第234話

翌日、約束通りに病院のレストランにルゼダの予約だと伝えて個室に案内された。ちょっと早く来たからかまだ誰も来ていないだろうなぁ何て思っていたら、すでに個室には全員集まってみたいだ。


1人はどこかで見たような女子高生。1人は車椅子に乗った男の子、そしてもう一人が男の子に寄り添うように立っている女の子だった。


「えっと・・・・。」

「どうも、リアルじゃ初めまして。ルドの中の人で海堂守って言います。」

「あっ私は藤堂理沙って言います!!リダの中の人です!!」

「初めまして。僕がクリンの中身で宮村勇樹です。」

「これで全員揃いましたね。私がルゼダの中の人で、宇都宮姫野です。」


どうやらクリン達とほぼ同時に到着したみたいだな。最初に来てたのはリダか。彼女だけが椅子に座ってるからね。


うん、解ってた。解ってたことだけどやっぱり俺が最年長だよ!!皆まだ20にもなってないよ!!若者だけの空間におじさん1人なんて何て拷問!?


「ルドさんは何というか・・・・。ゲームと印象違いますね。」

「あー、ゲームじゃ姿もランダムだったからなぁ。ちょっと弄ったけど。」

「でも雰囲気はそのままですよ?」

「なにかゆるキャラの様な雰囲気ですよね。」

「誰がマスコットキャラか!!」


人からは腹の柔らかさも相まって癒し系(意味深)何て言われてるが俺としてはカッコ良いと言われたいんだからな!!まぁ若い子に向かって怒鳴ったりはしないけども。


「あっあの!!あの時はありがとうございました!!」


ルゼダとクリンの2人と話していると、リダが席から立ち上がって俺に頭を下げて来た。うん、この子やっぱりあの時変質者から助けた子だね。


「いやいや、困ってそうだったから助けただけだよ。それよりあの後大丈夫だった?」

「はい!!警察の人にも色々とお世話になって、無事に引っ越しが出来ました。」

「なら良かった。」

「ルドさんはリダさんと知り合いでしたか?」

「あー、ちょっと助けた事があってね。後名前で呼んでも良いよ。」

「いや!!ここはオフ会ですからキャラクターネームで呼び合うのがマナーですよ!!」


そう言う物なの?まぁ皆そっちがよさそうだからそうしようかな。雰囲気を壊したいわけじゃないし。


「じゃあキャラクターネームで呼ばせてもらうよ。」

「さぁまずは席に着きましょう!!楽しいオフ会ですから色々と用意してますよ!!」

「ルドさんルドさん。」

「ん?どうした?」


ルゼダが声高々に宣言している所で、俺に傍に来ていたクリンがこっそりと内緒話を持ちかけて来た。


「姫野・・・・ルゼダがルドさんのお金だからってこのレストランで結構高いコース頼んだんです。本当に大丈夫ですか?」

「あぁ、こう見えて結構稼いでるから大丈夫。さっきお金も降ろして来たから。」

「多分2万くらい掛かりますけど・・・・・。」

「それくらいなら大人の財力に任せなさい。」


結構おしゃれなレストランで確か最上級のフルコースで1人1万円の物だったはずだ。それが全員で2万だって事は1人5千円の中級コースを頼んだんだな。子供の金銭感覚だと1食5千円は高いと思うだろうが、まぁこれくらいなら大丈夫だ。年の為に10万降ろして来たし。


「さぁさぁ、早速食べますわよ!!私ここの料理楽しみにしていましたの!!」

「いつもの口調になったな。なんかそっちの方がしっくりくるな。」

「そうですね。」

「あんまりはしゃいじゃ駄目だよルゼダ。」


俺達は席に着いて、まずは料理を楽しんだ。気軽な会だから食べながらゲームの話で盛り上がった。俺が死んだ後の話も情報が送られてきたけどさらに詳しく聞けて良かったな。


「そっか、軍服達は勝手に消えて行ったのか。」

「えぇ、リアル側で強制排出されたみたいで、城塞都市に攻めてこようとした所で勝手に消えて行きました。」

「まさかブリンガーに爆弾を搭載して城壁に突っ込んでくるとは思わなかったよね。」

「ルドさんが作った追加城壁が無ければ危なかったですわ。」


俺が分身体を作り出す前に襲撃してたみたいだ。最後に作っていた黒龍の鱗を使った城壁が、突撃してきたブリンガーを受け止めて被害は全くなかったんだとさ。その後に軍服達はログアウト、たぶんその時に現実で救出されたんだろう。


「それで、父神が落ち着いて事情を聴いてからログアウトしたと。」

「そうです。最後になるかもしれないから別れを済ませる様に言われました。」

「お世話になった方全員にお別れを言えましたわ。」

「泣いちゃったけどね。」


うんうん、皆はちゃんとお別れを言えたのか。それなら良かった良かった。


「ルドさんの代わりに私がルバートさん達に挨拶しておきました。でもやっぱり直接お話したかったですよね?」

「あぁ、それなら大丈夫。運営の人に頼んでメッセージを送って貰ったから。そうそう運営と言えば皆は補償どうしたんだ?俺はもちろん機器とゲームを頼んだけど。」

「同じくですわ!!」

「僕もです!!」

「私もですね。なんだかんだ楽しかったので、新しくなった世界を遊んでみたいと思いましたから。」


やっぱり皆そっちを選ぶよな。まぁ中にはトラウマになって返金を選んだ人も居るらしいけど、今回は外部の犯行だし会社自体に問題はない訳だ。今度はしっかりとしたセキュリティシステムを構築して楽しませてくれるだろう。そっちの期待の方がでかいしな!!


「ならいつになるか分からないけど新しく始まったらまた一緒にやらないか?」

「本当ですか!!」

「あぁ、まぁ時期によっては合わないだろうけどこのメンバーで遊ぶの楽しかったしな。是非お願いしたいな。」

「はいっ!!はいっ!!私一緒に遊びます!!」

「私も遊びますわ。クリンも遊べますわよね?」

「うん、大丈夫。」


さて、冒頭から聞こう聞こう思ってた事を聞きますか?


「話は変わるがクリンは怪我をしているのか?それとも病気か?いや、答えにくかったら別に良いんだが、車椅子に乗ってるからちょっと気になってなぁ。」

「あっ大丈夫ですよ。今は予後観察中なだけなんで。ついこの間心臓の手術した所なんです。」

「「心臓の手術!?」」


ルゼダの方は何やら訳をしっているみたいでぎゅっとクリンの手を握っている。クリンはと言えば、そんなルゼダに笑顔を向けて安心させるようにしていた。


「一度、ゲームにインしていない時がありましたでしょう?その時に手術を受けたんですわ。」

「昔から心臓が弱くて運動も出来なかったんです。今回心臓移植を受けられることになって・・・。今は拒否反応が出ないかどうかと、ちゃんと動いているかを見ている所ですね。」

「はえー。結構大変な事じゃないか。確か今の心臓移植は本人の細胞から培養するんだよな?」

「えぇ、万能細胞の発見でどんな器官でも作れるようになりましたから。」

「体は大丈夫なんですか?」

「はい、今の所拒否反応も無く自然に動いています。もう少しで退院できる見通し何ですよ。」

「フラグっぽく聞こえるからあんまりそう言う事言わないで欲しいですわ。」

「ごめんごめん、でもお医者さんも大丈夫って言ってるからさ。」

「お二人は付き合ってるんですか?」

「「・・・・・・・(´―`*)ポッ」」


2人の仲睦まじい様子にリダが我慢できなくて突っ込んだ!!重い話の後には良い話題転換かもしれないがいささか強引だぞリダ!!だがグッジョブ俺も聞きたかった!!


その後リダと二人で根掘り葉掘り聞いてやりましたとも!!なんと2人幼馴染で、昔からゲームを一緒に遊んでいたらしい。


そんな中クリンの容体が日に日に悪くなり。もう駄目かもしれないと思ったクリンはルゼダに告白!両想いだった二人はクリンが死ぬまでに一杯思い出を作ろうとALOに応募して遊んでいたんだそうだ。


「でもこれからはそんな心配はいらないな。なんせ治ったんだから。」

「えぇ、でも僕はずっと姫野と一緒に生きて行こうと思っていますよ。」

「ん~~~~~~~~っ!!」バシバシバシッ

「いたっいたいよ姫野!!」

「プクククク。そんな真顔で歯の浮くようなセリフ言えば恥ずかしがるに決まってるだろうに。甘んじて受け入れろこの幸せ者。」


俺の半分しか生きてないのにイチャイチャしやがって!!祝ってやる!!


「すいませーん!!特製デザート追加で!!」

「はーい!!4番さん特製追加―!!」

「ちょっ!!ルドさん!!」

「特製デザートって一番高い奴ですよ!!」

「大丈夫大丈夫、金ならある!!」


ここの特製デザートは季節のフルーツをふんだんに使った2段重ねのケーキだ!パティシエ監修のそのケーキのお値段なんと8000円!!心配せずともこれくらいなら全然平気だぞ。


「あっあの!!ルドさん!!」

「んっ?どうしたリダ?」

「ルドさんのご職業は何ですか?あっ答えたくなかったら別に良いですけど。その支えるには知っておきたいというか・・・・興味があるというか・・・。」


慌てた様子の2人を温かい目で見ていると、リダが俺の仕事を聞いて来た。後半は聞こえなかったけど興味があるのかな?なら答えよう。別に恥ずかしい職業じゃないし。


「俺の職業か?俺の職業は・・・・。」


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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