第232話

長らくお待たせしました。

まさか2ヶ月に渡って激務が続くとは……

今月から更新再開します。





「な、なんでエイミーさんがこんな所に!?」


学園長室へと案内されたラグナは思わず声をあげてしまった。


まさか学園長室にエイミーがいるなんて誰が想像出来ただろうか?


「あら?エイミーをご存じなのですか?私はエイミーの双子の姉のエミリーです。お会い出来て光栄ですわ。」


「ふ、双子でしたか……申し訳ありません。」


まさかエイミーが双子だとは思ってもいなかった。


むしろ双子でオネエサマだとは……


「いえいえ、気にしてませんわ~。小さい頃からよく間違われましたから~。改めまして、本日はマリオン商業学園へようこそ。お話を聞いた時は本当に驚きましたわ……まずはどうぞおかけください。お飲み物は紅茶でよろしいかしら?」


「は、はい。ありがとうございます。」


「あの子にお客様のお茶の準備をさせて。貴方は下がっていいわ。」


「はっ!」


案内してくれた職員と一緒に「では我らも。」と神殿騎士の2人も部屋から退出していった。


別室で待機しておりますとのこと。


急に学園長と2人きりになり、若干ソワソワしているラグナをエミリーは観察していた。


『本当に噂通りのイケショタだわ~。それに……物凄い魔力だこと。流石よね。これがマリオン様の使徒と噂される御方か……』


エミリーはマリオン様の使徒と噂されていた人物が目の前にまさか現れるとは思ってもいなかった。


それもそのはず。


マリオン様の使徒と噂されていた少年はヒノハバラで処刑されたと守護の女神の神殿から発表されていたからだ。


「それにしてもよくぞご無事で……あの方から突然連絡が来たというだけでも本当に驚きでしたのに。まさか貴方様が無事に生きておられて、しかもこの国にいると。更にと学園に在籍している『とある娘』に用があるらしいから準備よろしく~って言われた時は何の冗談かと思いましたわ。」


ラグナは「ははは。ご迷惑をお掛けしました。」と苦笑いするしかなかった。


『リオさんは連絡しといたから~って言ってたけど直接連絡したのかよ!てっきり神殿の誰かを動かして連絡したのかと思ってたのに。』


賢者と呼ばれていた、いわば伝説のような人物のフットワークの軽さに驚くばかり。


むしろこれだけ動き回っているのにも関わらず、国内外に未だに生ける伝説として存在していることが広まっていない事が信じられないほど。


本当に信頼できるごく一部の人間だけが知る真実なんだろう。


「迷惑なんてとんでもない。むしろ光栄ですわ。それで私はなんとお呼びすればいいのかしら?使徒様でよろしいかしら?」


ラグナは自己紹介するのを忘れていた事に気がつくとすぐに謝罪した。


「自己紹介が遅れてしまい申し訳ありません。ラグナと呼んでくれると助かります。出来ればその使徒様ってのはちょっと……」


「確かにこの国で使徒様ってバレると大変ですものね。判りましたわ。皆の前ではラグナ様と呼ばせて頂きますわ。」


「普通にラグナと呼び捨てにしてもらって構いませんよ?」


ラグナがエミリーにそう提案するが、頑なに拒否されてしまった。


「流石にそんな事は出来ませんわぁ。正直に言いますと冷静に見えているかも知れませんが、ずっと心臓が緊張でドキドキしてますのよ?」


そう言いながらエイミーさんと同様に破壊力を持つウインクをバチコンと放ってきた。


「僕なんてそこら辺にいる子供と変わりませんよ。ただちょっとだけ特殊な方々と縁があって知り合っただけですから。」


ラグナがさも当たり前の用にエミリーにそう言うが、エミリーは驚くばかり。


『この歳で自分の力に驕ること無く振る舞うことが出来るなんてね。やろうと思えばいくらでも権力を持つことが可能でしょうに。学園の生徒達にも見習って欲しいわね。』


「普通はその特殊な方々と出会う事すらありませんのよ?それよりも一つ聞いても宜しいかしら?」


なんだろう?と思いながらも構いませんと答えるラグナ。


「あの御方からは、ラグナ様が学園に在籍している『とある娘』に会いたいらしいからよろしくとしか伺ってないのですが、あの娘とはどういう関係か聞いても……?」


ラグナがその問いに答えようとする直前。


コンコンと扉がノックされた。


エミリーがノックに対して返事をすると、


「お茶をお持ちしました。」


と学園長室にある扉から声が聞こえた。


『ん?なんか懐かしい声が聞こえたような……』


ラグナがそう感じている中、エミリーは入って良いわよと入室の許可を出していた。


「失礼します。」


学園長室の扉が開き現れたのはどこぞの国のお姫様とでも言われたら納得してしまいそうな程の美貌を持つ少女。


思わずラグナが見惚れてしまうほどの美少女がお茶を運んできてくれたのだった。




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