第94話

【アルナ視点】


 危なく死にかける所だったわ。

 でも死ななかった。

 私は選ばれている。


 私はひとまずダンジョンの外を目指す。

 その前に、


「ねえ!出て来なさあい!私を見張っているのは分かっているのよ!」


 気配が離れていく。

 逃げる気ね。

 でも遅いのよ!


 私はハンマーを構えて追った。


「ねえ!どんな気分!ねえ!今から殺されるのはどんな気分!はあ!はあ!その必死な顔、いいわねえ!」


「化け物があああ!」


 教会騎士団の精鋭が両手剣を構えた。

 構えた両手剣ごとハンマーで潰す。


 まだ死なない。

 何度もハンマーで潰す。


 後3人!


「アタックゴーレム!ガードゴーレム!」


 左の外太ももに手を当てると2つの紋章が輝き、2体のゴーレムが現れる。

 2体のゴーレムが教会騎士団を追う。


 そして更に右の外太ももに手を当てる。


「上級紋章銃!」


 銃が出現し、素早く教会騎士団の足を狙う。


 バン!パン!パン!パン!パン!パン!


 銃とゴーレムで教会騎士団の見張りを笑顔のまま皆殺しにした。




「気分がいいわあ。あの怯えた顔、最高だったわ。外に出るのは、クールタイムが回復してからね」




 アルナがダンジョンの外に出ると、13名の教会騎士団に囲まれた。


「あらあら、どうしたのかしら?」

「アルナ、貴様には魔物の手先である疑いがかかっている。取り調べを受けてもらう」

「ふ~ん、ねえ、どうして団長クラスがいないのかしら?」


「それは今関係ない!」

「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!」


「何がおかしい!」

「なんでおかしいって聞く?聞いちゃうのお?そう、馬鹿なのねえ。殺しなさい!」


 ダンジョン入り口付近にいた女性が教会騎士団に襲い掛かった。


「アタックゴーレム!ガードゴーレム!殺しなさあい!」


 更にアルナは紋章銃で教会騎士団を殺していく。


 教会騎士団を殺し尽くすと、アルナは声を上げた。


「アルナ騎士団!準備は出来てるわよねえ!」


「「万全です!」」


「そう、暗殺ギルドへの教会襲撃依頼は?」

「襲撃開始ののろしは上がっています!」


「盗賊ギルドへの依頼は?」

「先ほど襲撃を確認しました!」


「私達も動くわあ!」


 アルナ騎士団は教会の施設に向かった。




【セイコウコウボウ視点】


 教会本部は教会施設を同時攻撃された事で混乱していた。

 老人共が怒鳴り合っている。


「ワシの教会が暗殺ギルドに襲われとる!はよ潰さんか!」

「何を言っている!こっちは貴重品の金庫が狙われているのだ!こっちが優先だ!」


「ねえ、陽動だってわかんないかなあ?」


「セイコウコウボウ!ぼさっとしとらんではよ動かんか!」

「だから陽動だって」


「いーや!ワシの所の貴重品を守るのだ!」

「だから陽動だって言ってんだろ!」


 ん?待てよ、うるさいじじい共が死んでもいいか。

 僕はじじいの命令通りに動いただけ。


 ここが襲撃されてもじじいの責任だ。

 

「分かったよ!命令通りすぐに2つとも片付けるよ。命令通り出撃するよ~」


「ワシの方を先に処理せんか!」

「ワシだ!」


 僕は無視して教会本部を出た。


 この2つの襲撃はアルナの差し金だ。


 アルナ、殺さなくて良かった。

 今はちょうど他の団長も出かけている。


 アルナの目的は封印されているダミーファックとエクスファックの封印解除だ。


 どっちも僕が倒してやるって何度も言ったのに無視するから。


 陽動だって何度言っても聞かないから。


 だからじじいは死ぬんだ。


 その後、教会と教会騎士団は混乱状態に陥り、暴れ回るダミーファックとエクスファックの処理と、混乱の隙に盗みを働く盗賊の処理に追われ、アルナへの警戒は解除された。





【アルナ視点】


「ねえ!見て!教会本部が壊されてるわあ!上が無能だと脆いわねえ!さあ、今の内にファルナを潰して王になりましょう」


 王になれば私に権力が集まる。

 そして更に権力を集めて、教会騎士団を潰す。

 有能な者は奴隷にして私の部下にしてもいい。


「アルナ様!ファルナ騎士団の居場所は、ショップ地帯とうさぎ亭に分散しています。ショップ地帯には転移者がいません!」

「ショップはここから近いわねえ。ふふふふふ、私が転移者の代償まで動かないと思っているんでしょうね。だからファルナはダメなのよ。油断したタイミングで奇襲するのが一番狙い目なのに、そんな事も分からないから王になれないのよお」


 そう言ってアルナはショップに向かって歩き出した。




「まあ、みんな楽しそうねえ。隙だらけだわあ。ふふふふ、あの子にしましょう。あの子を捕えて壊すわあ。最近やって無かったのよねえ。総員!突撃よお!」


 アルナ騎士団が突撃を開始した。





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