第52話

「師匠~。」

「なんですかルド君?」

「物理耐性も覚えたんですけど、こっちは職業スキルになっているのは何でですか?」

「あぁそれね。実は秘伝とは言え同じ秘伝を持っている流派があると職業スキルと表されるんだよ。これは今ある流派の源流が同じであるからとされる説が濃厚で、物理耐性なんかは他の、例えば常勝無配流なんかでも教えているんだ。あっ今字間違ってると思ったでしょ?これ間違ってるんじゃなくてこれで正解なの。常に勝つ為に勝つ以外に気を配らないという意味だからね?だから防御の技を覚える代わりに物理耐性で死に難くしているって訳。」

「そこまで聞いてないっす。」


なるほど?HP増加なんかは守護双壁流だけに伝わってる技なのか。


《アラート ログイン時間が迫っています。1時間後に強制ログアウトを実地します。速やかなログアウトにご協力ください。》


「あっ!!師匠時間が来ました!!」

「スキルレベルは何処まで上がった?」

「HP増加はレベル30まで、物理耐性はレベル20までです。」

「うーむ、レベルが低いからなのかな?伸びが悪いねぇ。基礎値が低いからしょうがないのかな?次は6日後だっけ?」

「はい。」

「じゃあそれまでに修行の改善策を考えておこうかな。添い寝が出来ないのは残念だけど「本当に必要ないので勘弁してください。」まぁ弟子の嫌がる事はしたくないからね。でもこれだけは覚えておいて。君が居てくれたから私は生きる意味を見つけたんだ。とっても感謝してる。この感謝をどうにか君に伝えたいんだ。だから6日後に必ずまた会おう。」


ふぅ、何とか添い寝を回避したぜ。俺が師匠は女が良いと言ったら、次に会った時性別変わっていても驚かんぞ。それぐらいの事簡単に仕出かしそうなんだよなあの人・・・。


次の日


一仕事終わってログインでござ「ルド君待ってたよ。」どわぁぁぁぁぁっ!!


「しっ師匠!?なんでここに?」

「そろそろルド君が来るかなぁと思ってね。お迎えに来ました。」


えっ?何?ずっとここで待ってたの?こわっ!!それってストーカー・・・。


「いやいや、ずっと待っていた訳じゃなくて。そろそろ来そうだなぁと思って今しがた来た所だよ。」

「逆にこえぇよ!あんたエスパーか何かか!?」


シアも怖がって御神木の天辺に避難してるじゃないか!!


「さてと、それじゃあ行こうか?」

「あぁ修業ですね?」

「いや?弟子と仲を深める為に沐浴で裸の付き合いでもと思って。」

「絶っ対に行きません!!」

「それは残念。(´・ω・`)」


あんた俺の肌が見たいだけだろそれ!身の危険を感じるんだよ!!


「せっかく女性になってたのに、あとで見せてって言っても見せないよ?」

「なっちゃったのかよ!!ってかどうやって性別変えたの!?見せてなんて言いません!!」


よく見たら髪も長くなって胸元が膨らんでる!?元々美形だから顔だけじゃ気が付かなかった・・・。ってか昨日考えてた事が現実になってるよ!!いつの間に心を読まれた!!


「勿体ないけど修行に支障が出ちゃまずいから戻ろうかな。それっ。」

「うわぁ、そんな簡単に・・・。てかその魔道具で性別変えてたんですね・・・。」

「簡単じゃ無いんだよ?この魔道具も一回使い切りでとても高い物だからね。2つ用意するのに苦労したよ。」

「じゃあどうやって用意したんですか?」

「そこら辺の少し強めの魔物をちょちょいとね。品物はルバートさんにお願いしました。」


うん、多分それは師匠基準であって俺なんかが行ったら瞬殺される類の奴だね。後親父ぃぃ、厄介な物用意するんじゃないよ・・・・。襲われたらどうする!!((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル


「さてそれじゃあ早速修行に行こうか。」

「・・・・本当に修業ですよね?」

「ほんとほんと、師匠嘘つかない。ちゃんとした修業だよ。」

「・・・分かりました。シアー、ちょっと修業に行って来るなぁ。あっ実をちょっと貰える?」

(。´・ω・)ん? ‘’`ィ(´∀`∩ ( ^^) _◎


「サンキューな。それじゃあ行きましょうか。」

「そうだね。まぁ行先は自警団の訓練場だけどね。」

「了解。」


さてさて自警団の訓練場にやって来ました。おろ?なんでリダさんが居るの?


「リダさんちわーっす。」

「あっルドさんこんばんは。」


ゲーム内だと日中だけどリアルだと夜。うん挨拶が変わるのは仕方ないね。


「今日はどうしてここに?」

「シチートさんに頼まれたんです。私の修行にもなるからお爺さんが行って来なさいって。お婆さんが付いて来てくれてるんですよ?」


あっ本当だ、ミオカさんが自警団の人におはぎ配ってる。うまそう。


「ルドさんも食べます?おいしいですよ?」

「頂こうかな?」

「はいはい、食べるのは後ですよ後、まずは本日の修行の内容を説明します。今日は物理耐性とHP増加のスキルレベルに加えて、<精神耐性>を獲得して貰います。」

「「<精神耐性>?」」


そんなスキル聞いた事ないんですが?リダさんも聞いた事ないのか首を傾げている。


「<精神耐性>とは、リダさんやシンハさん達が使うMIND依存の攻撃に対する耐性です。攻撃に使う術は多く流派に残っていますが、防御の術はあまり残っていない貴重なスキルなんですよ?シンハさん達から是非リダさんにも教えて欲しいと言われたので一緒に鍛える事にします。」

「師匠!!質問!!」

「はいルドきゅん!!」

「きゅんは辞めてください!!耐性って事は攻撃を受けなきゃいけないと思うんですがどうやってリダさんに耐性を付けるんですか?」

「それはこうやってだね。」


ドウンッ!!


師匠が拳をつきだしたかと思えば、リダさんの弟子入り試験の時の様に衝撃が体に伝わって来た!!うわっしっかりとダメージ貰ってるよ。


「師匠!!それ俺も覚えたいです!!」

「以前にも説明したと思うけど、MIND依存の攻撃は格闘を主体とする流派でしか使えません。私は格闘家から盾使いに転職しているので覚えているだけです。ルド君は転職出来ますか?」

「・・・・出来ません。」

「ならあきらめるしかないね。ほらほらそんなに落ち込まないで、可愛くて抱き締めたくなっちゃうから。ほら頭なでなでしてあげるから、ねっ?なんならチューもするよ?」

「恥ずかしいんで辞めて貰えます?チューは絶対いりません。」

「お2人は・・・・その・・・とっても仲が良いんですね?」

「もちろん、運命の相手だからね。」

「言い方ぁ!!それだと誤解されちゃうでしょ!!違うからね!!師匠の技を全部覚えられるのが双盾使いってだけだからね?そう言う意味じゃないからね!!」

「ルドきゅんの為に女性になるのもやぶさかじゃないんだけどねぇ。さっき一度女性になったんだよ?」

「師匠っ!!話がややこしくなるからそう言う事言わなくて良いんです!!それにあれは師匠が勝手にやった事でしょう!!」

「せっかく大金出して女性になったのにルドきゅんったら全然喜んでくれなかったんだよ。やっぱり男の方が好きなのかな?」

「もうあんた黙ってろ!!喜ばなかったのは事実だけどそれは師匠が男だからでしょうが!!俺に男色の趣味はねぇ!!」

「大丈夫ですよルドさん、私は解ってますよ。」


いやリダさんや、そのそんなあなたでも受け入れますよって目は絶対に分かってないやつだから。本当に違うんだからね!!


「ほらっ!!修行する時間が無くなりますよ!!」

「そうだね。じゃあルド君はこの前と同じようにその実を食べながら攻撃を受けてください。リダさんはルド君に攻撃した後、私からの攻撃を受けて貰います。準備は良いね?」

「「はーい!!」」


ったくいつもそうやって真面目にしてくれよ・・・。


「そこ、攻撃するときは鋭く、攻撃後にはすぐ手を引く事を覚えなさい。引きを意識すれば次の行動に早く移れます。」

「もっと足を開いて腰を落とす!!そうです!!そのまま薙ぎ払う様に剣を振って!そうです!!その調子です!!」

「今の攻撃は良かったですよ。ただもう少し溜めを作れば威力は上がります。次の順番に試してみると良いでしょう。」

「そこっ!!ふざけて剣を振るとは何事ですか!!そんなことをしていたら味方も己自身も傷付けますよ!!真面目にやらないのであれば帰りなさい!!」


うーん、指導中の師匠ってやっぱりカッコいいんだよなぁ。俺に攻撃している自警団にちゃんと改善点を伝えてる。それもリダさんに攻撃してなおかつ俺のHPを気にしながらだよ?本当に視野が広い。


ピロン♪ <精神耐性>を獲得しました。

<精神耐性Lv1>:職業スキル MIND依存による攻撃のダメージを減らす。

(MIND×10の値をダメージから引く MIND攻撃-1000)


おっとれたか。


「師匠、精神耐性取れましたよー。」

「さすが私のルドきゅん!!頑張ったご褒美にチューしてあげます。」

「いりません!!」

「女性になってからですよ?」

「それでもいりません!!」


男だし、愛情表現が重いし、うれしくとも何ともねぇ!!


「あんまりルドを揶揄ってやるなよ。それにその魔道具ポンポン使ってたらカマーンにぶっ飛ばされるぞ。」

「あっ親父。」

「ルバートさん、大丈夫ですよ。カマーンさんには1つ進呈してますから。」


その日、ギルドに絶世の美女が現れたと話題になっていたが、すぐにシチートに連れ去られたので知らないルドだった。同じ理由でリダも知らない。


「ったくあいつは・・・。それで戦えなくなっても知らねぇぞ。」

「体と心がマッチしたから以前より戦いやすいそうですよ?これで思い人にアタックできるとか喜んでました。」

「そんなもんかねぇ。まっあいつの問題だからこれ以上は詮索せんよ。それより修行の方はどうだ?こいつはちゃんと出来てるか?」


俺の事を指さしながら聞く親父、なんかこう・・・こそばゆいな。昔受けた3者面談を今になって受けている気分。


「えぇ、ルドきゅんはとても覚えが早いです。レベルが挙げられていないので熟練度を取得するのは遅いですが、それでも頑張ってくれていますよ。」

「そうか、ならいい。お前もしっかり学べよ。」

「あったりまえだろ!!攻撃力が無くても守りが固ければ何とかなるからな。シチートさんのスキル全部覚えてやるよ!!」

「だそうだ。これからもよろしく頼む。」

「はいっ、公私ともに未来永劫よろしくしたいと思いますお義父さん。」

「ぶっ飛ばすぞ、まっ師匠としてしっかり教えてやってくれや。“師匠として”な。」


しっかりと釘を刺してくれる親父さすがっす。俺親父の息子で良かった・・・。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 


補足書こうとして忘れてた。師匠の心の移り変わり


旅人が弟子に出来るやった!!→裏切られた・・・もうどうなったっていい・・・→居た!!弟子に出来る人が!!嬉しい!!→やばくね?家の弟子天才じゃね?→いやめっちゃいい子、不遇なのに努力も出来る子なんて見た事ない→覚えもいいし優しいし、こんな子と跡継ぎが作れたら・・・そうだ自分が女になればいいや。


こんな感じ、はい。ぶっ飛んでますw まぁあれです。長年貯めてた弟子愛が暴走してると思ってください。師弟愛が愛まで突き抜けちゃったんです。裏でこっそりカマーンさんと仲良くなってたりしますw

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