第154話
トラブルとは無縁と言ったな?あれは嘘だ!!はい、絶賛俺達はトラブルに見舞われております。
「こんのっ!!」ガキンッ!!
「こんな所で襲撃何て何を考えてるんですか!!」
「皆さんは結界から出ないで下さいまし!!」
「守備隊と騎士団が到着するまで粘ってください!!」
「わぁーってるよ!!」
「わるいひとはけっかいにはいっちゃめー!!」
どうしてこうなった?それを説明するにはレイハさんを領主の館に送る事になった所まで遡らないといけない。
都市に入った俺達はてっきりレイハさんは現地の守備隊にお任せできると思ってたんだ。
「えっ?領主館まで一緒に行って欲しい?」
「はい、助けて頂いたお礼を是非させて下さい。」
「いやいや、お礼は例の図書館への案内と入場の手続きだけで良いですよ。」
「そうはいきません!!誇りあるソノーハ魔道国の国境都市を収める領主の娘が、命の恩人をその様な安い報酬でねぎらったとなれば魔導王様に顔向けできませんから!!是非、領主館でお礼をさせて下さい!!」
うーむ、早くメガネ達と合流したいんだけどなぁ。
「貰えるものは貰っておけばいいのですわ。」
「メガネさん達も事情を説明したら解ってくれますよ。」
「これってストーリークエストに関係してると僕は思うんですがどうですか?」
「ぱぱへんなかおー。」( ´艸`)
「うーん・・・・。皆が言うなら御呼ばれするか。お嬢様を館まで護衛いたしましょう。」
「はい!!精一杯もてなさせて頂きます!!アンジェリカ、先に屋敷に行って事情を説明してきて。」
「畏まりました。」
と言う事でブリンガーに乗ったまま俺達は領主の館に向かって走り始めた。外を走るのとは違って馬車と同じような速度で進むブリンガーを、都市の人達は不思議そうに眺めている。
荷台に乗っているのがレイハさんだと気が付いた住民達は声を掛けたり手を振ったりし始めて、レイハさんがそれに答えるもんだから何かのパレードみたいになった。
レイハ様―!!
今日もお綺麗ですよー!!
レイハ様!!いつも炊き出しありがとうございます!!
御領主様にも感謝を伝えて下さーい!!
いつも都市を守って下さってありがとうございまーす!!
「人気者ですね。」
「父のおかげです。私はその娘というだけ。まだ何も成してはいません。ですが必ずこのゴレオンを今よりも発展させて見せます!!」
立派だね。見た感じシルと同じ15歳くらいなのにもう領主としての自覚を持ってるなんて。俺が15歳の時なんてなんも考えて無いちゃらんぽらんな奴だったよ。
「その思いが在れば大丈夫でしょう。」
「そうだと良いのですが・・・。」
おろ?何やら雲行きが怪しい感じ?ブリックスさんも表情が沈んだけども?
「何か在るのですか?」
「いえ、大丈夫です。こちらの事ですから。」
そう言われたら深くは探れんわ。その後も住民に対応しながらゆっくりとブリンガーは進んだ。
「この通りを右に曲がったら領主館です。」
「あの正面の壁はなんですの?」
「あれは高台になっていてあの上には公園が作られているんです。ゴレオンの名所になっているんですよ?有事の際には大通りを進んでくる兵士を迎え撃つ砦になります。」
「領主館に攻め入る前にあそこから攻撃されるわけか。その攻撃を嫌がって路地を進むと出口が限定されていて返り討ちになる。結構考えられてるなぁ。」
「元々は国境を守る砦でしたもの。その時の名残です。」
ゴレオンの歴史ある高台を見つつ、最後の角を曲がり進む。すると先には大きな建物が見えて来た。
「あれが領主館です!!もうすぐ着き」ドガァァァァァァンッ!!
レイハさんが領主館の方を指さして俺達に紹介しようとしたその瞬間、右側に建っていた大きな建物が爆発。領主館への道が瓦礫で閉ざされてしまった。
バゴォォォォンッ!!
続いてブリンガーの後ろの建物が爆発。こちらも瓦礫で塞がれてしまった。
「爆発だぁぁぁぁぁ!!」
「逃げろぉぉぉぉっ!!」
「おかーさーん。」
「うわぁぁぁぁぁぁん!!」
「ううう、俺の足が・・・。」
「私の坊やは何処!!坊や!!」
「俺の腕、俺の腕は何処だ・・・・。」
爆発に巻き込まれた住人達の悲鳴が上がり。あたりは騒然となっている。すぐに動き出そうとした俺達の前にさっと人影が立ち上がった。
「皆さん落ち着いて下さい!!まずは落ち着いて!怪我人の救助を優先して!建物は崩壊の危険があるので出来るだけ近づかない様にして下さい!!」
レイハさんが声を上げるとパニックになっていた住民がこちらに気が付き、声を上げたのがレイハさんだと気が付くと落ち着いて行く。さすが領主の娘、良いカリスマ持ってんじゃーん。
「ルゼダは怪我人の治療。リダは建物の中に人が居ないか確認してくれ。建物の中に人が居たら俺が瓦礫を避けて助ける。クリンは住民を集めて怪我人の搬送。シアは爆発した建物の左右を蔓で固めて崩壊を防いでくれ。出来るな?」
「「「「はいっ!!」」」」
俺達が救助に動き出そうとしたその時、公園の方からレイハさんに向かって一本の矢が飛んでくるのが見えた!!
『危ない!!』ガキンッ!!
守護双壁流の守護者を発動しながら飛んで来た矢を腕ではじく。矢じりが濡れてるな。毒って事か!!無効化してて良かった。
最初の矢が防がれたのが意外だったのか、高台の上から黒尽くめの人達がナイフ片手に飛び降りてブリンガーを取り囲もう動く。
「させませんわよ!!聖癒天女流『守護結界』!!」
「皆さん結界の中に入って!」
「しあもてつだう!!」
ルゼダがブリンガーと連中を分断するように結界を張る。住民は怪我人の救助の為に全員建物の方に寄っていた為に襲撃者側に居なかったのが良かった。すぐに結界の中に入って身を固めている。人質に取られてたら面倒な事になったからな。
襲撃者の男が腕に着いたボウガンの様な物をレイハさんに向けて発射する。
パシュッ!!
飛び出した矢はなぜかルゼダの結界を通り抜け、レイハさんに迫った。俺はそれを盾を使って弾き飛ばす。
『こんのっ!!』ガキンッ!!
「こんな所で襲撃何て何を考えてるんですか!!」
「皆さんは結界から出ないで下さいまし!!」
「守備隊と騎士団が到着するまで粘ってください!!」
「わぁーってるよ!!」
「わるいひとはけっかいにはいっちゃめー!!」
領主館の近くで襲撃なんかしたんだ。すぐに守備隊なり騎士達が駆け付けるだろう。相手もさっきのクロスボウが最後の手段だったのか、全員がこちらに向けてクロスボウを発射しても効果が無いとみるとすぐさま撤退していった。
「くっ、引き際が良すぎます。かなり訓練されていますね。」
「1人も捕まえられなかったか。」
「証拠品はこの発射された矢だけですか。」
「怪我人は今治療しますわ!!」
しばらく様子を見ていたが襲撃者が戻って来ることは無く。俺達はとりあえず人命救助を優先する事にした。
「ルドさん!!ここに4人居ます!!」
『おう!!危ない時は教えてくれ!!ゆっくりと持ち上げるぞ!!』
「他に怪我をした人は居ませんかぁ~!!治療はここで行っていまぁ~す!!」
「『慈愛の光』さぁこれでお母さんは大丈夫ですわ。」
「ありがとうおねぇちゃん!!」
「ありがとうございます!!ありがとうございます!!」
「国境都市ゴレオン騎士団団長のリーガンだ!!誰かこの状況を説明できる者は居るか!!お前達は人命救助を手伝え!!」
「「「「「「「はっ!!」」」」」」」
「リーガン団長!!」
「これはレイハ様!ご無事で!!」
俺達が人命救助をしている所に都市の騎士団が到着。部下の人達が救助を助けてくれた事もあり、怪我をした人達は救う事が出来た。だがこれだけの事件だ。中には亡くなった人も居た・・・。
「蘇生魔法なんて都合の良い物は無いですよね?」
「住民に効果のある物はありませんわ。旅人は神器の力が宿っている為に効果が在るんですわ。だからこの人達は・・・。」
「そう泣きそうな顔をするな。お前のおかげで助かった人も居るんだ。この落とし前は襲撃者にきっちり取って貰えばいいさ。」
「・・・・。そうですわね。」
「それに、あそこでやる気になってる奴が居るからな。」
泣きそうなルゼダの頭をぽんぽんと叩きながら、襲撃者に怒りを燃やしている2人を指さす。その先には剣を天に掲げ鼻息を荒くしている男と、緑の精霊が蔓をウネウネさせながら気炎を上げていた。
「僕許せません!!絶対にあいつらを同じ目に合わせます!!」
「しあもゆるさない!!てあしひきちぎってめのまえでもぐもぐしてやる!!」
「シアちゃん怖いです・・・。」
「やる気になるのは良いが、まずは報告と事情を聞こうじゃないか。なぁレイハ様?」
「・・・はい、皆様まずは領主館に。そこで事情を説明します・・・。」
途中から気が付いていた。レイハさんが襲撃者に襲われた時、落ち着いた様子だったのだ。つまりは最初から襲撃を知っていたという事になる。そこん所詳しく聞かないとね。いやぁまた面倒くさい事に巻き込まれた感が凄いわぁ~。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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