第177話

「回復職はテッタとルドのフォロー!!ルドの盾の回収も急げ!!」

「ぱぱのたてはしあがもってくるー!!」

「攻撃職は敵の攻撃の出始めを潰せ!!テッタの嬢ちゃんでも粘れるだろうがルドほどじゃないぞ!!ヘイト管理注意しろ!!」

「先行突入組に薬を配達しろ!!MP回復薬は枯渇しているはずだ急げ!!」


突入してきた各メンバーが戦線を復帰させようと動き始める。俺の所にもいつものメンバーが救援に来てくれた。


「ルドさん大丈夫ですか!?」

「ルゼダ、はいMP回復薬。他にも薬貰って来たから必要だったら言って。」

「ありがとうクリン。今はMPだけで十分ですわ。」

「ぱぱ~、たてもってきたー。」

『ありがとな、もうちょっと合流が遅かったらピンチだった。シアも盾サンキューな。』


シアが蔓で運んで来た盾を装備し直し、HPを回復させる。ルゼダの方もMPの回復が済み、これで万全の状態だ。


「ローズの方はどうだ?」

「今は下がって回復して貰ってますわ。」

「おし、そろそろテッタがきつそうだ。壁役変わって「ピロンッ♪」おん?おっやっと来たな。」

「なにがきたのぱぱ?」

『瘴気汚染耐性獲得した。これで粘れるぞ!!』

「無効じゃ無いんですね?」

『金剛巨人体に吸収されなかったからな、何かが足りないんだろう。それじゃあ行って来る!!』

「私達も行きますわよ!!」


前線ではすでにテッタが満身創痍の状態で何とか壁役をしてくれていた。装備もボロボロで頑張ってくれていたのが良く分かる。


『テッタスイッチだ!!回復と装備の修復して貰え!!』

「はい師匠!!」


テッタと入れ違う様に前に出てヘイトを稼ぐ。すぐに黒い巨人は俺に向かって攻撃をし始め、ダメージを貰う。だが瘴気汚染耐性のおかげかダメージは最初に比べて半分に減っていた。


「今だ!!ルドが抑えている間に全員総攻撃!!」


ウケンの声掛けで各ギルドメンバーがどんどん黒い巨人に攻撃を加えて行く。HPもモリモリ減り、体力が半分以下になった時俺達は又動けなくなった。


『何だ?又イベントか?』

「ルドさん天井を見て下さい!!」

『壁画が光ってる!?』


全開ここに来た時、俺達が見た壁画は一部だった様だ。光り始めた壁画はその全容を露わにした。


墓地に向かって祈る人々、そしてその中から巨人になれる人が現れ始める。その巨人は星に導かれ、山に登り最後に池に入り神々しい光を手に入れる。


恐らくあの池は巨神の血の池なんだろう。そして選ばれた人がその池に入ると巨神の力を手に入れられるって事か。


黒い巨人は壁画の輝きから逃げる様に体を後退らせる。そして壁画の光はローズに降り注ぎ、ローズの体が光り始めた。


一定の量の光を取り込んだローズは何か覚悟を決めた顔をして黒い巨人になった自分の父を睨みつける。その時、なぜか俺にも光が降り注ぎ始めた。それを見たローズがなぜかその目を大きく見開いている。


『えっ!?なんでだ?』

『ルド様!!貴方もなのですね!!』


いつの間にか巨大化したローズがこっちに向かって来る。さすがに巨人3体も居るとこの空間でも狭いぞ!!


『父を助ける為にお力をお貸しくださいルド様!!』

『力貸すったってどうすりゃ良いんだよ。』


そんな会話をしていると光の吸収が終ったのか俺に降り注いでいた輝きは止まった。それと同時に体が勝手に巨大化を始め、体の光が強くなる。俺の体の光りにつられたのか、ローズも今までよりも巨大化していく。いや君そこまででかくなれなかったでしょ?


『ちょーっ!?さすがに狭すぎるだろ!!って巨大化が止まらない!?待て待て待て待て!!』ぎゅむ!!


際限なく大きくなっていく2人の体。結論として俺はローズと黒い巨人を巻き込んで広場に詰まった。なんでこんな事に・・・・。


『はぁはぁはぁ、ルド様の肉体と密着。興奮します!!』

『いやなんでこんな状態になったのか説明してくれる?』

『ルド様と私は巨神様の後継者になったのです!!その資格者の証として私は巨人になりました!!ルド様と同じ種族ですね!!』

『えっ!?じゃあ俺も種族変わってるのか?あっ駄目だ今動けなくてメニュー開けないや。あっ!!皆はどうなった!!』


そう思っていると、足元の方からシアの蔓が伸びて来て俺の前で止まった。その蔓にはメモが張り付けられていた。


『えっと何々?全員避難して無事。戻ってきたら覚えてろよ?いやこれ俺の所為じゃねぇだろ!!』

『あっ、父上が潰れてる。』

「きゅ~。」


どうやらめちゃくちゃ光りを放った俺の所為で瘴気が消し飛び、元に戻った瞬間に娘の尻に潰された様だ。黒くない半巨人の男性の顔からは何やら苦労している雰囲気が感じられる。


ピロンッ♪ストーリークエスト『巨神の後継者』の特殊条件を満たしてクリアしました。続いて特殊ストーリークエスト『巨人村に訪れた禍』を開始します。


ストーリークエストのクリアが通知されると同時に俺達の体も元に戻って行く。いやぁ、自分の意思ではどうやったって戻らないからこの先どうしようかと思ったよ。


「あのままでも良かった・・・あっ嫌なんでもありません!!それより父上!!起きて下さい!!村はどうなったんですか!!」

「ベブッハブッゴフゥッ!!」


こらこら、一応被害者なんだから手荒にするんじゃないよ。起こす為にメイスで殴らなくても良いでしょうに、それで皆の方はっと・・・。あぁ広場の出口に避難してたのか。


「おーい、こっちは無事だぶへぇ~っ!!」

「急にあんなに巨大化したら迷惑でしょ!!皆さん死に物狂いで逃げたんですよ!!謝ってください!!」

「ずびばぜんでしだ。」


なぜか飛び出して来たリダにボコボコにされ、皆の前で土下座する事になった。一応弁解を聞いてくれないかな?あれ俺の意思じゃないのよ?


「突然目の前から肉の壁が襲ってきたときは何の罰ゲームかと思いましたわ。」

「がははははは!!このクエストで一番死ぬかと思ったな!!」

「酷いっす!!それにずるいっす!!特殊条件クリアってなんなんっすか!!」

「これは記録が捗りますよ!!他のストーリークエストでも隠された条件があるかもしれません!!」

「検証の遣り甲斐がありますね館長!!今回の記録もバッチリ取りました!!」


参加者全員にもクリア通知が送られ、報酬が貰えたそうだ。あの黒い巨人の体力をさらに半分は削らないといけないと思っていた所であっけない幕切れ。うん、戦闘狂の一団が文句たらたらです。


「なんでぇ。これで終わりかよ。」

「もっと僕の華麗なる剣技を見せつける予定だったのに残念だね。」

「私の鞭の出番があまりありませんでしたわ。」

「聞いていませんでしたか?この後ワールドクラスの大レイド戦がありますよ?クエスト参加するときに説明されましたよね?」

「それを早く言えよ!!お前等次はもっとでかい喧嘩するぞ!!」


はい、イルセアさんの説得で戦闘狂達は一瞬で黙りました。道場やってた時も思ったけどイルセアさんも結構苦労人気質な気がする。


謝罪とクエストの説明が終った頃にローズとその父親が俺の前に歩いて来た。何やら2人共深刻そうな顔をしている。嫌な予感がするなぁ。


「ルド様、この度は父を助けて頂きありがとうございました。」

「娘共々助けて頂き感謝する。」

「いえいえ、こちらにも利が在ってやった事ですから。それより深刻そうな顔をしておられますが何か在りましたか?」

「村が、私が村長を務める村が黒い靄に飲み込まれ、住民が皆私と同じような状態に陥りました。私はどうにか逃げ出したのですがあのような状態に・・・・。あなた方を襲ってしまい誠に申し訳ない。」


詳しく話を聞くと、巨人の村はすでに瘴気に飲まれ住民が皆瘴気汚染の状態に陥っているそうだ。精神を乗っ取られ所構わず暴れまわり、命を刈り取る。そんな惨状を見た村長は巨人族の村を封鎖し、住民を閉じ込めて助けを呼びに外に出た。けれど自身も瘴気に蝕まれ、瘴気の先兵になってしまったそうだ。


「村の人達を救うには私とルド様の力が必要です。どうか村まで一緒に行ってください!!今ならまだ間に合うかもしれないのです!!」


ローズの言葉に全員が頷いて返したのは言うまでもない。だって次のクエストの目標そこだし。言われなくても行くってもんさ。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 


2022/6/24 今回はここまでとなります。いかがでしたでしょうか?ちなみに、ボスになってた父親ですが、本来であれば種族進化したローズの力で抑え込み、旅人が打ち倒すというデッドエンドが待ってました。ですがそこにもう一人巨人が居た事でイベントが発生、巨人族の村の浄化フラグが立ち生存ルートに入ったんですねぇ。


次章では久しぶりにルド君のステータスをばっと公開しちゃいますのでまたツッコミどころが在ったら教えて下さい。ツッコミ所しか無いでしょうが(;´・ω・)


ではでは、また次回の更新でお会いしましょう!!


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る