第28話 雨学年

 やたらと雨で行事が潰れる学年がある。長女の学年がそうだった。運動会のような他の晴れ学年が一緒の行事は大丈夫なのだが、学年行事は本当に雨が多かった。

 小学5年の時、林間学校に行った日に台風が接近して登山は中止になり、室内でのカレースプーン作りに変更になった。キャンプファイヤーも中止。翌日の飯盒炊飯も調理室での調理実習のようなものに変更になり、自分で作ったカレースプーンで食べて美味しかったという無理くりの思い出に替えられた。

 6年の時の修学旅行の写真はかっぱか傘の写真ばかりで、街中でのマーチングの発表では、土日の午前午後の4回に分けられたが長女の出番の時間帯だけ雨で中止になった。

 中学の修学旅行も雨の京都、高校の修学旅行も雨の沖縄。ここまで来ると、学年どうこうより、長女が強烈な雨女なんじゃないかと思えてきて、長女が楽しみにすると雨が降るような気がしてきた。

 実際、すごく楽しみにしていた家族で行った北海道は雨に降られた。持久走大会などの嫌な行事は雨に降られない。コロナに潰された大学時代も、帰省の時はいつも雨雲とともに帰って来た。入社式の日は、春には珍しい台風が直撃した。

「楽しみって思わないでね」楽しい予定がある時は、長女に懇願をするようになった。

 同僚の子の学年も雨学年らしい。昨日の入学式も春の嵐に見舞われていた。雨の花吹雪も、大人になった時きっと鮮明に思い出して笑い話に花が咲くだろう。雨の門出に乾杯。

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