第228話

作者から皆様へ……

更新遅くなりました……

ただ一言以上叫びたい。

ねぇ、私のお盆休みは?

ねぇ、お盆休みって仕事休みだったはずだよね?

ねぇ、なんで急に出勤になって休み無しで働いてるの?

ねぇ、焼きマシュマロ計画はどうしたらいいの?

以上、作者からの魂の叫びでした……





「お、おい。ま、まさか……」


ケーヴィンの目の前でヨハム公爵の屋敷からかっぱらってきた机を収納スキルから取り出したラグナ。


『そ~なんだよ!聞いて驚くがいい!なんと初代勇者である日野っちと同じスキルをラグナ君も保有してるんだよ!』


「で、では君はマリオン様の使徒であり、勇者でもあられると……」


ケーヴィンは初代勇者ヒノと同じ収納スキルを持つラグナを勇者の再来なのかと勘違いするが、すぐに賢者リオが否定する。


『確かに日野っちと同じ収納スキルを持ってるけどさぁ。この子は勇者じゃないんだなぁ~。マリオン様にも確認済みだよ!それに使徒って言っても日野っちの時の様になんでもかんでも加護を渡したって訳じゃないみたい。マリオン様がいうには、ラグナ君には自由に生きて欲しいと言ってたんだぁ。』


いつ確認したのかは判らないが、賢者リオはマリオン様にラグナが勇者なのかどうか確認を取っていたらしい。


「そ、そうでしたか……」


勇者では無いと聞いて少し安心するケーヴィン。


それもそのはず。


勇者が誕生する=この世界に危機が迫っているという意味だからだ。


「と、とりあえずこの机がヨハム公爵の私室らしき部屋から奪ってきた机になります。中身などは一切触れていません。」


ラグナは微妙な部屋の空気を変えようとケーヴィンに話し掛けることに。


ケーヴィンは油断しきったまま、ラグナが取り出した机に手を伸ばしてしまった。


『ストーップ!!動くんじゃないさぁぁぁ!!』


ケーヴィンの身体が金縛りのように魔法によって動きを止められた。


解析アナライズ


ただ一言、賢者リオが詠唱するとまるでプリンターでスキャンされているように上から下に向かって光が進んでいく。


『やっぱりねぇ。こういう机にはトラップが付き物なのさぁ!』


書き換えクラッキング


賢者リオはラグナが聞いたことが無い魔法を発動させると、トラップを解除するのだった。


「も、申し訳ありません。」


『全く~。ケー坊は昔っから変わらないんだからぁ。動揺したまま行動するなって普段から口酸っぱく言ってるでしょ~?常に落ち着いて行動だよぉ!』


ケーヴィンはリオの声がする方向にペコペコと謝罪していた。


その姿を見ているとラグナはクスッと笑ってしまいそうになる。


『全商業ギルドの代表っていう凄い立場の人なのに、リオさんからしたらまだまだ子供扱いなんだな。』


『本当に気をつけなさいよ~。それよりもペコペコしてないで机の中でも見てみたら?悪いんだけどラグナ君開けてくれる?』


なんで俺?って思いながらもリオさんの言う通りに引き出しを開いていく。


『何が出るかなぁ~?ワクワク!』


賢者リオはワクワクを押さえ切れていない様子。


公爵と呼ばれる人物の机の中は何が入っているのだろうかと騒いでいた。


『お~!指輪やネックレスとか宝飾品がまぁまぁ入ってるねぇ。これだけで幾らするのかなぁ?』


上段の引き出しからは指輪やネックレスなどがゴロゴロと、どんだけ無理矢理引き出しの中に入っていたのか判らないくらい出てきていた。


ラグナは市民の皆が困るような事にはならないようにと、部屋に展示されていた宝飾品には一切手を付けなかったのにも関わらず……


結果的に宝飾品なども一緒に盗み出してしまっていたらしい。


この結果にラグナは少しばかり罪悪感が生まれていた。


住人達が更に重税によって苦しめられてしまったらどうしようかと。


ラグナの気持ちを知る由もないケーヴィンは、ラグナが次々と開けていく引き出しの中を次々と物色していた。


中段からは書類やなんやら。


そして下段にある一番大きい引き出しの中には……


厳重に封がされている箱が入っていた。


「すまないな、ラグナ君。君にばかりこんなにも引き出しを開けさせて。疲れただろう?」


ケーヴィンはラグナが疲れているように見えたので声を掛けた。


「疲れたというよりかは、ちょっと罪悪感といいますか、なんといいますか……」


「えっ……?魔力的には疲れたりしていないのか?」


どうやらケーヴィンが心配したのは肉体的な疲労であり、まさか精神的な疲労という答えが来るとは思ってもいなかった。


『ケーヴィンや。ラグナ君はどうやら本気で気がついておらぬようじゃぞ?』


おかしな空気になりラグナが疑問に思う。


「気がついていない?なんか僕やらかしました?」


『その様子だと魔力量的には日野っちに近い魔力を保有してるのかもしれないねぇ。ねぇ、ラグナ君。なんで私がわざわざ君に引き出しを開けさせていたか判るかい?』


「そういえば……なんでわざわざ僕が……?」


『この机は収納スキルに似た性質を持つ机の魔導具だったんだよね~。って言っても大体元の収納量の1.5倍~2倍位の性能しか無いみたいだけどさぁ。この引き出しを開くにはそれ相応の魔力を保有している魔石か魔力が必要みたいだねぇ。君には気がつかない程度の必要魔力みたいだけど、一般人が無理矢理扉を開こうものなら魔力が吸い尽くされて倒れて終わってるくらいだよぉ。』


魔力が吸われていることには全く気がついていなかったラグナ。


ちょっと引き出しを開ける際に引っかかりを感じるから、見た目に反して精度が悪い引き出しなんだろうとでも思っていたくらいだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る