第18話
その後、広場に集まっていた村人達は解散しそれぞれの自宅や仕事に戻っていった。
翔弥を抱えた夫婦も村長に付き添われて、自分達の家に帰宅した。
「まさかな出来事はあったが……その子は主等に会うために現れたんだな。今は気圧されているかもしれんが……その子の両親になることをあの御方に認められたんじゃ。頑張って育てて行くのだぞ。わしら村の連中もお主等の手伝いはするからな。これから頑張って行こう。」
そう言うと村長は自分の家へと戻って行った。
ねぇ創造神様。
確かに俺はどうにかしてと叫んでしまったよ?
でもね、まさかこんな事になるなんて思って無かったよ。
創造神様がまさかの降臨。
そして村の人達にお願いをして威厳たっぷりに戻られた。
創造神、お願いってことは普通の人からしたら神託ですからね?!
御指名ありがとうございます!なんてこの夫婦には無理ですよ?
見たり聞いたりした限り、夫婦はどうやらプレッシャーで押しつぶされそうです。
顔色はどうやら真っ青。
2人には謝ってばかりだけど……なんか本当にごめんなさい。
「だぁだぃ、いーだぁぁぶ。」
俺の声に反応して恐る恐る2人の顔がこっちに向いたみたい。
ミーナが赤子を見つめた後、優しく微笑みそっと抱きしめた。
「ねぇ、あなた。神様にこの子を育てるようにと神託があったけど……その前に私達はこの子を育てるって決めたはずよね?」
その言葉に頷くグイド。
「あぁ、確かに。昨日この子を引き取ろうと決めたな……」
「ならいいじゃない。もう悩むのは止めましょう?私達は昨日この子の両親になるって決めていたんだから。」
ミーナからのその言葉を聞いて、グイドの眼と表情に力が籠もった。
「そうだな。神様に言われたから育てるんじゃない。この子を育てるって覚悟したんだからこの子は昨日から俺達の子供だったんだよ。」
ミーナとグイドはお互いに見つめ合い、そして笑い合った。
この2人を見て翔哉は改めて思った。
やっぱりこの人達に拾われて良かったと。
前世の父親と母親にはきちんと親孝行することも出来なかった。
しかも親より先に亡くなるなんて親不孝をしてしまった。
その代わりって訳じゃ決してないけど。
この2人にはきちんと恩返しをしていこうと改めて決意することが出来た。
「そう言えば、みんなの前でこの子の名前を発表する予定だったけど結局出来なかったな。」
名前かぁ。そうだよな。翔弥って名前は前世の名前だしな。
「それじゃあこの子に教えてあげないとね?パパの初仕事ですよ。」
「初仕事か。この子には一生に一度しかない責任重大な仕事だな。」
どんな名前になるんだろ?変な名前で無いことを祈っておこう。
「お前の名はラグナ。これからよろしく頼むよ。」
「改めて私の名前はミーナ。この人の名前はグイド。よろしくお願いしますね?私達の可愛い赤ちゃん。」
俺の名前はラグナになりました。
思っていたよりもカッコイい名前だったなぁ。
そして俺はこの両親に育てられることになった。
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