第201話 肉!肉!肉!
「ふむ、それで私に何の御用ですか?金さえあれば何でも揃えてみせますが?」
アーテルはツテを頼って商人連合に属する商人を招き寄せてきた。
アーテル自身は、商人はすぐに嘘をつく存在としてあまり好きではないが、それでも社会活動には彼らが必要であり、多少の嘘程度ならご愛敬と見逃してやる程度の器はある。
(匂いで嘘が判断できる彼女にとっては、あまりひどいと遠慮なしにそれを暴き立てるが)
「うむ!必要な物は、大量の豚や牛など家畜どもじゃ!
妾の食糧の肉になる家畜どもを増やしたいのじゃ。」
アーテル領は開拓中のため、牛や馬などを開拓事業にフル活用している。
当然ながらそれら貴重な牛や馬などを肉にはできない。
そのため、ハイエルフたちに依頼して大量の獣肉を入手しているのだが、今回の件を得て、やはりある程度は自前で肉を賄わなわければならない、というのがアーテルの判断である。
豚も多少は飼っているが、到底アーテルが満足できる量ではない。
街の皆もアーテルも満足する肉の量に達するには、大量の豚が必要になってくるのだ。
「ふむ……。メインは肉のほうですね?では、牛よりは豚のほうがよろしいのでは?
あとは、豚を多く買っていただけるのなら、鶏も多少サービスしますよ?」
豚はその繁殖力とそしてその育てやすさから、ヨーロッパでも人気な動物である。
森が近くのアーテル領ならば、、その森の中に放牧させておけばドングリなどを食べて十分に大きくなるし、さらに都市から出てくる残飯を食べさせるだけでも大きくなっていく。
さらに豚は牛と違って1回に10頭くらい出産する効率のいい動物である。
しかも、牛と違って比較的小型であり、運搬も牛を運ぶよりも楽という利点もある。
燃費が非常に悪く、大量の食事を必要とする竜族は、その中でも肉を多量に必要とする。それをある程度自力で賄うことができれば、ハイエルフたちに大きな顔をさせる事もないだろう。
「うむうむ、了解した。それでは頼んだぞ。それなりの前金も与えておこう。
しっかりと仕事をこなすがいい。」
アーテルから前金を受け取った商人は、そのまま一礼してその場を立ち去っていった。それを見ながら、アリアは自分の妹に大量の肉の料理の準備を頼んでおかないとなぁ、とため息をついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます