第92話
坑道の中は普段使っていただけあって、壁にきちんと灯が備え付けられていて明るかった。
足元には鉱石を運んでいたであろうトロッコの線路と、歩きやすくするための板が敷き詰められている。
「念の為に灯点けるか。」
(´―`*)ウンウン
崩落現場に近付いたら灯が消えている可能性もある。そんな時にもたもた灯を点けていたら、もし襲われても対処できない。だから先に明かりを用意しておくって訳だ。
俺はインベントリから魔導ランタンを取り出して点灯する。なんとこのランタン、MPを1消費して1時間も明るくなるのだ!!今の俺なら100時間は余裕だぜ!!
「これ持ってくれる?」
オッケー☆⌒d(´∀`)ノ
ランタンはシアの蔓に持たせる。こうすると俺の両手は空くし、シアも他の蔓で攻撃出来るからね。
「おっ!!鉱石はっけーん。ちょっと採掘するから警戒よろしく。」
( ´∀`)bグッ!
取り出したるはずっと使っていなかった親父が用意したつるはし!!やっと出番が出来たね!!
「試しに一発!!そうれっと!!」カーンッ!!
ルドは銅鉱石を手に入れた!!
「ありゃ、銅だったか。まぁでも何かに使えるでしょ。劣化が付かないのも確認できたし、取れるだけ取っちゃうか。」
その後銅鉱石を4個手に入れてこの場所の鉱石は打ち止めだった。
「シアありがと。奥行くぞー。」
(´~`)モグモグ
「何食べてんの?」
モグモグ(´~`)つ〇″コレ
「蟻の頭!?敵が来てたのか。」
(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪
採掘に夢中になって感知を疎かにしちゃったか。シアには感謝だな。
「坑道って敵が出てくるんだなぁ。っておや?よく見たらこいつジュエルアントじゃないか!!シアストップ!!その頭食べちゃ・・・・・遅かったか。」
(´~`)モグモグ (。´・~・)ン?
「シア、ジュエルアントは体に宝石がくっついてる場合がある。特に頭部には大きな宝石が付いている場合があるから今度から頭だけは残してくれない?」
((-ω-*≡*-ω-))んーん
「体は食べて良いから!!頭だけ!!お願い!!ねっ?」
(´・д・`)ヤダ
駄目かぁ~。まぁ多分MPもとい魔力が籠っているだろうからシアからしたらご馳走だもんなぁ。攻略サイト情報によると売れば結構な値段になるらしい。<彫金>スキル持ちに渡したらアクセサリーにも加工出来るらしいんだけど・・・・。まぁ良いか。シアが喜んでるみたいだし。
ヾ(*´∀`*)ノ キャッキャッ♪
「さてと、鉱石が取れる事はわかったし、奥に進みますか。」
( ´∀`)bグッ!
たまに鉱石を採掘しながら崩落現場まで足を進める。今の所銅か錫しか掘れてない。たまに水晶が出るくらいかな?
(´~`)モグモグ
ジュエルアントは結構出てくるみたい。今思い出しても受付の人は魔物が出るとか特に言ってなかったよな?つまり何か異変が起きてるのか?今の所シアが一方的に捕食してるから脅威でも何でも無いけど・・・・。戻ったら報告しとくか。
「シア、そろそろ崩落現場だから慎重に進むぞ。」
( ̄▽ ̄)ゞラジャ
案の定崩落現場周辺では明かりが消えて真っ暗な空間になっていた。シアにランタンを掲げて貰って坑道の奥まで見渡せるようにして貰う。感知に敵は・・・・反応しないな。
「こりゃひでぇな。」
(゚д゚)(。_。)ウン
崩落と聞いたから上から崩れたのかと思いきや、掘っていた坑道が滑落してるんだな。地面に大きな穴が出来ていて、壁も少し崩れている。これは・・・下に空洞があった?崩れた先に目を向けると黒い穴がぽっかりと口を開いてる。
「多分ミスリルをゲットした人はこの先に進んだんだろうけど・・・・。っ!?なんだ!!なんか一杯来る!!」
Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)
ガサガサガサと穴の奥から音が聞こえ、同時に叫び声も響いて来た。
「・・・くれぇぇぇぇ!!」
「近づいて来る?シア!!警戒!!」
⁽⁽(ી₍₍⁽⁽(ી⁽⁽(ી₍₍⁽⁽(ી(`・ω・´)ゞʃ)₎₎⁾⁾ʃ)₎₎ʃ)₎₎⁾⁾ʃ)₎₎ウネウネウネ
俺も盾を構えて防御の態勢を取る。すると叫び声が段々はっきりと聞こえる様になって来た。
「助けてくれぇぇぇぇぇ!!」
「っ!!人か!!おーい!!こっちだ!!」
俺の声に反応したのか、声とガサガサ音がこちらに向かって来る。そして暗がりから姿を現したのはぼろ布を纏った髭ズラの囚人の姿と、それを追いかけるジュエルアントの群れの姿だった。
「シア!!とりあえず捕獲!!」
( ´∀`)つ ミ〇
シアに渡して投げて貰ったのは受付から預かったゴムボール。ボールは囚人に当たると瞬時に広がり、体の自由を奪った。
「ぎゃー!!何しやがんだ!!これじゃ逃げられねぇ!!」
「黙ってろ!!『蟻共こっちだぞ!!』」
咆哮スキルが消えてオリジンスキルに吸収された影響で、ただ注意をこちらに向けたいと思うだけでヘイトスキルが発動する。先が見えない程大量のジュエルアントは、坑道に響いた声も相まって全部こちらに向かって来た。心配なのは後ろから挟まれないかだけど・・・・。そこはシアを信じるしかねぇ!!
「シア!!片っ端から食べちゃって!!」
ワァ───ヽ(*゚∀゚*)ノ───イ
「おまっ!!せっかく俺が集めた宝石を横取りするのか!!」
「今にも死にそうになってたやつが何を言う!!そら来るぞ!!」
ジュエルアントの最大の攻撃は牙による噛みつきと、なんでも溶かす蟻酸だ。牙はジュエルアントがなんの宝石を主食にしているのかで固さが決まり、希少鉱石を食べてる個体に当たると装備事引き裂かれるらしい。蟻酸も装備の耐久をガリガリ削るらしいけど、俺の装備には耐久何て無い!! アクセサリーには耐久あるけど、指と腕に付けてるから、盾で攻撃受けてる限り耐久減らないしな。
『ばっちこいやぁぁぁぁっ!!』
ガギンッ!!ゴリゴリゴリ!!ジュウっ!!ガジガジガジ!!
うへぇ、虫にたかられるのって気分の良いもんじゃないな。前面は盾で攻撃受けれるけど、回り込んだ奴が背中や足を齧って来る。時折ダメージ入ってるって事はかなり固い鉱石を食べてる個体が居るな?
後蟻酸がたまに飛んで来て盾や体に掛かる。こっちも何でも溶かすっていう話は本当だったな。しかも状態異常になってるよ。《溶解》っていう状態異常があるのを初めて知った。
装備は心配ないけど体力が結構削られるなぁ。HPの自動回復が効いててすぐに死ぬ程じゃないけど、これ以上増えるとまずいか?坑道に対してジュエルアントの体が結構大きいから、攻撃してくる蟻の数が少なくて助かったな。
(´~`)モグモグ (゚д゚)ウ-(゚Д゚)マー(゚A゚)イ-…ヽ(゚∀゚)ノ…ゾォォォォォ!!!!
シアの奴、嬉しそうに蟻の踊り食いやってるなぁ。それを見て捕まってる囚人は呆然とした顔をしている。こいつプレイヤーじゃなくて住民だな。そうだ、残った2人について聞こう。
「おいっ!!お前の他に2人逃げたはずだがどこにいるか知ってるか?」
「あっあぁ、知ってるが・・・。大丈夫なのか?」
「これくらいなら平気だよ。それで?他の2人は何処にいる?」
「・・・・蟻の巣で肉団子になってるよ。」
「なっ!?お前他の2人を囮にしたのか!!」
「違う!!俺は反対したんだ!!でもあいつ等俺の話も聞かずに・・・。」
囚人が語るには、崩落現場の近くで作業していた三人は今ジュエルアントが出てきている穴を見つけて逃亡を図ろうとしたらしい。その奥でジュエルアントの巣を発見した。
そこにはジュエルアントが餌にしている宝石が山の様に積まれていて。逃亡時の軍資金にする為に手に入れようとしたそうだ。そんな2人にこの男は危険だから止めようとしたが聞き入れられず。残り二人は意気揚々と宝石に近付き、そこに居た女王に無残にも殺されたらしい。
「俺も見つかって逃げてたんだ。外に危険を知らせて、ついでにジュエルアントを討伐させて宝石を報酬として貰うつもりだったんだ。本来この坑道には魔物は出ねぇ。知らずに入った奴が食われちまうからな。」
「なぁ、何でそんな事をするんだ?お前捕まってここに入れられた囚人だろ?そんな事せずに逃げれば良かったじゃないか。」
「俺はここを出て真っ当に生きるんだよ!!ジュエルアントの宝石は高値で売れる、それで罰金を払うんだ。それに開拓村の1つが今人手を必要としてるそうじゃないか。おれはそこで自分の夢を叶えるんだ!!ちんけな盗みでこんな所に入れられちまったがな。」
「ちんけな盗みねぇ。坑道送りは重犯罪者が送られる場所だって聞いたけど何を盗んだんだ?」
「・・・・神器だよ。開拓村になるはずだった奴を8つばかし失敬したんだ。」
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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