第80話

「アンザ家には後日、当主に直接褒美を取らす。」

「ありがたき幸せ。」


さて、これで謁見は終わりかな?そう思っていたところで王様がまた立ち上がった。


「これにて謁見を終わる。ご苦労であった。」


そう言って去っていく王様。その時俺に向かってウインクしたような?


「呼ばれてしまいましたね。」

「呼ばれた?」

「恐らくこの後個人的な話があるでしょう。」

「皆様、こちらにどうぞ。」


兵士に促されて謁見の間を退出する。そして案内されたのはなんと隠し扉で隠された部屋だった!!そしてまぁ、案の定そこには王様と宰相っぽい人が居たわけですな。


「呼び出してすまなかったな。ここは内密な話をする為に作られた部屋だ。気楽にするといい。」

「いやっえっと?」

「ここの会話は外に漏れませんわ。だからいつも通りで大丈夫です。」

「ローザ殿はいつ見ても美しいな。どうだ?側室に入らんか?」

「陛下、そんな事をおっしゃりますと・・・。陛下は病床に伏したと発表する事になりますよ?」


うおっ!?いつの間にか宰相っぽい人がハンスさんになってる!!そんでもって陛下の首元にナイフ突き付けてるんだけど!!


「はっはっは!!冗談に決まっておろうが!!それにローザ殿はお前にぞっこんではないか!!」

「えぇ、たとえ陛下でも私を好きにはさせませんよ。」

「おぉ怖い。氷の女帝は健在か。」


うわっ!!陛下の足元凍ってる!!ってか良いのこれ!?不敬罪じゃないの!?


「これくらい陛下には戯れにしかすぎませんよ。」

「この御方は人を揶揄って遊ぶのが好きなのだ。全く困ったものだよ。その所為で本日も宰相閣下が胃痛で倒れて私が代役をすることに・・・。」

「はっはっはっは!!あれは軟弱な宰相が悪い!!」

「あのぅ~、とりあえず話を進めてくれませんか?」


身内のノリについて行けねぇんだよ!!話があるならさっさとしてくれ!!


「おっとすまんな。それで話と言うのはな。人探しをして欲しいのだ。」

「ローザさんから聞きました。それで?何方を探せばいいのですか?」

「うむ、その者は頭が良く、魔道技術にも精通していたのだが何分頭が固くてな。危険な実験や民に被害が出る物等を作るべきでは無いと言って技術部と揉めたのだよ。その所為でいずこかに姿を消してしまった。」

「その意見は至極真っ当では?」

「敵国が作った兵器も研究せず廃棄しろと言ったらしい。」

「あぁ~そりゃ駄目ですわ。」


敵さんが何を考えて作った兵器なのか、そしてその脅威から身を守るにはどうするか考えるのに兵器の研究は大事よ?頭ごなしに兵器は悪!!全部壊せ!!なんてやってたら新兵器にあっという間に蹂躙されるぞ?兵器の研究は防衛の意味も在るんだから。


「それで?大まかな居場所は?」

「それが分からんのだ。継承権を持たないとはいえ王の一族なのでな。護衛を付けていたのだがなぜが姿をくらました。」


うーん?継承権を持たない?そんでもって王都から追い出された?どっかで聞いた話だけど?たしか王都で研究員をしていたけど、過激な一派を止めようとしたら追い出された。それでもずっと監視されていたから、逃げるのにカマーンさんに手伝って貰ったとか酒の席で・・・・。


「村長か!?」

「ん?知っておるのか?」

「いや、多分ですけど。うちの村の村長だと思います。」

「お主の居た開拓村と言えば6番か。」

「今はルド村と名前を改めていますけどね。」

「お主が救った村だったな。」


でもどうして開拓村の村長が探している人だと知らないんだ?ふつう調べるだろ?


「あやつは姿を変える魔道具の第1人者でな。恐らく今出回っている者のオリジナルを持っているのだろう。」

「それって性別を変えたり?」

「オリジナルはそれに加えて好きに容姿を弄れるのだ。」

「開発には僕も協力したんだよ。アンザ家の秘伝の技が役に立ったんだ。」


なるほど、ハンスさんのユニークスキルを模倣しようとして生まれたのか。


「居場所が分かったのなら話は早い。すぐに迎えを出そう。」

「村長に何をさせるんですか?居なくなるのは困るんですが?」

「あのゴーレムの中枢の解析を任せたいのだ。あ奴は帝国に留学していた経験がある。まぁお忍びでだがな。その知見を今必要としているのだ。」

「押収した中枢部の解析が遅々として進まないんだ。それであの方であれば解析出来るはずだと連絡を取ろうとしたら行方不明でね。陛下も私も大慌てさ。」


まぁ普通王族ってすぐ連絡取れるところに居るだろうしなぁ。まさか開拓村に居る何て思わないわな。


「ルドさんルドさん!!」

「ん?どうしたリダさん?」


今まで緊張で一切喋って無かったのにどしたの?


「村長が簡単に協力してくれますかね?あの人一度追い出されてるんですよ?」

「あっそうか。さっき聞いた話しと村長の話が違うから嵌められた可能性もあるし。」


村長から聞いた話だと、敵国の兵器を魔改造して敵国の捕虜を使って大々的に実験しようとしたのを止めたんだよな。研究せずに廃棄しようとしたわけじゃなかったはずだ。


「それに村長って王都で暗殺されそうだったから開拓村に逃げたって言ってましたよ?」

「私もクリンと一緒にその話を聞きました。」

「なんだとっ!!それは真か!!」


王様が身を乗り出して俺達の会話に割り込む。まぁ狭い部屋だからね。聞こえるか。


「あー、確か聞いたな。王都で細々と暮らそうとしたら殺されそうになってカマーンさんに助けて貰ったんだったか。」


正確には襲撃された所を、まだ冒険者だったカマーンさんが見つけて割って入ったんだよな。その縁で今ルド村のギルド長を任せていたはず。


「もしや帝国の連中、気付いていたのか?」

「恐らくは。今回捕縛した者達にも問いただしましょう。」

「何に気が付いていたのかお聞きしても?」

「あやつが・・・・。リクがお忍びで帝国に留学したと言ったな?」

「えぇ、先程お聞きしましたね。」

「あやつはそこで当時の帝国技術の全てを収めて帰って来たのだ。」

「つまり帝国は他国に流出した技術を消し去りたいと?」

「そう言う事だな。」


あっリクってのは村長の名前ね?フルネームはリク・ラカーって言うんだよ。


それで王様の話も分からんでも無いね。自国の優位性を失いかねない事態だ。でもそこまでやるか?なにかに本として残されたらもう手遅れだし、帝国も魔道国も似たような事他国にしてるでしょ?


「もしかして、その持ち帰った技術の中に・・・。」

「そうだ、どうやったか分からぬが秘匿技術が含まれていた。」

「もしかしてその技術を使って?」

「我が家の秘伝を模倣したみたいだね。」


あー、これ完全に帝国からの復讐ですわ。俺達の技術を盗みやがってっていう恨みですわ。


「しかし、そうなると村長の命が危ないのでは?」

「ここに居る者しかその情報は知らないのであろう?なら大丈夫ではないか?」

「あのぅ~。」

「どうしましたリダ殿?」


リダさんがおずおずと手を挙げる。


「ルド村には今結構旅人が居ます。旅人って独自の情報網を持ってまして。」

「うむ、聞いている。亜空(現実)での話だな?」

「はい、そこですでに村長の情報って結構出回ってます。村長酔っぱらうと昔語りが凄いので。」

「あのバカ者、まだ酒癖が治っておらなんだか・・・。」

「それで?何が言いたいのです?」

「リクさんがルド村に居るという情報はすでに流れてるんです。今回の戦争で旅人の一部が帝国に流れましたから・・・・。」

「っ!?まずい!!すぐに兵を」バンッ!!「報告します!!」


王様が立ち上がり、指示を出そうとしたところでさっき俺達を案内してくれた兵士が飛び込んで来た。


「緊急か?」

「緊急です!!国境警備より伝令!!帝国がゴーレム部隊を連れて国境を越え6番村に向かっております!!」

「到着予定はいつになる?」

「行軍速度から30日後との事です!!」

「まだ間に合うな。すぐに兵を集めよ!!ルド村の防衛に兵を向かわせる!!」

「はっ!!」


さすが王族って所かな?慌てた様子の兵士を見て一瞬で落ち着きを取り戻して、冷静に指示を出している。


ってそんな事をのんきに考えてる場合じゃない!!ルド村がまた危険に晒されてるぅ!?唯一の救いは時間がまだある事だけどすぐ戻って知らせないと!!


「諸君にお願いしたい。今一度かの村を守る為に力を貸して貰えまいか?」

「もちろん、ルド村の防衛には加わりますよ。」

「私たちのホームです。当然ですね。」

「僕も防衛に参加しますよ!!あっでもまずは修行したいです。」

「私も同じく。」

「ではお2人はこちらに残ってください。防衛戦の際には送らせて頂きますよ。」

「俺とリダさんも出来る事をやろうか。」

「村に戻って修業ですね!!やりますよ!!」

「こちらでも旅人に声を掛けさせる。構わんな?」

「はっ!!前回の二の舞にならぬようにします!!」


国から兵士も出るし、前回と違って旅人も手助けしてくれるだろう。これ今回楽勝じゃないかな?

( ゚Д゚)⊃🚩


チェインクエスト 国境を越えた軍を止めろ!! を受注しました。

戦争阻止率 20% 


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 


はいっ!と言う事で今章は終わりです!!いかがでしたか?いやぁ自分的には内容薄いようなそうでないような?なにか書き忘れたことが在るような無いような?


あとやっぱり戦闘描写は苦手です!!あと大人数動かすのも!!難しくて筆が全然進まんかった!!一度に3~4人動かすのが精一杯だよ!!何考えてレイド戦なんか書いたんだ俺!!馬鹿じゃねぇの!!


なお、今回の砦攻め。本当なら相手に完全に見つからない様にクリアする潜入任務なんですが。人探しクエストを受けていた為に人質救出がクリア条件に加わりました。そして!!なんとクエストが続いています!!


越境行為は即戦争なんて言われますが、まだ被害を受けているわけでは無いため止められます。ルド君達は果たして攻めて来た軍を止められるんでしょうか?


と言う事で、次章をお待ちください!!

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