を筆頭に「吉田恵里香ここにあり」といった感じのアニメです。(きいたところによると、本作は虎に翼の前に書き上げられていたとのことで、これを踏み台にして虎に翼を書き上げたのか、と思うと一層味わい深いです)


・宇宙人ムームー

 この作品も癒やし枠です。家電というテクノロジーからオーバーテクノロジーの復興に寄与できる情報が果たして本当に得られているのか、という疑問はやや感じるものの、家電のテクノロジーをアホなネコ宇宙人にもわかるように噛み砕いて伝える過程が非常に心温まります。また大学のサークルの天空橋部長がこの手の理系キャラにありがちなまっすぐすぎてデリカシーがないという真面目ギャグキャラでなかなか好きです。


 続いてプロレス周りですね。

 プロミネンス所属の世羅りさ選手が来年1月12日をもって引退します。

 4月の月末の発表まで1年考えていたそうですから、それなりの決意の上のことと思います。(ただ彼女の場合、父親が地元の町長をしていたりするので場合によっては政界進出ありうるのかなとも思う一方で、そのお父上もまだ61歳と政治家としては若い部類に入るので、政治の道に入るにしても親元である程度勉強して、ということになるんだと思っています。なおお父上は選挙上では無所属です)

 

 センダイガールズプロレスリングの優宇選手が今年の12月28日をもって引退を決めました。チーム200kgという体がデカくてとにかく強い女子タッグの片方の選手です。具体的な理由や原因はまだ何も語られていませんが、今のファイトスタイルを続けられるうちに辞めたいというご意思なので、膝など体重の負担がかかりやすい部位などになんらかの不調の兆候を感じたりしているのかもしれません。


 もうひとつは男子です。

 チョコプロ・DDTに所属している高梨将弘選手が、首の負傷により無期限の活動休止中です。再生医療による手術は無事成功して現在はリハビリ専門病院に移っているとのことですが、彼の不在はチョコプロ的にもDDT的にも小さくありません。

 ましてや、彼が負傷した試合の対戦相手はタッグパートナーでもあるクリス・ブルックス選手でした……。本人は負傷を実感した時点で試合を止めず、続けるように促し、3カウントフォールを受けてからリングから担ぎ出される形で退場しました。

 そのあたりの切なさも含めて、回復することを心から祈っています。たとえ選手としての復帰が叶わなくても、チョコプロであれば裏方として辣腕を振るえる人なので、せめて日常生活が送れる程度でも戻ってほしいです。


……今回は以上ですかね。気がついたらほぼ2ヶ月ぶりでした。

(字数も約5000字超え……)


次回は新作公開前にスランプを口実に夏アニメのリストでも乗せたいと思っています。

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