第273話
「じゃあ次は俺の買い物だな。」
「何を買うんですか?」
「食材と調味料。」
「ちゃんと自炊してて偉いです!!」
「やってないと解ると理沙ちゃんが毎食作るって言い始めるからなぁ・・・・。」
「私は何時でも作りに行きますよ?」
「年頃の子が知らないおじさんの家に来るなんて言うんじゃありません。自分の事をちゃんと大事にしなさい。」ペシッ!
「あいたっ!!チョップしなくても良いじゃないですかもう。」(なし崩し的に家に上がり込む計画がぁ~。)
と言う事でBEONの1階にある食料品売り場に来た。野菜が少なくなってるんだよな。俺的には野菜ジュースで十分だと思うんだけど、ちゃんと生の野菜を食べないと体に悪いって力説されてからサラダを自分なりに作って食べる様にしている。謎の迫力を纏う理沙ちゃんには妙な説得力が在るんだよなぁ。
「あっ!守さんトマトが安いです。」
「おっ、それじゃあトマトも買って行くか。きゅうりとレタスに蒸し鶏でも作ってゴマダレ掛けるかな。」
「良いですね。美味しそうです。」
「せっかく痩せたし体形維持はしたいからな。」
それにまた太ったら理沙ちゃんのアクティビティ施設引き回しの刑が始まるだろうからな。なんでここまで俺みたいなおじさんの健康管理をしたがるのか分からないが。彼女が楽しそうだから興味が無くなるまでは付き合ってあげる心積もりだ。姪っ子も俺の世話を焼きたがるしそれに近い感じだろうしな。
「後は醤油と砂糖っと。」
「守さん。」
「ん?どうした理沙ちゃん?」
「こう、2人で買い物しているとまるで新婚夫婦みたいじゃないですか?」(きゃっ!言っちゃった!!)
「ははは、そんな事無いだろう。良くて叔父と姪ぐらいじゃないか?」
(ぶー!!そこは恥ずかしがったり慌てたりしてください!!空気読んで!!)
「そんなに膨れてどうした?」
「何でもありません!!」
何でか不機嫌になった理沙ちゃんの事は置いといて、必要な物を買い物カゴに入れた俺はレジに向かった。最近のレジは経費削減の為にセルフレジ一択になっている。ビニール袋も前払いで買わないと貰えない様になったな。
レジに品物を通して、会計を済ませた時に金額が表示されていた画面に突然クラッカーの表示が現れた。
パーンッ!!
『おめでとうございます!!お客様には当BEON系列の映画半額チケットが当選しました。是非当館の映画館をご利用ください!!』
「食材買った後に半額チケットが当たるとか運が良いのか悪いのか・・・・。半額チケットの有効期限は・・・・。明日!?さすがに明日は無理だなぁ。」
「だったら今日行きましょう!!丁度見たい映画が在ったんです!!チケット1枚で2人まで行けるみたいですし今日行くべきです!!」(やった!!守さんと映画デートだ!!)
「うーん、まぁ食材は冷蔵ロッカーに入れて置けば大丈夫か。せっかく当たったし捨てるのももったいないしな。行くか。」
「はい!!」
食料品店の近くに在る冷蔵ロッカーに食材を預けて、(ロッカーの使用量に500円取られた。)施設3階にある映画館に向かう俺達。今やっている映画は・・・・。ファンタジー物と恋愛物、後はアクション物か。
「それで?理沙ちゃんの見たいのはどれ?」
「あれです!!」
えっと何々?「ジェネレーションラバーズ」?年代を超えた愛がテーマの恋愛映画なのか。うわっ!!親子ぐらい年齢が離れているのは分かるけど老人と孫世代に離れている人との話もあるの!?さすがに歳離れすぎてない?
「これ前から見たかったんですよねぇ。」
(もちろん守さんと一緒に。そして私の事を女として意識して貰うのです!!どうしても私の事を姪っ子みたいに扱いますからねこの朴念仁は!!)
「そうなの?じゃあこれにするか。」
(小説のネタになるかもしれないしな。こういう自分の興味の無い分野の話を知るにはいい機会だ。)
と言う事で時間もある事だしこの2時間あるジェネレーションラバーズという映画を鑑賞した。内容は・・・・。うん、ほとんど焼き回しだったな。年齢差を超えた愛を成就させる為に結婚を阻止しようとする親や兄弟姉妹、果ては親戚に至るまでを説得して回って最後は幸せになるってだけの話だった。キャストや年齢の違いは在るけど中身が薄っぺらい・・・。
「はぁ~。面白かったですね。」
「そうか?俺としてはもうちょっと脚本頑張れよとしか言いようが無かったな。」
「む~!!守さんには映画に出て来た女性達の気持ちが分からないんですか!!」
「いやぁ、好きな人と一緒になるのに努力する部分は良いよ?でもすべてが邪魔されてそれを2人で乗り越えるって話が3つも続いたらなぁ。それに最初から祝福されるように動いている場面も無かったし。全然現実的じゃないだろ?かといって読み物として見ても焼き回しばかりで盛り上がりも無かったしなぁ。同じことを何回も繰り返されたらさすがに飽きるしな。もっとこう、すんなりと幸せになっても良いと思うんだよなぁ。」
「守さんは年齢差婚には賛成何ですか?親や親戚に止められたりしません?」
「お互いに想い合っていて、納得しているなら年齢差がどれだけあっても良いとは思うぞ?俺の家族や親戚もあんまり気にする人はいないなぁ。逆に誰でも良いから早く誰かと結婚して落ち着いてくれって言われてるな。」
まぁその話を聞いた姪っ子が何故か俺に纏わりつくようになったんだが・・・。これは言わなくていいな。離れている場所に住んでいるし、住所も教えてないしな。
「言いましたね?言質は取りましたよ?」(私が成人したら覚悟しておいてください!!)
「何の言質!?」(なんか理沙ちゃんの目が獲物を狙う狩人の目になってるけどなんで!?)
理沙ちゃんの目線に若干身の危険を感じながら俺達は映画館を出た。
「さて、そろそろ良い時間だし荷物を持ったら帰るか。家まで送るよ。」
「そうですね。なんだかんだで5時間くらい経ってますし。家に帰ったらALO2の続きです。」
「師匠放ったままだしな。早く修行が始められたら良いんだが・・・。そう言えばメンテナンス中の向こうの時間ってどうなってるんだ?」
「(あの女は放っておいたままで良いのに・・・・。)時間は止まってるみたいです。あとアバターの方は最初にキャラメイクしたあの白い空間に引き上げられていて、復帰と同時に元の場所に降り立つみたいですね。」
「・・・・俺達は何処に降り立つんだろうか?」
「あの路地裏じゃないですか?じゃ無ければ都市の広場だと思います。」
「まぁ心配してても仕方ないか。ログインしてみりゃ解るだろ。」
「そうですそうです。」
購入した食材を回収してから電車に乗る。理沙ちゃんの家は俺んちから通り2つ挟んだ先にあるマンションで、市が管理している建物だ。専用のIDが無ければ建物内に入る事は出来ず、もし中の人を訪ねようとしたら管理事務所に居る職員に身分証明証と連絡先、住所を伝える必要がある。結構しっかりしたセキュリティの場所だ。だから俺はいつもマンションの前まで送ってそのまま歩いて帰っている。
「ここまでありがとうございました。」
「いや、なんの役にも立ててないから気にしなくて良いよ。」
「守さんと一緒だから人の多い所でも買い物が出来るんです。だからいつも凄い助かってますよ!!」
「それなら良いんだけどね。こっちも服を選んでくれてありがとう。それじゃあ向こうで会おう。」
「はい、向こうで会いましょう。」
理沙ちゃんがちゃんとマンションの中に入るのを確認してから俺も自宅に向けて歩き出す。何回も送ってきているから管理事務所に居る職員さんとも顔見知りだ。お辞儀をすると向こうもお辞儀で返してくれた。
さて、帰って色々やってたら再開の時間になるだろう。ALO2を楽しむぞー!!
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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