第21話 気の利く子ども

 職場に、自分で野菜も育てているとても料理上手な人がいて、自家製のペーストや調味料などを作って分けて下さる。社会人2年目の私の長女が激辛好きで、タバスコや七味を馬鹿みたいにかけるという話をしたら、すぐに和風、韓国風、甘辛と、3種類の辛子味噌を作ってくれた。かなりの辛さなのに、長女は「おいし~!お酒が進んじゃう!」と野菜につけたりスープに混ぜたりして堪能していた。

 ちょうどその後、旅行に行った長女がおみやげに買ってきた小さなお菓子を「長女から、この間のお礼に」と、辛子味噌をくれたKさんに渡した。

 Kさんがそれを持って帰り、娘さんに「職場の人の子どもが激辛好きだって聞いたから辛子味噌をあげたら、旅行に行った時、お礼にっておみやげ買ってきてくれたんだって」と話したら、まず「あの辛子味噌食べて大丈夫だったの?子どもなのに⁈」と心配してから「え、親の職場の人にお礼におみやげ買って来たの⁈子どもなのに⁈」と驚いたらしい。

 Kさんの娘さんは、子ども=小学生くらい、小学生の旅行=修学旅行、と思い込み、あの辛子味噌を食べて平気な上、修学旅行で親の職場の人におみやげを買うなんて、そんな気の利く子どもがいるのかと愕然としたらしい。私が、何かおみやげ買ってきて、と口添えしたことも白状し、しばらく職場で「子どもなのに⁈」が流行った。

 子どもと言っても、実は20代のいい大人だった私の長女。まさかの思い込みの勘違いに爆笑した。

 

 

 

 

 

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