第105話

「おいしーい!!」

「本当にうまいなこれ、蟹の味が濃いわ。」

「蟹味噌を乗せるとさらに美味しいですよ!この濃厚な味噌が何とも身と合います!!」

「やいてるのもおいしい!!」


野菜や肉はそっちのけで蟹を食べ続ける俺達。いやぁこういうのも楽しいなぁ。


「ほらシア、口元に付いてるぞ。」ふきふきっ

「んっ、ぱぱありがとう!!」

「シアちゃん、ジュースは要りませんか?」

「いる!!」


なんか家族の団欒っぽいなぁ。


そう!!ルドがそう思っている以上に傍から見たら家族の団欒なのだ!!しかも幸せオーラ一杯の幸せ家族に見える!!


この世界両親と子供の種族が違うなんてことはざらにある!!人族に見えるルド、獣人族のリダ、そして樹人族に見えるシアはどう考えても家族にしか見えないのだ!!そしてそんな家族を妬む人々が居る!!


「ぐぎぎぎぎっ!!子供まで作って幸せそうにしやがって!!」

「奥さんも美人だぞ!!あんな強面の奴に可愛い奥さんがいる何て不自然だ!!」

「妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい!!」

「あんなゴリラ顔の奴に嫁が居て俺に居ないのはおかしい!!」


そんな彼等の元に、運営からさらなる燃料が投下された!!


ピンポンパンポーン⤴ 皆様にお知らせします。現在開催中のイベント『海だ!!夏だ!!バカンスだ!!』の会場ハイワ島に置いて突発イベントを開催いたします!!詳しい情報はハイワ島に居る旅人全員に送付したしたので其方をご確認ください!!ピンポンパンポーン⤵


ハイワ島突発イベント『絆を守れ!!』

参加条件 ハイワ島に居る事。


ハイワ島に住む悪霊が楽しそうにしている旅人に嫉妬した!!島を訪れている旅人に憑依して旅人達を襲い出すぞ!!悪霊に取り付かれた旅人にやられれば強制的にPTから抜けて幽霊となって島を彷徨う事になる!!勝利条件は紛れ込んだ悪霊着きを全て討伐する事!!君達は大事な仲間を守る事が出来るのか!!


※イベント中旅人の死亡は死亡扱いとなりません。幽霊となり結果を見届ける事になります。イベントが終れば、その場で復活します。デスペナルティもありません。


<悪霊着きの方のみ閲覧可能>

ぐへへへへ、お前達は俺の傀儡になったのだ!!特別に力を分け与えてやる。時間経過と共に溜まるエネルギーを使い、旅人共を妨害するのだ!!


1つ目は姿を隠す能力!旅人から姿を隠す事が出来るぞ!!

2つ目は旅人に化ける能力!!相手の姿をコピーして惑わせるぞ!!

3つ目は魔物を召喚する能力だ!!これは狙った相手に魔物をけしかけるぞ!!


3つの能力を使い分け、奴等を恐怖のどん底に落としてやれ!!力の溜まり具合で能力が変わるからな!!それと溜まった力はどれか1つにしか使えない!!一度使えば又力が溜まるまで使えないからな!!使い所を間違えるなよ!!


イベントの通知が来てすぐ、その視線の先には先ほどと同じように仲良く食事をとりながら突発イベントの情報を見ている家族が居る。妬みに狂った旅人達の最初のターゲットが今、決まった!!


「ほーん、悪霊ねぇ。どこに居るんかね?」

「これって人狼ゲームって事ですよね?PT組んでたら即バレるんじゃないですかね?」

「うーん、どうなんだろ?相手側に何か特殊な力が在るんじゃないかなぁ?フレンドチャットは封印されてるっぽいしね。」

「ぱぱ、なにかいるよ?」


シアが指さした先では不自然に足形になった砂があった。ここは海岸なので砂浜には足跡が残る。崩れない所を見るとあそこで立ってるって事かな?


「捕まえてポイしちゃいなさい。」

「はーい。それじゃあうみにぽーいっ♪」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」ドポーンッ!!

「これで悪霊着きの方に特殊能力が有るのが分かりましたね。」

「ぱぱ、ほかのひともぽいしていい?」

「隠れてるならポイしていいぞ。見えてるなら駄目。」

「はーい( ´ ▽ ` )ノ」


うむ、2人程飛んだな。姿を隠す能力は確定っと。後はなんだろうな?おん?誰か近付いて来るな?あれは係の人?


「申し訳ありません。イベントが始まった事によりこのビーチは閉鎖となりました。移動して頂けますでしょうか?」


よく見れば他に楽しんでいた人達も移動を開始している。ふむ、閉鎖なら仕方ないか。


「仕方ないですね。それじゃあ移動を「ねぇぱぱ?このひとだれ?」ん?」

「どうしたのシアちゃん?この人はさっき受付してくれた人だよ?」

「ん~?ちがうよー?」

「何言ってるのかなお嬢ちゃん?さっきお話したじゃないか。」


ほむ?なるほどなるほど?


「そういえば、さっき頂いた飴をこの子が気に入りましてね?買いに行こうかと思うんですがお店を教えて頂けますか?」

「えっ、飴ですか。あぁあの飴ですよね。ほらあの有名で赤い・・・。」

「えぇ、そうですこの島の特産の飴だと伺いました。」


おっ俺の意図に気が付いたね。2人には内緒にしててもらわないと。


「あー、チィゴの飴でしたよね!!あれならこの先の売店で「シア、ぽいしなさい。」「はーい!!」えっなんでってうわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」ドポーンッ!!

「他人に変わる能力もあるという事ですか。」

「そう言う事だねぇ。ほれシア、ご褒美に飴ちゃんをあげよう。」

「わーい!!しあこの“きいろいあめ”だいすきー!!」


この島の本来の特産品の飴はこの黄色いナップルの飴だ。赤いチィゴの飴は観光客様に売り出すように最近開発された“新しい”特産品。まだまだこの島の特産とは言えない。宣伝の為にそこら辺にあるけどね。


さてとビーチに居られては姿を消す能力が使えないから追い出したいんだろうな。つまりここに居ればある程度防衛できると。ほんじゃー、巨人化しましてっと。


『皆さーん!!悪霊着きは姿を消す力と他人に化ける力が在りまーす!!ビーチの閉鎖は嘘情報でした!!姿を消す能力を封じる為にビーチに残って下さーい。』


おっ、出て行こうとした人は残ってくれたね。あー係に化けた奴らが慌てて逃げてる。そんなことしないで溶け込めばいいのにねぇ?何人かは居そうだけど。


「巨人化解除っと。さてこれからどうするかね?」グォォォォォォォッ!!「おん?魔物?」

「ぱぱ!!なんかいっぱいくるよ!!」

「島全体はセーフエリアのはずですよ?魔物が出る何ておかしいです。」

「つまりこれも悪霊着きの能力っと。」

「「「「「「「グオォォォォォォォォッ!!」」」」」」」


襲ってきたのは骨で出来た犬の魔物だった。スケルトンドッグとかそのあたりかね?


「きゃー!!」

「くっそ!!こいつ等なかなか強いぞ!!」

「水着来てる奴はすぐに装備に着替えてこい!!このままだと押されるぞ!!」


狙いはビーチに居る人達って訳だぁね。狙いはPT単位か、一回で5~10匹召喚かな?


「おいっ!!襲われてない奴等は怪しいぞ!!」

「悪霊着きだから襲われないんじゃないか!!」

「特にあの家族が怪しいぞ!!」


おー、こう言われても証明する術無いからな。さてどうすっか?


「ぱぱ、あのひとちがう。」

「見た目と中身がって事か?」

「うん!!」

「シアちゃんはどうして分かるんでしょう?不思議ですよね?」

「しあのめ、せいれいのめ!!ほんとうがみえる!!」

「あぁ、種族が樹精霊だもんな。」

「すごいですねシアちゃん!!」

「えへへ(∀`*ゞ)」


これもステータスに出ない隠れステータスの効果って事だな。さてそれじゃあさっきの奴の化けの皮、どうやって剥がしてやろう?


「そこは私にお任せください!!」

「何か方法あるの?」

「ほうほうあるの?」

「こんな事もあろうかと修行していました!!心義夢想流『心現』(しんげん)!!」


リダの腕から飛び出た白い塊が、さっきこちらを指さして怪しいと言っていた男に命中する。すると男の姿が先ほどとは違い、女の姿となる。


「きぃぃぃぃぃぃっ!!もう少しだったのにぃぃぃぃぃっ!!」

「悪霊着きだ!!倒せ倒せ!!」

「やっちまえ!!」

「ぎゃーーーーーーっ!!」


あっという間に周りに居た旅人に倒されて消えていく女。ご愁傷様。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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