第195話 竜機の分類

『所で、竜機に対してのさらに詳しい情報とかもっとないの?』


 そのリュフトヒェンの通信に、思わず肩を竦める感覚が向こう側から伝わってくる。だが、それでも知っている限りは話してくれるらしい。


『向こうだって機密兵器なんだからそうそう情報なんて与える訳ないでしょ。

 まあ知ってる限りだと……。確か飛行タイプが向こうでは《シルフィード》タイプと言われているそうよ。

 竜の前腕部と後足部を取り払い、翼下部に魔導エンジンを装備することで飛行するらしいわ。そのため、竜の本来の歩行機能などをオミットして完全な航空タイプになっているとかなんとか。』


『ええと、後は地竜を改造して作り上げた地上戦用の《ノーム》タイプもいるらしいわね。こちらは飛行機能などをオミットして完全な地上戦型にしてあるらしいわ。

 高速移動こそできないものの、制圧力は大したものらしいわ。』


『うむ……。シルフィードタイプは我らが駆け付けるか、先ほど言った対空攻撃で何とかしてもらうとして……。ノームタイプならやりようはあると思う。

 あちこちに落とし穴を仕掛けておいたり、厳重な陣地防御を行って足止めしている間に大砲で攻撃するなりすればこちらが勝てる可能性もあるんじゃないかな。』


 要はシルフィードタイプは戦闘機、ノームタイプは戦車と考えれば話は早い。

 確かに戦車は歩兵にとって脅威ではあるが、やりようによっては破壊することはできる。戦車は視界が限られるので、その外から攻撃を仕掛けられたり、遮蔽物の多い場所などでは、歩兵が隠れる場所も多いので、相手に歩兵がいない場合は十分に撃破も可能だ。


『なるほど。それじゃその陣地防衛?やら何やらをルクレツィアに教えておいてあげて。以前はバチバチやりあったけど、今は味方だし、実際辺境伯を失うと私たちにとってダメージってレベルじゃないもの。』


そこで、リュフトヒェンはふと気づいた事をシャルロッテに対して聞いてみる。


『ところで、向こうが何でこっちにちょっかい出し始めたか知ってる?

 侵攻するなら、旧帝国のどさくさや建国の時が向こうにとって最善だったでしょ。』


『でも何だかんだ言って、あの騒動の間にも辺境伯の領地は全く揺るがなかったでしょ?むしろ、こちらが領地没収しようとしたらクーデター起こしたでしょう。

あれは多分、領地没収によるどさくさに紛れて魔導帝国が攻め込んでくるのを嫌っていたのね。何だかんだ言って、アイツはやり手で自分の領土や民を守るのを最優先にしているのよ。アンタも気をつけなさいよ。向こうの領土に手出ししようとするのなら、また問答無用でクーデター仕掛けられるわよ。』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る