第289話
アインに案内されて辿り着いたのはなんと!!守備隊の訓練場として使っている広場の一角だった!!そこではなぜか上半身裸で筋肉を誇示している隊員と、それを呆れた目で見ながら剣を振るう隊員と、沢山の隊員が誰かに襲い掛かっている様子が見えた。訓練している2つの集団は分かるけど、あの筋肉軍団まじめに訓練してるのか?
「あー、あれは気にするな。あいつらは今度の作戦で囮役をすることになっている。その為に注目を集める方法を模索しているんだ。」
「その結果があの筋肉か?」
「そうだ。そしてあのポーズで魔物の気を引き、所定のポイントまで誘導する。そう言う手筈だ。」
「そんな事俺に話しても良いのか?部外者だぞ俺は。」
「なぁに、知ったからと言って何も出来んさ。彼らもあぁ見えて精鋭だ。なんせ万を超える魔物の前に立ち誘導するんだからな。雑兵では役に立たん。」
まぁ確かに。実力が無ければ襲い来る魔物に飲み込まれてすぐに死んじまうだろうしな。いやそれにしたってなんで筋肉・・・・。あれか?魔物は全部筋肉フェチだってか?
「魔物は生命力溢れる存在に惹かれるらしいからな。それで、誘導方法を模索していくうちにああなった。」
「なるほど?」
「さぁ無駄話は終わりだ。こっちに来てくれ。」
「アイギスー、行くぞー!」
「(‘ω’)ノ」
筋肉軍団の後ろで一緒にポージングをしていたアイギスを呼んで、アインと一緒に傍に立っている建物に入った。その中はどうやら物置の様で、武器や防具に加えて色々な道具が雑多に置かれている。アインはそんな倉庫の中をスイスイと進み、露出している床が在る場所で立ち止まった。
「ここだ、ここから目的の場所に行くことが出来る。」
「地下にある空間って事か?俺のサイズで入れるかな・・・・。」
「大丈夫だ。中は思ったよりも広い。それに整備された通路の様になっているからな。移動もし易いはずだ。」
ふむ、古代遺跡かなんかなのかね?古の超古代文明が作った機械遺跡が現代に蘇って、迷い込んだ子供達に襲い来る魔の手から救う為に動き出す・・・・。うん、こんな話どっかに在りそうだな?
「アホな事を考えてないで行くぞ?アイギスちゃんもしっかり着いて来てくれ。問題の場所はしばらく先だけどな。」
「了解。アイギスは俺の前を歩くんだぞ?」
「(‘◇’)ゞ」
アインが床を何度か蹴ると、床が沈み込むように消えて階段が現れた。その中を連れ立って降りていく俺達。そして彼女の言った通り、階段を下りた先は広い通路になっていて俺が3メートルの体になっても動ける程広くなっていた。
「問題無いようだな。」
「あぁ大丈夫だ、自由に動けるぞ。しっかしずいぶん広い場所なんだな。この場所は守備隊の秘密とかじゃないのか?」
「この場所は私が偶然見つけたんだ。守備隊の上層部もその存在を知らなかった場所だ。」
「おいおい、そんな場所を1人で調査したのかよ・・・・。」
「事前に安全確認をするのは守備隊としての務めだからな。それに新たな発見は独占したいと思うのが旅人だろ?だから報告をする前に調査をしただけだ。」
「まぁ、間違いでは無いな。」
「(((uдu*)ゥンゥン」
旅人ならば、死んだとしてもペナルティ貰って広場に戻るだけだからな。そりゃ、情報を独占したいと思う事もあるだろうさ。守備隊に所属してる奴がそれをやって良いのかとも思うがな。まぁそのおかげで死人が出てないんだから良いか。
「しかし綺麗な通路だなぁ。金属で出来てんのか?継ぎ目もほとんど無いし、明かりは無いが電灯の様な物まであるぞ?機械文明の遺跡か?」
「さぁな。それは私にも分からない。ただクエストの案内には2人以上の機械系種族が協力して扉を開けば、種族の謎が解けると書かれてるだけだ。その報酬が新たなスキルだな。」
そこも謎なんだよなぁ。別に環境に耐えられるなら機械系種族でなくても良いんじゃないか?それとも機械系種族じゃないと駄目な理由ってのが在るんだろうか?
「おっと、そろそろ問題の場所だ。調子の方はどうだ?異変を感じたりしていないか?」
「む?もうそんな所まで来てるのか?特段変わった事は・・・・おっ?」
空気中に高濃度の魔素を確認。
ルドの所持スキル純潔が自動発動。
魔素の人体への流入を阻害。
これが問題のガスってやつか?でも魔素って言えばMPの元になる奴じゃなかったか?それが高濃度になってる?瘴気じゃなくて?
「なにやら高濃度の魔素が空気中に在るみたいだな。もしかして魔素を体が吸収しきれなくて倒れてるのか?」
「魔素?私の方のログには何も出ていないが・・・。」
「機械系の種族だと魔素は唯の燃料だろうからな。燃料が多くても問題は無いんだろう。供給過多になれば消費すれば良いんだしな。現にアイギスはめちゃくちゃ元気で走り回ってるし。」
「(≧∇≦)」
問題の場所は通路よりも広くなっている場所で、奥には半円形のエレベーターの様な物が見えている。そしてそのエレベーターの横に2つ、操作をする為のタッチパネルの様な物が設置されていた。そんな部屋の中をアイギスは嬉しそうに縦横無尽に走っている。いやよっと待って!?壁や天井まで走ってるけどどうやってんのそれ!?
「なるほど、この場所に来ると調子が良くなるのは常に魔素が補充されてるからか。」
「補充され過ぎて体が勝手に調整しているんだろうな。こらアイギス!!そろそろ止まりなさい!!そろそろクエスト進めるぞ!!」
「(≧∇≦)ノ」
「で?ここで何をすれば良いんだ?」
「あの半円のエレベーターを動かす為に、操作パネルを起動する必要がある。その為に機械系種族の魔導機関が必要だ。パネルの真ん中にチューブが設置されてないか?」
アインの指示通りにパネルを確認すると。丁度操作パネルの真ん中から飛び出す形でチューブが伸びていた。
「在ったぞ。」
「それを口に咥えるんだ。そうすれば勝手にエネルギーが流れる・・・らしい。」
「やった事無いのかよ。」
「誰が口にしたかも解らんものを躊躇なく咥えられるか!!前回は消毒液も何も持って来て無かったんだぞ!!」
そう怒鳴りながらチューブにスプレーをかけて布で拭いているアイン。うん、衛生観念はしっかりし解かないと駄目だね。アンドロイドに必要かどうかはともかく・・・。
「じゃあこっちは俺が消毒してアイギスに咥えて貰えば良いんだな?」
「起動した後はパネルに表示される指示通りに操作してくれ。それでエレベーターが動くはずだ。」
「あいよ。うっし、消毒終わり。アイギスこれをパクッと口に咥えて。」
「(。・н・。)パクッ」
「・・・・・。俺の指じゃなくてこっちのチューブな。わざと間違えたろ?」
「(∀`*ゞ)エヘヘ」
「あふぉんでないでふぁやくひゃってくれないか?」
「すまんすまん。ちゃんと頼むなアイギス。」
「( ´ ▽ ` )ノ」
アイギスにチューブを咥えさせると。何やらアイギスの口から緑色の光がチューブを伝ってパネルに流れ込む。パネルの上部にあるバーにその緑の光りが溜まって行き、満タンになると操作パネルの電源が付いた。
そしてパネルに表示された指示はと言うと・・・・。パネルの画面を全力でぶん殴れという物だった。いやそれやったら壊れるだろうが!!
「おいアイン!本当にこれで合ってるのか!?なんかパネルの画面叩き割れって出て来てるぞ!!」
「わふぁふぃにふぃふな!!ふぉりあえふふぃじどふぉりにひゃれ!!」
「何言ってるか解らんが指示通りにやるからな!!どりゃーーーっ!」パリーンッ!!
ALOの時と一緒で、攻撃力と筋力は関係しない。巨人である俺の一撃で操作パネルは割れ、その奥にある赤いスイッチを拳は押し込んだ。
「ふんっ!!」パリーンッ!!
アインの方も同じように拳でパネルを叩き割り、奥に在ったレバーを下げた様だ。すると、パネルに溜まっていたエネルギーが今度はエレベーターの床に流れて行き、緑色の光は足場をうっすらと明るく輝かせ始めた。
「クエストが進んだぞ!!エレベーターに乗れ!!」
「あいよ!ありがとなアイギス。体に異変は無いか?」
「( ´∀`)bグッ!」
大丈夫そうだな。もしかしてこの場所が高濃度の魔素に汚染されてるのは、エネルギー供給をしても即座に補給する為?だったら一度機械系の種族に取り込まれた魔素は何らかの変化を起こしている事に・・・・。
「何をしている!!早く乗れ!!」
「わーったよ!!うっしそれじゃあ俺達も行くか。」
「(* ̄0 ̄)/ 」
これだけギミックの在る場所なら敵が居ないのは考えられない。絶対になにか居るはずだ。ここから先は気を引き締めて行った方が良いかもしれないな。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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