第242話 硬化薬と小細工
三者の話し合いはまだ続いていた。
確かにいかな強力な竜機であろうと、パイロットが乗り込まなくては動かない。
パイロットが乗り込む前に、パイロット自体を無効化するというのは極めて効果的である。しかも、兵士派は竜機派と比べて数は多い。
数で基地にいるパイロットたちを無力化させればいいのではあるが。
『それでも、完全には抑え込めないだろうな。
竜機派も発掘されたアーティファクトを色々所有している。
それ比べて、こちらは通常武装だけだ。
押し切られて、竜機が起動させられるのは間違いない。』
「何か有効なアーティファクトとかないのか?」
『残念ながら存在しない。アーティファクトは全て竜機派によって握られている。
私でもそうするだろうな。潜在的脅威にそんなものを渡すほど甘くはない。
だが……。』
そこで、”将軍”は一旦言葉を切ると再び続ける。
『整備班にも兵士派に賛同するものたちも存在する。
彼らに協力を求めて、竜機の関節部などに硬化剤などを混ぜたりしてもらって起動できなくさせよう。いかに強力な機械といえども、整備が不十分なままではその力を発揮するのは難しい。
まあ、整備兵たちはほとんど竜機派だからそう簡単にはいかないとは思うが……。』
敵スパイなどが竜機に対して破壊工作を行うと考えるのは基本中の基本である。
いかに強力な兵器でも、十分な整備がされなければその力は発揮できない。
ほんの1パーツ部品が欠けただけでも、大事故に繋がりかねないのが兵器なのだ。
だが、それを想定して、整備兵、並びに竜機を警備する警備兵たちにはガチガチの竜機派で固められている。
その隙をついて小細工をするのは流石にリスクが高すぎる。
「……ん?硬化剤?それって竜機の動きを止められるほど強力なの?
だったら、それをこちらに大量に横流ししてもらえばよくない?
瓶か何かに詰めて足元を狙ってトリモチ代わりにするとかいろいろあるだろ?」
発掘品である竜機は装甲の隙間など完全にパーツがすり合わせできないパターンなどもある。そういう時、装甲の隙間などを補強するために使われるのが、こういった硬化剤である。
それを武器として転用できないか、というのかゾーンのアイデアである。
竜機にちょっかいを出すのは厳禁であるが、そういった物資の横流し自体は竜機派も兵士派も行っている。
『……なるほど。面白いアイデアだな。至急取り掛かってみよう。』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます