第162話 上流への帰還
そして、その後は比較的平穏な旅が続いていった。
ペルーダほどの大物ではないが、ちょこちょこと怪物たちは出てきたが、全てリザートマンたちと、ラーガルフリョゥトの蛇、そして魔術砲台などの攻撃によって十分撃退する事は出来た。
まだ怪物が出てくるという問題点はあるが、護衛があれば十分に川上輸送は行えるだろう、というセレスティーナはそれを見ながらそう感じていた。
そして、ついに仮に設置された船着場が見えてきたので、船をそちらに寄せて、船着場に船を固定し、積まれた多量の金を下ろし、用意された馬車に積み込まれる。
当然護衛である騎士や兵士たちも用意されており、これから辺境伯の大都市まできちんと守られながら輸送されるはずである。
後は向こうに任せるしかない。これにはリュフトヒェンの権威などもかかっているので、きちんと最後で輸送しきってほしいものである。
「よし、では帰りますか。それでは、船とラーガルフリョゥトの蛇を縄で繋いでください。それでラーガルフリョゥトの蛇を動力源として上流へと遡っていきましょう。」
リザートマンたちの許可を得て、ラーガルフリョゥトの蛇が苦しくならないように、しっかりと縄を繋げて、それを船に結び付ける。
そして、リザートマンの指示により、ラーガルフリョゥトの蛇は川の流れに逆らい、ぐんぐんと体をくねらせながら川を遡っていく。
「おお、早いですね。まさかこれほどの速さで川を遡ることができるとは……。これは頼りになりそうです。」
重い金を全て卸して、かなり軽くなったとはいえ、これほどの速度を出せるのなら、かなりの馬力があるだろう。
上手くすれば船を纏めて数台上流まで運搬できるかもしれない。
「そういえば、セレスティーナ様。魔術機関を利用して動力源とかにはできないんですか?」
「できる事はできますが……コストが無茶苦茶かかるので実用的ではないですね。川を下るのなら川の流れに乗って、遡るならこちらのやり方が遥かに便利でコスパが非常にいいです。」
当然、魔術砲台も非常にコストはかかるが、今回の実戦で非常に有用という事が判明した。
リュフトヒェン領を守るためにあちこちに設置したり、量産体制に入る予定なので、コストは多少は安くなるだろう。
まだまだ重いので運搬は難しいが、街を守護する固定砲台としては大きな戦力になるはずた。
そう考えながらも、セレスティーナたちを乗せた船は上流へと遡っていった。
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