第62話
最初の部屋は洋室。
この世界の宿と大差ない部屋の作りに見える。
部屋の中にイスとテーブル。
調度品は一流と思われる高そうな品ばかり。
そして隣の部屋へ。
部屋に入るとダブルベッドが設置されているがそれよりも気になる物が。
ベッドが設置されている部屋の奥にはガラス張りの壁とガラスの扉。
この世界にきてここまで大きく綺麗なガラスは初めて見たかもしれない。
うちで使っているのはそもそもスライムが原料のガラスモドキだし。
「ガラスが壊れそうで扉を開けるのが怖いな。」
ハルヒィさんの心境はもっとも。
こんな大きなガラス。
壊したら弁償で人生が終わるんじゃないか。
そう考えていると答えが。
「私共の宿で使用しているガラスは全て強化魔法の付与がされています。そのため多少の衝撃ならば破損することはありませんのでご安心下さい。」
それならば一安心。
まぁその多少の衝撃ってのがどの程度なのかは気になる所だけど。
この部屋のお風呂は陶器?のような湯船になっており、浸かりながらガラス越しに外の景色を楽しめるようになっている。
「これは、これはなんとも……」
村長さんも驚いているみたい。
そして2つ目の部屋へ。
2つ目の部屋を開けると1つ目同じ間取りの部屋だったので3つ目の部屋へ。
3つ目の部屋からはまさに異世界。
俺にとっては懐かしの光景。
まず部屋の入り口にて靴を脱ぐようになっている。
そして脱いだ先にある部屋は和室。
い草?のような草で編み込まれた畳敷き。
い草なのかはわからないけどとてもいい匂い。
部屋には布団が準備されている。
隣の部屋に行くとローテーブルと部屋の奥には上半分が透明なガラス。下半分が曇りガラスになっている壁と同じ柄のガラス扉。
ゆっくりと扉をあけると目の前には露天の石風呂。
「凄い……」
「これは……」
「素晴らしい……」
みんな思わず声が出てしまっていた。
しかし本当にこれは凄い。
前世の時に雑誌でしか見たことがない景色が目の前に広がっていた。
呆然としたまま4つ目の部屋へ。
コンセプトは3つ目と同じ様だけどこっちはお風呂が木で組まれている。
「木のいい香りがするな。」
ヒノキとは違うけどいい香りが広がっていた。
そして最後の部屋。
部屋の入り口で靴を脱ぐ。
そして目の前に広がる部屋は洋室。
部屋にはテーブルとイス。
そして隣の部屋へ繋がる扉が無い。
「隣の部屋はこちらになります。」
隣の部屋との間切りは
襖をあけると隣の部屋は和室。
そしてガラス越しには露天風呂。
この部屋のお風呂は木で出来ている湯船だった。
洋室+和室の部屋なので和洋室って感じだろう。
「本当に儂等が泊まってもよろしいので?」
村長さんの意見は当然だと思う。
「はい、本日は当宿にてごゆっくりおくつろぎ下さい。」
「ならばお言葉に甘えるとしようかのぅ。」
「それではお部屋の割り振りなどはお決まりでしょうか?」
村長さんは悩む素振りをする。
すると父さんから一言。
「老い先短いんだ。じぃさんが好きな部屋から決めればいいんじゃないか?」
ハルヒィさんもそれに賛同。
「俺は一番最後で良いわ。どの部屋も最初で最後だろうからね。」
「年寄り扱いしよって。まぁお前たちがそこまで言うのならばこちらの部屋にしようと思う。」
そうして選んだのが和洋室の部屋。
「それじゃあ俺達はこの部屋でいいか?」
父さんが選んだ部屋は洋室。
「いやいや、どうせならこの部屋にしようよ。」
俺の選んだ部屋は和室。
「父さんはこっちの部屋の方が落ち着くんだが。」
「僕はこっちの方がなんだが落ち着くよ。」
一進一退の攻防。
すると支配人から意外な一言が。
「では、もしよろしければこちらの部屋はグイド様、それでこちらの部屋はラグナ様で別れてはいかがでしょうか?」
その提案に揺らぐグイド。
「いや、しかしまだ子供1人は……」
「ご安心ください。ご不安でしたらラグナ様のお部屋に1人うちの店の者をお手伝いに派遣いたします。」
流石に知らない人と2人っきりは勘弁してほしいラグナは少し抵抗する事にした。
「僕は来年にはうまく行けば学園に入学します。そうしたら必然的に寮で1人暮らしになるでしょう。今日はその為の練習の意味でも、1人で部屋に泊まると言うのは駄目ですか?」
確かに学園に入学した場合はラグナは1人暮らしをする事になる。
どこかで事前に練習するタイミングなんて確かに無いだろう。
しかも宿ならば安全。
「わかった。ラグナが大丈夫だと言うのならばそれでいい。ただし絶対に迷惑を掛けるなよ?」
「はい!」
ラグナは元気良く返事をする。
「それじゃあ俺はこの部屋で。」
ハルヒィさんが選んだ部屋も父さんと同じく洋室の部屋。
どうやら和室は異世界過ぎて庶民には抵抗があるみたいだ。
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