第277話

あの後、文字が消えて見通しが良くなった広場で洞窟の奥に続く道を発見した。俺達はとりあえずその通路を進みながら、先程手に入れた元徳スキルについて話合っていた。


「つまり効果としては状態異常無効のスキルと同じだと?」

「効果が上乗せされた感じだな。しかしこの文章読んでると、もしかして状態異常無効って環境からの影響は無効化していなかったんじゃないかなって思うな。」

「それはどういうことですか?」

「毒とか麻痺何かの体の異変は無効化して、凍傷ややけど何かの環境依存の状態異常はそのまま通ってたんじゃないかなぁってな。後頭部打った時にめまいの状態異常にもなってたし、ありうるかなぁって。それにほれ、ちゃんと体の損傷による状態異常は通るって書いてある。つまりは部位欠損からの出血や頭部を強打した時の気絶何て物も通るって事だろ?上位スキルで通るってなってるのに、その元のになったスキルで無効化できるとは思え無くてな。」

「確かにそうですね。それらも無効化していたら初期から持っているスキルとしては強すぎますから。」

「運営も紛らわしい名前にしたものですわ。普通状態異常無効って聞いたら全ての状態異常を無効化してくれると思いますもの。」

「それこそが狙い何だろうなぁ。世の中そんなに甘いもんじゃないぞって事だろ。まぁこの<純潔>スキルのおかげでその問題も大幅に解決された訳だが。」

「・・・・・。ルドさんが純潔ってなんかおかしい気がします。(私としては嬉しいですけど。)」

「アバターは作り直していますから間違いではありませんわよ?この世界では“まだ”ルドさんは純潔ですわ。」

「リアルでもこっちでも女性経験は無いからな?ALOの時のは自覚も無いしノーカウントだ。」

「この純潔ってどっちの意味なんでしょうね?」

「・・・・・・ぽっ♡」

「リダさんや?何を考えたか知らんが俺のお尻を見て頬染めないでくれる?そもそも純潔って異性との性行為をしていないって意味に取られがちだけど、説明文に書いてある通り穢れが無くて心が清らかって意味があるんだからね?多分このスキルの意味はそっちだろ。」


それに元徳なんて名前は知らなかったけど7大美徳って言葉でならルゼダがこのスキルの事を知ってたしな。七つの美徳、もしくは七元徳って言うのは七つの大罪と対になって語られる事も多いらしい。本当は関係ないみたいなんだけどね?


憤怒と寛容、嫉妬と慈愛、強欲と分別、傲慢と忠義、暴食と節制、色欲と純潔、怠惰と勤勉と言う風に罪と美徳は対になってるんだと。そんで俺の手に入れたのは純潔。つまりは師匠の大罪スキル色欲と対になって居る物だ。


あのログを考えるに・・・・、元々この純潔スキルは師匠に発現するはずだったんじゃないか?それが人を捨てた事で師匠の思いと共にあの文字に封じられていた。で、その思いの対象である俺があそこに踏み入れた事でスキルの効果で俺に取り込まれて発現したと。


そう考えるとまぁ、師匠の事を尊敬しないわけでもない。悪魔になったのがどのタイミングか分からないけど、10年20年で慣れるような物じゃないだろう。その間体と心を清く保ってたんだぞ?並みの人だと出来ないよな。その思いに答えるかどうかは別だけど。


「さてと、まぁ便利なスキルが手に入ったって事でシルの依頼をさっさと熟しますか。」

「ルドさんがそう言うって事はそろそろポイント何ですか?」

「おう、もう少しで反応が在る場所だな。結構近くまで来たぞ?」

「それにしては全く人の姿を見ませんわね・・・。」

「怪しい儀式でもしてるんじゃないですか?」

「邪神復活とかか?そんな事さすがにしないだろう。この世界に邪神なんてもういないしな。」

「パパ?そう言えば瘴気ってどうなったの?」

「うん?それは巨神様達が全部綺麗に掃除・・・・・してくれてるよな?」


そう言えば瘴気がどうなったかっていう話したっけか?


「・・・・・・・嫌な予感がしますわ。ルドさん?確か取得したスキルは“呪”文字を昇華して作られたんですわよね?」

「・・・・そうだな。ログだとそうなってるな。」

「つまり元は呪い。それもシチートさんの思いを多く受けた、普通の人であれば即死するほどの強力な呪い。その呪いの源は何処にあるか話を聞いてますの?シチートさんが悪魔になる為に取った手段の話も聞いてますの?」

「・・・・・・・全く聞いてないな。」


ルゼダの追及に答えていると俺もだんだん不安になって来た!!そう言えば師匠は悪魔になる為に大罪スキルを取り込んだと言ったけど、その具体的な方法何かは全く教えて貰ってない!!もしその方法が、この奥にあったとしたら。それが瘴気を利用した物だったとしたら?


そんな俺達の嫌な予感は無事?的中するのだった。


「うわぁ・・・・。やっぱり碌な事をしませんねあの発情悪魔は。」

「なんでこういうのを放っておくかなぁ師匠は・・・・。」

「あー、完全に取り込まれてますわね。助けられるんですの?」

「無理じゃないかなぁ?」

「「「「「「「「うぼぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」」」」


俺達の目の前には黒いドロドロとした瘴気に取り込まれて、徐々に人の形を失っていく鬼神斧槍流の元関係者たちの姿在った。


ミアズマスライム HP1000


人を捨てる為に集められた瘴気の残りカスが突然変異を起こして生まれたスライム。あらゆる物を取り込み、その力を吸収する。うっかり迷い込んだ旅人が食われ<暴食>スキルを奪われた。


「「「「「「「ぐわぜろぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」」」」」

「うるっさ!!」

「取り込んだ人の口で喋ってますわねぇ。」

「暴食スキルなんて大罪スキルを奪われた旅人は何処のどいつだ!!初期マップで魔王が生まれる勢いじゃねぇか!!」

「パパ!!来るよ!!」

「(。+・`ω・´)シャキーン」ジャキッ!!


アイギスの攻撃

腕部オートタレットによる全力攻撃!!

ダメージ300ポイント


ミアズマスライムの防御

物理耐性のスキルが発動。物理攻撃のダメージを90%カット。

ダメージ30ポイント


ミアズマスライムの自己再生

体内の生贄を昇華して体力を回復。

HPを30ポイント回復


「アイギスストップ!!そいつ攻撃したら取り込まれた奴が消化される!!」

「(;゚Д゚)」


ログに表示されている通りなのか、取り込まれている人が1人、今の攻撃で完全にミアズマスライムに飲み込まれて姿が消えてしまった。つまりあの捕まっている人達はあいつにとっての回復薬って事だ。


「これじゃあまともに攻撃できませんよ!!」

「ルドさん、どうするんです?」

「・・・・・とりあえず妙案が出るまで俺が攻撃を引き付ける。何かいい案考えてくれ!!」

「人任せですの!?まぁルドさんが攻撃を引き付けて下さるなら、考えるのは私達の仕事でしょうけども!!」


ミアズマスライムの攻撃


ルドの陽動が発動。攻撃のターゲットがルドに固定された。


ミアズマスライムによる触手攻撃。

触手・鞭使い・毒生成スキルが発動。

ダメージ20ポイント+毒の追加効果。


ルドの防御

盾使い・両盾使い・純潔の効果が発動。

ダメージ0ポイント。毒の効果を無効化。


「幸い相手さんの攻撃じゃ俺はダメージを受けない。だから頼んだ!!」

「はい!!任されました!!」

「と言っても手札が少なくてすぐに対策出来ると思いますわよ!!」

「それまで粘ってください!!」

「パパ頑張って!!」

「( ´∀`)bグッ!」

「おう!!任せろ!!」

「「「「「「ぐぅぅぅわぁぁぁぁぁぜぇぇぇぇぇぇろぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」」」


さぁミアズマちゃん、ちょっと耐久テストに協力してくださいねっと。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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