第20話 死ぬまでにやりたい50のこと
先月、誕生日を迎えた長女から「この一年間でやりたい25のこと」というメモが送られてきた。
「××キロまで痩せる」「〇〇屋のラーメンを食べに行く」「△△円貯金する」というような取るに足らない簡単な目標がつらつらと書かれていた。低めの目標を立てて、達成する数を増やすのはいいことだと思った。
更年期を迎えてからもう何年も、とにかくやる気が出ない興味が湧かない、で楽しみを見つけられないでいたので、長女の真似をして、やりたいことを書き出してみることにした。若い長女と違い、一年間というスパンでは何も達成できる気がしなかったので、死ぬまでにやりたいことを書き出すことにした。死ぬまでだから、50個くらいはあるだろうと紙に向かった。
・書くことを続けて、いつか何か形にしたい。
・日本全国1道1都2府43県、全部に旅行したい。
・断捨離を終える。
・きちんと終活する。
…まさかの、手が止まった。私は、そんなにやりたいことがないのか。さすがに愕然とした。そして必死に考えるうちに、小狡い自分が出てきた。
(47都道府県をばらせばいいんじゃないか?)
・北海道でジンギスカンを食べる。
・静岡の深海魚水族館に行く。
・富山でお寿司を食べる。
・広島で本場のお好み焼きを食べる。
…捻りに捻り出して、旅行雑誌の見出しだ。
死ぬまでの目標なんて50個もなくていい、何かに熱くなれるものを一つでも見つけて、達成感を味わいたいと思わされた秋の夜長だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます