第24話
他国で勇者がでたということはイスカは勇者じゃないのか。…まあ主人公=勇者とは限らないか。
正直ちょっと安心した、イスカが勇者に選ばれて国の為、世界の為に戦えとか言われたら俺が国と戦わなきゃならなかったからな。
こういう時はゲーム知識があればうまく立ち回れるのかね?
…今日の夜ご飯何かな(2回目)
家に着き扉を開けて中に入るとニナとステラが飛びついてきた。
「おとーしゃんおかえり!」
「パパおかえり」
「ただいま。良い子にしてたか?」
これだけで一日分の疲れも吹き飛ぶというもの。
「おかえりなさいグレイさん、荷物持ちますね。…今日は二人がグレイさんに見せたいものがあるんですよ。ね、ニナ、ステラちゃん?」
そう言って二人を見るアリアメル。ニナとステラはもじもじした後一度リビングまで走っていき、手に何か持って戻ってきた。
「あのねおとーしゃん……えとね、これ」
「パパ、はいこれ」
そう言って二人が差し出してきたのは俺の似顔絵だった。線はぐちゃぐちゃ、何度も無理矢理修正しようとして最早何を描いてるか分からない。下の方にはアリアメルに教えてもらったのだろう、崩れた文字で”おとうさん”と”ぱぱ”と書かれている。
………………………………え。
なんだこれは? 天使からのプレゼントか?
取り敢えず耐水、耐火、耐衝撃の防護魔法の掛かっている額縁買ってくるか。
「…グ、グレイさん大丈夫ですか…?」
「あ? な、な、何いい言ってんだ。ぜぜぜ…全然大丈夫にきき…決まってるだろ。俺、俺はB…B級冒険者だぞ、余裕だ(意味不明)」
ここ…こんなことで俺をど…動揺させようだなんて甘い…んだよ。
「おとーしゃん…?」
「パパ…嬉しくない?」
不安そうな顔の二人。
あわあわわわ…どどどうしようどうすれば?!
「い…いや、凄く……嬉しい。ありがとう」
思わず二人を抱き締める。
何とか…何とか泣かずに済んだ…。
しかしこの後、ラッツが遅れて猫と犬と俺の描かれた絵を恥ずかしそうに出してきて結局駄目だった。
ニナ、ステラ、ラッツの三人が抱き返してくれる。
「グレイさん…これどうぞ」
イスカがハンカチを持ってきてくれて助かった…。何とか持ち直したタイミングでフィオとアリアメルが呼びにくる。
「ご飯出来てますよ、皆で食べましょう?」
「皆手を洗っておいで、グレイさんもほら!」
この子達に穏やかで幸せな人生を…いや、俺が子達を幸せにする。絶対にだ。
素敵なお父さんになろう。
俺は改めてそう誓った。
皆での夕食中にふとエミリア達にされた勇者の話を思いだした。原作で主人公であるイスカと勇者には何か関わりあいがあったのだろうか?
「…? どうしました、おれの顔に何かついてます?」
「いや…なんでもない」
いかんな、自分でも気づかない内にイスカの方を見ていたか。
――――――――――
(第三者視点)
燃え盛る聖堂の中に二人の人間が居た。
一人は黒髪の青年。憎しみと絶望と復讐に染まった瞳。その手には赤く染まった剣が握られている。
もう一人は金髪の青年。その瞳はただひたすらに空虚で何も写してはいなかった。
胸から血を流し倒れる金髪の青年を黒髪の青年が見下ろしている。
「…質問がある」
黒髪の青年が口を開く。
「四年前に◯◯◯◯……◯◯◯◯◯という少女を殺したのはお前か?」
その言葉に金髪の青年の瞳が僅かに揺れる。
「……何故、そのようなこ「いいから答えろ」」
金髪の青年の言葉を黒髪の青年が遮る。
「……てない……」
「……」
「僕は……殺してない」
「そうか」
その言葉を聞くと黒髪の青年は剣に付着した血を払うと鞘に納め、倒れている金髪の青年に背を向けて歩き始める。
残された金髪の青年は崩れてくる天井を見詰めながら、先程質問された四年前のことを思いだしていた。
聖女として紹介された、ボロボロの服を着てガリガリに痩せた少女。髪は所々に抜け、顔も体も痣だらけで…さっきの青年のような黒く濁った瞳をしていた。
何か不愉快なことを話しながらヘラヘラと愛想笑いをする貴族や神官。
突然少女が叫ぶ
「あはははははは! あははははははははははははははははははは! 死ね! 皆死ね! 呪われろ! 苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで死んじゃえばいいんだ!」
少女はそう呪詛を吐き、隣にいた呆気にとられた兵士の腰の剣を奪い自らの胸に………。
止めれなかった。止める権利なんか僕にはなかった。
僕は……僕は勇者になんてなりたくなかった。
ただ、皆と静かに暮らせればそれで良かったのに。
――――――――――
コメント返信したい………でもそんなのいいから更新しろって思われそう。
あと今回の話温度差酷くてごめんなさい。
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