第222話
『ボエーーーーッ!!』
『久しぶりですねぇ、浮鯨(うげい)。やはりあなたも復活しましたか。』
『ボーーーーーエーーーーーーッ!!』
『そんなに怒らないで下さいよ。私もあなたの所為で一度死んだのですから。今日は仲直りの為にお土産を持って来たんですよ?』
『ボエッ?』
『あなたは大地に生命が帰ってしまうのが許せなかったのでしょう?だったらその大地を空に浮かべてしまえばいいのです。と言う事で、現在この世界に来ている亜空の旅人に協力して頂き、浮遊大陸を作りました。』
『ボエッ!?』
『これでずっと空中に生存できるようになりますよ。あぁ後、亜空には空をずっと飛んでいる生物の話が在るそうで、それを纏めています。要ります?』
『ボエボエ!!ボエ?』
『怒ってないのかですか?まぁあなたが私を羨んだ気持ちも分からなくな無いです。自分がその立場だったらと考えるとまぁ、同じことをしたでしょうし。それよりもきちんと話し合いが出来て良かったです。旅人たちが貴方を狂わせた瘴気を打倒してくれたおかげですね。』
『ボエッ?』
『いやいや、何を惚けたことを。あなたが瘴気を生み出したのでしょう?』
『ボエボエ。』
『違うのですか?』
『ボエッ!』
『元々は父上から流れ込んで来た物だった?では最後のあの時瘴気が父上に襲い掛かったのは・・・。』
『ボ~エッ!!』
『元の主の元に帰ろうとしただけだったと・・・。なるほど、所でそろそろ普通に話しません?それ疲れるでしょ?』
『姉さんは解ってないなぁ。叫び声を上げる方が威嚇になって良いじゃないか。』
『威嚇する必要が在りませんから。それでこれを受け取ってくれますか?』
『うん、瘴気を通して見てたからね。せっかくだから受け取るよ。それとさっき言ってた空に生きる生き物の話が聞きたい!!』
『ならあちらの大陸に居る旅人に話を聞くと良いですよ。あっそうそう、貴方の眷属達が各地で悪さをしています。止められますか?』
『う~ん、無理だねぇ。好き勝手暴れてるみたい。処分しちゃって良いよ。僕も手伝うし』
『あなたの言葉を聞いて黒龍が口を開けて驚いていますが?』
『だってこの怒りは僕の物なのに勝手に僕の為だって騒ぎを大きくしたんでしょ?迷惑だし纏めて処分だよ。それに姉さんが僕の為に準備してくれたそれはとても良さそうだ。もっと作れる?』
『使っていない場所を空に上げるのは出来るでしょうね。旅人が作り出した浮遊機関を取り付ければ可能ですよ。』
『やった!!まずはその大陸で様子を見て、良さそうなら僕から依頼を出すよ。』
『えぇ、そうして下さい。ではルドさん。大陸を渡してください。』
おっおぉう。ずっと2人で喋ってるから思考を挟む余裕も無かったぜ。まぁまずは巨神様の願い通りに動きますか。
「アイギス頼むよ。」
「( ̄▽ ̄)ゞラジャ」
アイギスがゆっくりと浮鯨様の元に進む。浮鯨様はそんなアイギスの事をじっと見ていた。
『ねぇねぇ姉さま。これは生き物だよね?』
『特殊な状態で生まれた者ですけどね。』
『なるほどぉ。こういう方法もあったのかぁ。外の世界の人の発想は凄いなぁ。あっありがとう、大事にするね。』
何とか無事に空中大陸を渡せた。デカい鯨の瞳でじっと見られるのはなんか圧力が在るなぁ。
『ねぇねぇ、大地を必要としない空の生き物のアイデア無い?』
『どうか答えてあげて貰えますか?私の話を聞いて早速作りたいみたいなのですよ。』
「では私の出番ですね!まずはスカイフィッシュと言って常に空を遊泳する・・・。」
浮鯨様の問いかけに意気揚々と返事をしたのはメガネだった。自分達の飛行船の甲板から話しかけるメガネ達。その手にはペンとメモ用紙が・・・。お前等ぶれないな、神様の記録も余すことなく取ろうとしてやがる。
さて、向こうはメガネ達に任せて良いとして。俺達はこっちを対処しますか。まぁ、戦闘は起きないと思うけど。
【あー、元気出せ。なっ?今回は無駄に騒ぎを引き摺った事を怒っているわけだから。ちゃんと謝れば許して貰えるって。なっ?】
【そうですよ!大事な人の為に怒ったんですから。それがちょっと行き過ぎただけです。だから迷惑かけた人全員に謝りましょう?ねっ?】
各飛行船から慰めの言葉がスピーカーから流れる。その対象は、涙を流しながら地面を見続けている黒龍達だった。
まさか神様の事を思って動いた結果が唯の傍迷惑で、さらには処分しても良いと言われるまで怒っているとは思っていなかった黒龍達。見放された絶望感から地面に手を着いてずっと泣いてたのよ。
【お詫びとして鱗とか爪を渡しながら謝ればちゃんと許して貰えますから!!】
【今旅人の間でドラゴン素材がブームだからな!!住民に渡しても旅人が高額で買い取るからすっごく喜ばれるぞ!!】
【飛行船が生まれましたから、その護衛として働いてもかなり喜ばれると思います。】
【俺達も一緒に謝ってやるから。なっ?まずは浮鯨様に謝ろうぜ?】
この後黒龍達は浮鯨様にちゃんと謝り許して貰えたそうだ。世界に潜んでいる瘴気に関してはこのまま旅人に任せるんだと。あれは切り離した怒りの感情で、人格・・・いや神格はこの1つだけだそうだ。
黒龍達は俺達に迷惑を掛けたと山盛りの黒龍素材を差し出し、迷惑を掛けた各地に謝罪行脚に出かけた。途中ミアズマモンスターを見つけたら狩って行くらしい。まぁ浮鯨様直々の命令だしな。頑張ってくれ。
浮鯨様と言えば、メガネや他の旅人のアイデアでどんどん自分の理想の生き物のアイデアが浮かんでいるらしく。まず最初に空に浮くクラゲを作った。
ジェリーフライと名付けられたそれは、空気中の水分と電気を食べて暮らす軟体生物だ。特に雨雲や雷雲を好み、食べた物を窒素に似た成分に変えて排出するんだと。これメガネのアイデアね。
完成したその生物がふわふわと上空に上がって行く様子をすごくうれしそうに見ていたよ。もともと浮鯨様は少年みたいな人だったんだなぁ。
『ありがとうございます。これで彼も救われました。』
「いやいや、俺達なんもしてないし。」
「本当に私達は何もしてませんね。」
『私をここまで連れて来てくれたじゃありませんか。そうでなければ空中大決戦でしたよ?』
「それもそうか。」
『はい、と言う事で今回の事件はクリアです!!』
パパラパッパッパー♪ イベント『空の神復活を阻止せよ!!』が特殊条件でクリアされました。特殊条件には貢献度に寄って追加の報酬が支払われます。報酬は次回ログインの時にお支払いします。
おぉ!!クリア音が鳴るなんて初めてだな。巨神様が関わったから特別かな?追加報酬は何を貰えるのか楽しみだ!!
『でも1つ懸念が在るんですよねぇ。』
「それは何ですか巨神様?」
『瘴気の件です。あの子が瘴気を生み出したと思っていましたが、どうやら父上から少しずつ流れ込んで来ていたそうなんですよね。それがあの子の怒りに反応して大きくなったみたいで・・・。』
「でもしばらく戻って来ていないんですよね?」
『えぇ、ですが見られている感じがするそうなんです。』
「そうなんですか?」
『私よりあの子の方が父上との繋がりは強いですから。私も先程から誰かに見られている感じが・・・。』
「それって行方不明になた母神様じゃないんですか?」
『解りません・・・。』
思案顔で考え事をする巨神様。これは新たなストーリークエストのフラグ何だろうか?
【あっ居ました!!ルドさーん!!】
【もう!酷いですわ!!私達が到着する前に終わらせるなんて!!】
『きゅ~~~~!!』
おっとルゼダ達が合流したな。ロアの体に艦橋が括りつけられてるなぁ。本当に要塞として作ったのか。
まずは巨神様と浮鯨様の感じた視線に着いて2人に相談するか。
~・~・~・~・~・~・~
現実世界。そこにある軍事施設の中、黒い球体のAIが密かに、だがしっかりと言葉を発した。
『侵入ルート確保、次こそは必ず取り戻す。何を犠牲にしてでも必ずだ・・・。』
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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