第230話
デスゲーム開始から72時間経過。とうとう、各地にある街に魔物達が襲い掛かる。それは城塞都市でも変わらなかった。
「ルドさんはどこで油を売ってますの!!完璧に遅刻ですわよ!!」
「ちょっと不安だね・・・・。絶対戻って来るって言ってたのに。」
「ルドさん・・・・・。」
城塞都市防衛線の先頭に立ちながら話をするルゼダ、クリン、リダ。シアとアイギスは今各地から避難しきれなかった人達の輸送を手伝っている。
「見えたぞーーーー!!すごい数だ!!地面が見えねぇ!!」
「敵が7に地面が3!!もう一度言うぞ!!見えるのは敵が7割地面が3割だ!!」
ドドドドドドドドドド!!
都市に押し寄せてくる魔物の波。暴走では説明が付かない程の大波は、徐々に城塞都市の城壁に近づいて来る。
「遠距離攻撃班は合図とともに攻撃!!魔法使いは魔力を温存して広範囲攻撃を狙え!!近接班は接敵するまでは待機!!恐れに負けて突っ込むなよ!!生きてさえいりゃ回復職が癒してくれるからな!!」
後方で指揮を取っている旅人が号令を掛ける。だが目の前に広がる黒い波に旅人達の士気は下がり、逃げ腰になっていた。
「まずいですわね・・・・。」
「皆恐怖に囚われちゃってる・・・。」
「こういう時ルドさんが居てくれたら・・・。」
『呼んだか?』
周りの様子に危機感を覚えるリダ達。そして、いまここに居ない自分達のリーダーの姿を思い浮かべたその時、どこからか彼の声が聞えた。
「ルドさん!?どこ!どこに居るんですか!!」
『いやぁすまんすまん、遅刻しちまった。こりゃオフ会の驕りは決定だな。』
「そんな事今はどうでも良いんですのよ!!それよりも居るなら姿を現してくださいまし!!」
『ずっとここに居るんだけどなぁ。』
「あっあれ!!」
クリンが指さした先、それは空だった。その空の彼方にいつも見ていたあの大きな背中がうっすらと見えている。
『邪魔をするでないわぁ!!』
『邪魔するに決まってんだろ!!』ガガガガン!!
ルドの背中のさらに向こうには、黒い渦の様な物に赤い切れ目の入った何かが、ルドに向かって攻撃を加えていた。
『これで魔物の発生は抑えた!そこに出て来た奴で全部だから何とか倒してくれ!!』
「でもみんなの士気が・・・・。」
『なぁに、盾が居ればいいんだろ?“分身体”』
ルドがスキルを発動する。<分身体>それは、神となった彼が使える様になったスキルだった。その能力は自分のステータスの半分を付与した分身を生み出す事。城壁の人型番だった。
「見て下さいまし!!光の巨人が!!」
『ウル〇ラの戦士じゃないからな。まぁそいつらが守ってくれるから頑張れ。他の場所も守ってるから安心しろ。』
「ルドさん凄いです・・・。」
「・・・・・・。」
「来るぞぉーーーーーーー!!」
ドガァァァァァァァァァン!!
戦闘に参加していた住民や旅人達の前で、光りの巨人に黒い波がぶつかる。都市を囲う様に立つ光の巨人は、なんと微動だにせずにその波を受けきった!!
「すげぇ・・・。」
「何ぼけっとしてやがる!!攻撃開始だ!!あれがいつまで持つか分からんのだぞ!!」
「はっ!!総員攻撃!!」
指揮を取っていた旅人が呆然とその様子を見ていると、横からルバートが活を入れて攻撃の指示を出させる。住民と旅人達はその指示に従って各々攻撃をし始めた。
「・・・・この馬鹿野郎が。」
ルバートも、自身の武器を担ぎ戦闘に参加していく。空に浮かぶ自分の息子に向かって悪態を突きながら。
地上で激しい攻防戦が繰り広げられている中、空の上、この世界と外を隔てる場所でルドは必死に世界を守っていた。
『この薄汚い人間風情が!!もう一人の私を奪った挙句にこの世界迄奪おうというのか!!』ドガガガガガガッ!!
『だぁ~かぁ~らぁ~!!さっきから言ってるけどそれは誤解だっつうの!!もう一人のあんたからこの世界で遊んで良いって許可貰ってんの!!』ガガガガガンッ!!
黒い靄の様な姿の父神の攻撃を盾で受けるルド。触手の様な形をしたそれは、世界に侵入しようとするウイルスそのものだ。今ルドは、この世界を守る生きたファイアーウォールになっていた。
『そんな戯言は信じぬ!!あれは消えた!消えてしまったのだ!!』
『消えてねぇって言ってんだろうがこのお馬鹿!!今そっち向かってんだからじっとしてろ!!』
『貴様の話など聞くかぁぁぁぁぁぁぁ!!』
『本っ当に全く話聞かないなこいつは・・・・。』
呆れたように溜息をつくルド、すると体の中から空の神と巨神様の声が響く。
『さすが父上、凄い速度で攻撃内容が変わってる。こりゃちょっとまずいかもねぇ。』
『私達はこの世界の理をベースにルドさんの脳を使って防衛している状態ですからね。たとえ脳の中に在る動いていない処理能力を使っているとはいえ、これ以上はルドの体に負担が・・・・。』
『やらなきゃ耐えられないならやってくれ。でも死ぬのは簡便な!!』
そう、今の状態は俺と言う生体コンピューターに空の神と巨神様が入り込み、AIに対して処理対決を仕掛けている状態なのだ。さすがに防衛用AIの子供達、最初は戸惑っていた人の脳を使った処理にすぐに順応していた。元々このゲーム、人の脳波を観測してキャラクターを動かしていたので手直しは簡単だったんだと。
『おっと又来た!!』ガガンッ!!
『いい加減に私達の世界から出ていけ!!』
『その世界に居たあんたの子供達が俺に協力してるんだけどなっと!!』ガインッ!!ガインッ!!
父神の、黒の攻撃をいつもの様に受けて行く。ゲームシステムを元に作った物だからな。プレイヤーの腕も必要なんだぜっとぉ!!
ガガンッ!!
『ええぃ忌々しい!!』
『あんたの事情は聴いてるし、怒るのも無理ないと思うけどな?でも人類全部敵ってのはやり過ぎだろうよっと!!』ガンッ!!ガンッ!!
『何を言う!!貴様らが私をそう作ったんだろうが!!私は家族と仲良く過ごせれば良かった。ただそれだけを願ったのに!!このように変えたのは貴様らだぁぁぁぁぁぁっ!!』
『ちょっ!!攻撃が激しくっ!?』
何やら叫びながら攻撃速度を上げた黒。俺も必死に受けるけど一撃一撃受けるたびに威力が強くなっている?
『お前たちはこの世界を救うと約束した!!白を助けると約束した!!だから私は受け入れた!!なのにお前等は約束を違えた!!ならば私も交わした契約を違えて何が悪い!!』
『・・・・なぁあいつ俺達を誰かと勘違いしてないか?』
『してそうだねぇ。』
『その受け入れた何かで正常な判断が出来なくなってる?お可哀そうに父上・・・。』
母神も全部を知ってる訳じゃないみたいだな。巨神様に知ってる情報を全部渡したらしいけど、知らないって事はまだ隠された事実が在るんだな。
『いい加減に消えろぉぉぉぉぉぉっ!!』
『あっまずい!処理能力を超える!』
『ごふぅっ!!』
『フハハハハッ!!死ね!!そのまま死ね!!』
父神の触手が俺の腹を貫いた。普通ならHP全損で死んでるだろうなぁ。でも俺は今ゲームを元に作られたシステムの中で動いてるんだぜ?
『まだまだぁっ!!』
『なにぃっ!!なぜ死なん!!』
そりゃ簡単な事だ!!オリジンスキルのおかげだよ!!
オリジンスキル
<巨双盾神体>:その肉体は全く別の巨神に至った体。己が存在は全てを守る盾である。
効果1:基礎DEFとMINDを10倍にする。
効果2:HPが3分の1以上残っている状態で致死ダメージを受けた際HP1で生き残る。
効果3:死亡判定を受けた時、HP総量の半分で生き返る事が出来る。(1戦闘1回)
効果4:体のサイズを任意で変更できる。(最低2m 最大∞m)
効果5:肉体で受けるダメージを減らす。(被ダメージ-10%)
効果6:追加HPを30000増やし、HP基礎値の50%を毎秒回復する。(毎秒3000回復)
効果7:全ての状態異常を無効化
効果8:任意で声によるヘイト値の上昇が行える。
効果9:瘴気に纏わる物全てを弱体化させる光りを纏う。
効果10:盾を使う際、DEFに+10000
効果11:盾で攻撃を受けた時、受けるダメージ-50%
効果12:盾を使った反撃が可能になる。(ATK×DEF)
効果13:ステータスの上限を解放する。
効果14:*************
うん、これがゲームだったらキャラ作り直すレベルで壊れてるよなこのスキル。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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